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2010 RD6 モナコGP観戦記

JUGEMテーマ:スポーツ

▽ウェバーのパーフェクト・ウィン アゲイン

ウェバーがスペインGPに続きまたも、完璧なレースを見せてくれた。
予選でもポール・ポジションを取り、決勝でもスタートを決めて、その後4回のセーフティ・カー(SC)導入にもかかわらず、最後までトップをキープ。
ここまで完全な走りを見せられては、他のドライバーはどうしようもない。

ただ私自身、このウェバーの走りをうまく消化できていない。
今までも、つぼにはまったときには、手がつけられない速さを見せていたウェバーだが、それが継続できないところが彼の弱点だった。

それが今回、2レース連続でまったく隙のない走りを見せつけられては、彼への評価を変えなければいけないのかもしれない。

この走りに一番の衝撃を受けているのは、ベッテルだろう。
これまでのベッテルは、2位でも3位でもレース後のインタビューで笑顔を見せる余裕があった。
心の中に悔しい気持ちはあるはずだが、それを隠す余裕があった。
ところが今回レース後のインタビューでベッテルは終始、険しい顔を崩さなかった。
レッドブルの1-2フィニッシュにもかかわらずだ。

 誰よりもベッテル自身がこの2レースの敗北に衝撃を受けているだろう。
これまでは、自分の調子が少し落ちたときには負けるが、それ以外では勝てる相手だったウェバーに2回連続完璧にやられたのは、ベッテルにとっては受け入れがたい事実だろう。

しかもスペインは中高速サーキット、モナコは低速サーキットとコースの特性を問わずに負けていることが、深刻さを深めている。


なぜウェバーは急にこれほどまでに、速くなったのだろうか。
正直言って謎である。
ただ一つの仮説は立てられる。

それは二台の間でマシンセッティングの情報共有が完全になされていないのではないだろうか。
ベテランのウェバーは当然、セッティングの引き出しを若いベッテルより持っている。
これまでは、ベッテルもその情報を共有し、活用してきたはずだ。

ウェバーはRB6のセッティングのポイントをつかんで、それを有効に活用してることが考えられる。
ウェバーがそれを隠しているとは思わないが、積極的に伝えていないのではない可能性はある。

そうでもなければ、ウェバーとベッテルの予選Q3の差0.4秒は説明できない。
モナコは1周約3.3kmしかない。
普通のサーキットの半分から三分の二しかない。
そんな短いサーキットで、しかも同じマシンに乗りながら0.4秒というのは大きすぎる。

相手が新人ドライバーであれば、理解できる。
しかし、相手はベッテルである。
世界最速ドライバーの中の一人と目されるドライバーである。
0.4秒差はとてつもなく大きな差であり、同じマシン同じセッティングでつく差ではない。

別にウェバーの悪口を言っているわけではない。
これまでも、そのようなことをしたドライバーは多数存在した。
意図的にチームメイトと緊張関係を作り、データの交換を拒むドライバーもいた。
チームメイトのデータは見るが、自分のデータは見せないという有名現役ドライバーもいる。

しかも今のレギュレーションでは予選が始まってしまえば、セッティングを変えることができない。
つまり予選が始まってからベッテルがセットアップを変えたいと思っても、できないのである。

2レースで50ポイントを稼いだウェバーは、ドライバーズランキングでベッテルと78ポイントで並びトップに出た。

ここまでマシンの性能で他の凌駕するレッドブル。
ストップ&ゴー・サーキット(バーレーン&オーストラリア)でも、中高速サーキット(スペイン)でも、低速サーキットでもポール・ポジションを獲得。
昨年は得意不得意がはっきりしていたレッドブルだったが、今年は全てのタイプのサーキットで速さを見せている。
信頼性さえ克服できれば、今後チャンピオンシップ争いはこの二人で争われる。

しかも彼らはトルコGPで大きなアップデートを施すという。
レッドブルと他の差がどれくらいになるのか、想像もつかない。


▽見送られたペナルティ

完璧なウェバーのレースだったが、一つだけケチをつけかねない出来事があった。
それがピットレーンでの速度超過だ。

ウェバーは今回、ピットレーンの速度で70.9kmを記録。
通常、決勝レースの速度制限は100kmだが、モナコはピットが狭いこともあり、70kmに制限されていた。

これは明らかな速度違反である。
ピットで速度オーバーしたドライバーは下記のどちらかのペナルティを受けると、レギュレーションに記載されいてる。

1.ドライブスルー・ペナルティ
2.スチュワードは10秒加算ペナルティ

通常、レース中には1が適用されて、2はレース終了直前でドライブスルー・ペナルティの実施が不可能な場合に、適用される。
今回、理由は違うがミハエル・シューマッハーに20秒加算のペナルティが下されたのは、この2が理由による。

