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メルセデス 驚速の秘密5 MGU-Hだけでない開発

810072920-1346152252014 彼らのアドバンテージの中核にMGU-Hがある事は間違いないが、彼らはそれに甘んじず、車体側の開発にも時間をかけてきた。なぜならば彼らはパワーユニットと車体の開発を同時に進めることができるからである。 カスタマーチームにパワーユニットの概要が伝えられたのは、昨年の夏頃である。その時期には、すでにマシンの開発コンセプトが固まっていて、マシン設計に大きな変更はできない。メルセデスだけがその特殊なパワーユニットの恩恵を受けられるようにマシンを設計、開発できた。その為、同じメルセデス製パワーユニットを搭載していても、メルセデスAMGだけが速いという状況が生まれている。 これまで述べてきたメルセデスの利点は、簡単に真似ることができない。パワーユニット自体は基本的に開発が凍結されている。その為、ルノーやフェラーリがターボのタービンとコンプレッサーを前後に分けて搭載することは今年はできない。 またパワーユニットの信頼性があるので、早い段階からマシンのセットアップや開発にも着手できている。F1マシンの速さの秘密の一つは開発の早さにもあるので、これはとても有利な条件である。 ここまで見てきたように、彼らの速さの秘密は一つではなく、多くの細かい開発の積み重ねである。彼らは新しいレギュレーションに合わせた、全く新しいコンセプトを考え、それを実現している。他の多くのチームは昨シーズンまでの延長線上に今年のマシンがある。そこがメルセデスとライバルとの大きな違いである。メルセデスは全く新しい時代に合わせた、全く新しいマシンを開発した。 その中心にMGU-Hがあるのは間違いないが、それだけ真似しても追いつけるものではない。そう考えると、今シーズンに関してはメルセデスAMGの独走が続くと考えた方がいいだろう。 問題は彼らが何勝して、どちらのドライバーがチャンピオンになるかどうかが、今シーズン残りの焦点になる。幸いメルセデスはチームオーダーを出さないと言っているので、その点では非常に好ましい。 それでもカナダGPのような事があるからF1はおもしろい。優勝するドライバーはすごいのは間違いないが、優勝しないドライバーだってすごい。そこがF1の魅力でもあり、おもしろさでもある。ただそれがわかりにくいのが難点であるが。

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