2014 Rd.7 カナダGP観戦記 メルセデス トラブルの原因
ここまで開幕戦を除いて5連続1-2フィニッシュで、リードラップもライバルに一度も分け与えていなかったメルセデスに今年初めて大きなトラブルが発生した。ブレーキに関してはカナダは一年で最も厳しいサーキットであり、今年初めてブレーキバイワイヤーを採用し、ブレーキサイズを小さくしていることもあり、他にもブレーキで苦しんでいるドライバーはいた。
パワーロスに関してはMGU-Kが使えなくなったのが原因と見られている。MGU-K自体ではなくコントロールユニットのトラブルである。レース中もエンジン音は正常だったので、ERS関係のトラブルであることは間違いないと思われる。
今年のリアブレーキはMGU-Kのモーター容量が増えて、エネルギーを回生する時の抵抗が大きく、コントロールが難しいので、コンピュータ制御のブレーキバイワイヤーが導入されている。その為、通常の機械式ブレーキのサイズは昨年より小さくなっていて、この二つのトラブルは関係があると考えられる。
つまりMGU-Kの回生が問題を抱えると、モーターのブレーキ効果が弱まり、機械式リアブレーキへの負荷が増えて、苦しくなる。なぜならば通常、ブレーキはフロント側が厳しくなるのが通常である。クルマの場合、フロントブレーキのサイズが大きいのが一般的であり、だからこのブレーキトラブルとMGU-Kのトラブルは関連性があると考えられる。しかもカナダGPは一年で最もブレーキに厳しいサーキットである。
というのも同じマシンの同じ時期に、複数の同じようなトラブルが起きることは、とても珍しい。もちろん同じ部品を使った同じマシンに乗っているのであるから、理屈の上では同じトラブルが起きるのは珍しくはない。だが実際には同じ時期に同じとラブルが起きるのはめったにない。しかも複数のトラブルが同時に起きるのはさらに珍しい。一つのトラブルがもう一つのトラブルを誘発していると考えれば、これは納得できる。
もっともメルセデスの強さがこれで終わるわけでもなく、この後もしばらくは彼ら2人の優勝争いが続く。ただ彼らも完璧ではないことが証明されたわけで、今後の戦いが興味深くなった。
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