昨年、シンガポールでベッテルはピットレーンで速度超過を記録し、ドライブスルー・ペナルティを適用され、順位を失っている。

ウェバーは今回、罰金2,200ユーロを払っただけである。
ウェバーがこのレースの勝者にふさわしいことに疑いはないが、疑問の残る裁定であった。


▽痛恨アロンソP3に沈む

このモナコはマシンの性能差、特に空力の性能差が出にくい低速サーキット。
それだけにモナコはフェラーリにも勝てる可能性があるサーキットだった。
アロンソはそれを理解していて、P1・P2でトップタイムを出し、好調ぶりをアピール。

それだけにP3のクラッシュは痛かった。
このクラッシュでサスペンション・アームがモノコックを傷つけ、予選に出走できなくなり、ピットレーンスタートが確定。
アロンソがモナコを制覇する可能性は事実上ゼロになった。

それでも彼はあきらめなかった。
スタート直後から抜けないモナコで抜きまくる。
もちろんこのオーバーテイクは、前のマシンがあまり抵抗しなかったこともある。
アロンソの前を走るヴァージンやロータスは、アロンソと順位を争ってもあまり意味がない。
どちらにしても抜かれるわけだから、それだったらさっさと前に行かせた方が得策である。
下手に抵抗してタイヤを痛めたり、壁に激突しては元も子もない。

幸運にもスタート直後にSCが入る展開になり、タイヤ交換の義務を早々果たしたことも、いい判断だった。

最終ラップの最終コーナーでミハエル・シューマッハーに抜かれたのは、ハードタイヤで長い距離を走ったので、グリップがなくなってスライドしたところをミハエルにやられたのではないだろうか。
結果的にミハエルは、ルール違反と言うことで20秒加算のペナルティを受けたことで、アロンソの6位は確保された。

それにしてもピットレーンスタートから6位は、素晴らしい走りだった。
ここで得たポイントはシーズン終盤に大きな意味を持ちそうである。
それだけに、P3でのクラッシュがなければ、ウェバーとの争いが楽しめたかもしれない。


▽ブリリアント クビサ

またもクビサが見事な走りを見せてくれた。
ルノーでなんと予選2位。
これはマシンの性能差を考えると実質ポール・ポジションとも言える位置である。
残念ながら偶数グリッドだったために、スタートでベッテルに先行され、そこで勝負が決まった。
それでも、ルノーで3位フィニッシュは見事としか言いようがない。

惜しかったのは予選の走りである。
モナコはコース上での追い抜きが事実上不可能なので、予選もレースの一部であり、決定的な意味を持つ。

彼は勝負をかける予選Q3で2セットのタイヤで二回三周づつアタックした。
だが他のドライバーは1セットのタイヤで5〜6周のアタックを続けた。
今回、ブリヂストンが持ち込んだタイヤは、タイヤに厳しくないモナコの路面もあり発熱するまでに数ラップが必要で、タレも少なかった。
さらにトラフィックの問題もあり、走り続けるのがセオリーだった。
もちろん5周走り続けるには、たくさん燃料を積む必要があるが、低速のモナコではフューエル・エフェクトは小さく、大きな問題とはならない。

あるエンジニアは、クビサの予選アタックの方法は間違いだと述べている。
3周ではタイヤが完全に暖まらず、タイヤの性能を引き出せないとしている。

どちらの方法が正解だったのかは、今となってはわからないがクビサが他のドライバーと同じ方法をとっていたらどうなっていたかは興味深い。
もしポール・ポジションを獲得できていれば、金星の可能性もあったのだから。

どちらにしても、クビサはまたも見事な走りを見せてくれた。
トップチームは彼を虎視眈々と狙っているだろう。


▽さえなかったマクラーレン

モナコではあまり良いところのなかったマクラーレン。
元々、モナコでのマクラーレンは期待が薄かった。

彼らは今シーズン、Fダクトを使い直線で、0.15秒から0.3秒程度を稼いでいる。
にも関わらず1ラップあたりレッドブルから0.3以上遅いと言うことは、コーナーで0.5秒以上を失っているということである。

