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2008 Rd.16 日本GP観戦記

▽F1はどこへ向かうのか F1はどこか違う場所に向かっているのかもしれない。 そう思わざるを得ない日本GPでした。 以前から、不可解なペナルティについて触れてきましたが、ここ日本GPでも不思議なペナルティが連発されました。 まずは、ハミルトンへのペナルティですが、その理由がよくわかりません。 なぜなら、これまでにも1コーナーで飛び出したドライバーは数多くいましたが、ペナルティが課された例を思い出せません。 ライコネンが避けたから、事故が起こらなかったという意見もあるでしょうが、インにハミルトンが入ってきたいるのですから、1台分のスペースを空けるのは当然ですし、普通であればハミルトンが通り過ぎた後に、ターンインすれば特に問題はありません。 ライコネンが曲がりきれなかったのは、コバライネンが続けて飛び込んできたからであり、どうしてもペナルティを課すのであればコバライネンこそ、その対象でだと思います。 ハミルトンはライコネンには接触していないが、コバライネンは接触しています。 どちらにペナルティを課すべきかは、明らかでしょう。 さらに不可解なペナルティがもう一つありました。 それは、ブルデーとマッサが接触したシーンです。 ブルデーはマッサの邪魔をしないように1コーナーをインべたで回ろうとしています。 そこへマッサが接触してスピンしているように見えます。 ブルデーはいったいどうすれば良かったのでしょうか。 スチュワードはブルデーはブレーキを踏んで、止まってマッサを先にやれというのでしょうか。 少なくとも、この二人は同一周回で順位を争っていたことを忘れてはいけません。 接触すれば何でもペナルティにしなければいけないのでしょうか。 しかも、最大の問題はスチュワードが審議した内容を全く公開しないことです。 同じ接触でも、マシンの向きや位置により全く違った判断になることがあることは理解できますし、またそうあるべきだと思っています。 だが、以前とは全く違った解釈で、ペナルティを課すのであれば、その理由を述べるできではないでしょうか。 そうでなければ、F1は確実にファンの支持を失うでしょう。 例えば、今回のハミルトンのペナルティなどは、執行猶予をつけて次のGPから新しい解釈を適用すればいい。 そうすれば、ペナルティの是非はともかく、誰もが納得できると思います。 ▽アロンソ二連勝 非常に後味の悪いレースとなりましたが、それでもアロンソの二連勝は素晴らしい出来事でした。 今回はSCなし、実力で勝ち取った栄冠です。 何しろフェラーリに比べると30馬力も劣ったマシンで、これだけの速さを見せるのですから、何ともすごいドライバーです。 アロンソのすごいところは考えながら、走ることができる点です。 TV中継中にアロンソの無線が頻繁に再生されること気がついた方はいるだろうか。 「エクストリーム・ウェットを履いているドライバーはいるか」とか「前を走るドライバーはあと何周でピットへはいるか」などアロンソの発言が取り上げられることが多いと思います。 アロンソだけが取り上げられることを、不思議に思われる方がいるかもしれないが、それはTV局がアロンソの発言を恣意的に取り上げているのではなく、そのように考えて走れるドライバーが他にはいないからです。 他のドライバーは前後のドライバーとの差や、チャンピオンを争うドライバーの順位程度は気にするが、他のことは気にしないで、ドライビングに集中しています。 だが、アロンソは違います。 彼は、常に考えて戦略を立てながら走っている。 彼が本当にすごいのは、そのように考えて走っているにも関わらず、速く走れるところです。 今回も1回目のストップで、クビサの前に出て、リードして逃げ切る作戦を考えたのは、アロンソです。 ピットはその意向を受けて、短い燃料補給で彼の期待に応えました。 こんなことを考えながら走れるドライバーは、彼くらいしかいません。 彼は特別なドライバーなのです。 ここにきてルノーの戦闘力はかなり向上してきています。 もしエンジンパワーがフェラーリ並みにあれば、フェラーリやマクラーレンに匹敵する速さを見せるかもしれません。 もし、ルノーがシーズン当初からこれくらいの戦闘力があったなら、アロンソはチャンピオン争いに絡んでいたでしょう。 BMWのクビサが12ポイント差の三位でいることを考えると、この話も全くの夢物語とは思えません。 ▽ハミルトンの本能 その対局にいるのが、ハミルトンです。 もっともこのことで、彼を責める気はありません。 なぜなら彼はたったの23歳で、デビュー二年目に過ぎないからです。 かつて、セナも危険と言われていましたし、シューマッハーも危険だと言われた時期がありました。 速くて、果敢にオーバーテイクを試みる若いドライバーは、思慮深いベテランから、危険といわれることが多いのです。 セナもデビュー当初は、かなり無茶をしていました。 ただ彼の場合、最初は弱小チームだったし、ロータスも遅くはなかったが、トップチームとは言い難い状況だったので、目立ちにくかったし、年数を経るに従って徐々に攻める時と、そうでない時を使い分けるようになってきました。 とはいえ、今回のハミルトンの1コーナーでの振る舞いには、失望したのも事実です。 シンガポールGPにおいて我慢の走りで6ポイントを獲得した直後で、彼もレース前には慎重に走ると言っていただけにです。 もっとも、シンガポールGPでのハミルトンを褒めたのは、早すぎたのかもしれません。 というのは、シンガポールでニコに仕掛けなかったのは、彼の判断ではなく、チームがハミルトンに自粛するように何度も話しかけていたからです。 ハミルトン自身は、レース後、そのことに対して不満を表していたらしいのです。 日本GPのハミルトンの行動を見る限り、これは事実でしょう。 あそこで、ライコネンに仕掛ける必要は全くありませんでした。 ハミルトンにとって、ライコネンが何位だろうが気にする必要はありません。 マッサとの差が重要であり、他は全く関係ありません。 彼は燃料搭載量が多かったようなので、ライコネンに先行されても問題はなかったはずです。 だから、二位で1コーナーに突入すれば全く問題ないはずなのですが、スタートで失敗して焦っていたのでしょう。 スペースがあったので思わず仕掛けてしまったのかも、しれません。 だがあのスペースに飛び込めば、例え止まれたとしても大回りして、ライコネンに抜かれていた可能性が高かったと思います。 先にも述べたとおり、これによるペナルティには全く同調しませんが、そもそもハミルトンが無理な仕掛けをしなければあり得なかったことなので、もう少し自重しなければ、タイトルを獲得することは難しいでしょう。 ▽マッサも自滅 ところがハミルトンのライバル、フェラーリのマッサも状況はほぼ同じでした。 予選でミスをして5位からスタートしたマッサは、ハミルトンの前を走っていましたが、シケインでミスをしてハミルトンに抜かれてしまいました。 それに焦ったマッサはシケインをショートカットして、ハミルトンのリアに接触。 これは今まで見たこともない、事故です。 新人ドライバーがミスって、前を走るマシンにぶつかることはありました。 だが、チャンピオンを争うドライバーがあのような形で前を走るライバルにぶつかるとは、信じられません。 マッサは、「ハミルトンとのバトルは厳しいがフェアだったと思う」と話していますが、フェアな争いでペナルティを課されたのであれば、控訴すべきではないでしょうか。 しかも、ライコネンはハミルトンに接触されずにレースを続行して、3位になりましたが、ハミルトンのレースはこれでほぼ終わってしまいました。 この二つのアクシデントが、同じペナルティというのも不思議です。 マッサはショートカットした上に、接触しています。 ショートカットしなければ、接触はなかったでしょう。 マッサはこのアクシデントとブルデーへの不思議なペナルティで、2ポイント縮めることができました。 マッサからすれば直接のライバル、ハミルトンが無得点に終わったので、2ポイントでも儲けものという感じでしょうが、接触があまりにも雑だったので、彼のチャンピオンの資質を問う声が出てくるかもしれません。 ▽日本勢は? 中島一貴はせっかくの地元GPを1周目のトラブルに巻き込まれて、早々にピットイン。 目の前でスピンされれば避けようがありません。 その後も走り続けましたが、1周遅れの15位でレースを終えました。 彼にすれば、とても残念な結果でしょう。 トヨタのツゥルーリは大応援団が見守る中、5位入賞して期待に応えました。 一方のホンダは二台ともQ1で脱落しました。 二台してフォースインディアの上、要するに下から2番目のチームと言うことです。 決勝レースでも全くいいところなく、地元GPは終わりました。 アロンソが2連勝したことで、彼のホンダへの移籍はほぼなくなりました。。 KERSの開発では先行していると言われているホンダですが、果たして彼らは何を目標に走っているのでしょうか。 ホンダがF1に参戦している意義を問われているような気がします。

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