この数字を見ると、コーナーしかないモナコで、マクラーレンが厳しいことは一目瞭然である。
しかも予選でスピード不足を露呈しているマクラーレンが、予選が絶対的に重要なモナコで、ハミルトンの5位が精一杯であるのは、当然である。

バトンに起こったメルセデスのエンジン・トラブルは、人為的なミスが原因だった。
ピットを出てグリッドに向かうバトンのマシンの吸気口のカバーを外し忘れてしまった。
1周してグリッドについて、カバーを外したが、その時点でエンジンの温度は上昇しており、決勝レースではたったの2周しか持たなかった。

どちらにせよ、バトンに勝ち目はなかったので、そのようなレースでミスが起きたことは不幸中の幸いだったかもしれない。
ポール・ポジションスタートだった悔やんでも悔やみきれないことだろう。
もっとも今年、マクラーレンがレッドブルからポール・ポジションを奪い返すことができればの話だが。


▽ミハエル復活なるか

今回、ミハエルは予選でニコに負けたが、これをそのまま受け止めることはできない。
メルセデスはGPSシステムと無線の不調で、彼ら2台のマシンの位置を正確につかめていなかった。

モナコでそうなると、どうなるのだろうか。
結果的に彼らは、予選Q3でコース上の空いているスペースを活用することができず、しかもニコがミハエルのアタックを邪魔する事態をまねき、二台とも実力を発揮できずに終わった。
邪魔されたミハエルも気の毒だったが、Q2まで素晴らしい走りを見せていたニコも残念な結果となった。

決勝レースは、ミハエルが強引とも思える1コーナー飛び込みで、ニコをパス。
その後は淡々とレースをしていくが、最終ラップにSCがピットインした後に、アロンソを抜き6位でフィニッシュ。
アロンソの隙を突いた見事な走りだったのだが、これがレギュレーション違反になり、20秒加算のペナルティを受けて12位フィニッシュで無得点に終わった。

去年までは、SCが入った後は、スタートラインを越えないと追い抜きができなかった。
今年からSCラインがピットイン入口に設けられて、そこを過ぎれば追い抜きが可能になった。
ミハエルはSCラインを越えて、追い抜いたのだが、最終ラップの場合少し問題があった。

レギュレーションにはこんな一文がある。
セイフティ・カーが出動し、最終周回の終わりにピットレーンに入ってレースが終了する場合、マシンはオーバーテイクすることなしに通常通りチェッカー・フラッグを受けるものとする

SC先導でフィニッシュすると絵にならないので、最終ラップではSCを無理矢理入れてしまおうというのが、このレギュレーションの意図だろう。

つまり最終ラップでSCがピットに入っても追い抜きは禁止なのだ。
フェラーリやマクラーレンはそれを知っていて、アロンソやハミルトンに前のマシンを抜かないように指示していた。
だがメルセデスGPはコースクリアの表示が出ていたし、グリーンライトが点滅していたので、追い抜きが可能であると判断したと主張している。

つまりこの件は、レギュレーションの条項を見る限り、明らかに違反である。
だがFIAはイエローのまま終了させるべきところを、グリーンを表示する間違いを犯したと考えるのがいいだろう。
だから明らかなレギュレーション違反にもかかわらず、裁定を下すのにレース終了後3時間もかかったのだろう。
こうして、かわいそうなミハエルは入賞を逃してしまった。

ちなみに、この裁定に関してスチュワードに参加していたデイモン・ヒルを非難する声もあるらしいが、元ドライバーはあくまでもアドバイザーとして参加しているのであって、彼の裁定でミハエルへの罰則が決まったわけではない。
最終的に決めるのは、FIAのスチュワードである。


▽可夢偉 またリタイヤ

スペインGPで今シーズン初完走を果たした可夢偉だったが、モナコではまたリタイヤとなった。元々、低速サーキットのモナコでの苦戦は予想されていた。
スペインでも低速区間の第三セクターでタイムをロスしていたからだ。
最終コーナーからのトラクション不足は激しく、パワフルとは言えないルノーのペトロフに大きく遅れていた。

予選ではなんとかQ2には進出したが、予選は16位。
決勝もギア・ボックストラブルでリタイヤとなった。
次のトルコはモナコよりはザウバー向きなので、ここでの出来事はさっさと忘れて、次のレースにがんばって欲しい。

 


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