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ホンダの未来

このコラムは、ホンダが撤退を発表する前に書かれました。 そちらを留意の上、お読み下さい。 —————————– ホンダの2008年シーズンが終わった。 入賞は4回で、獲得総ポイントは14ポイント。 これは全10チーム中の9位。 実質、フォース・インディアは無得点だったので、ワークスでのこの順位は最下位といってもいいだろう。 バリチェロの3位入賞はあったが、これは偶然の要素が強く、会心のレースは今年も見られなかった。 ロス・ブラウンが来て期待の持たれた2008年シーズンだったが、終わってみれば最悪だった2007年シーズンよりランキングの順位は落ちてしまった。 それにしてもホンダのこの低迷はいつまで続くのであろうか。 ホンダがBARとの共同開発という形で第三期F1活動を開始したのが2000年。 ホンダが100%出資してホンダF1として活動をはじめたのが2006年。 2004年には、コンストラクターズ・ランキングにおいて二位になったが、それでも獲得ポイントにおいてトップのフェラーリの半分にも満たなかった。 2006年には、第三期活動における初優勝を上げた。 だが、どちらもその翌年には失速。 戦闘力を継続して出すことはできなかった。 これらの不振の原因は大きく分けて二つある。 一つはBARという二流のチームと組んだことが大きい。 当初、シャシーもホンダで参戦する予定だったが社内の残る慎重論から方針を急遽、変更。 ただエンジン供給だけでは、飽き足らないホンダは、マシンの共同開発という形でBARと組みF1に復帰した。 この時、他のチームにも当たったが、マシンの共同開発に興味を示すチームは皆無で、BARと組まざるを得なかったというのが実情である。 ワークスエンジンが欲しかったBARはこの条件を飲んだが、ホンダとの共同開発が成果を上げたとは言えない。 結局、この時にBARと組まざるを得なかったのが、今までに続くホンダ不振の大きな原因となった。 第2期にホンダが勝ったと言われているが、ホンダはエンジンを供給したに過ぎない。 確かに、ホンダエンジンは最強ではあったが、マクラーレンやウィリアムズといったトップチーム、セナ、プロスト、ピケ、マンセルなどの超一流ドライバーがいての黄金期であったことを忘れてはならない。 第2期でホンダが飛躍のきっかけを作ったのも、一緒に参戦したスピリッツ・ チームを切って、ウィリアムズと組んだからである。 このときの彼らは、勝つことに対して妥協がなかった。 だからこそ、成績のよかったウィリアムズと契約更新せず、マクラーレンに鞍替 えし、そこにセナを持ち込み、黄金時代を築き上げた。 第三期では、パートナー選びに失敗したのが、ホンダ不振の大きな原因である。 そして、ホンダの不振がここまで長引いた原因として、日本のホンダサイドのF1への取り組み方がある。 BARが二流のチームであれば、ホンダが本格的に介入して、人も金も出して立て直せば良かったのだが、ホンダは金は出したが人は、ほんの一握りしか出そうとはしなかった。 最大の問題は、BARやホンダチームのトップをニック・フライに任せたことだろう。 成績を残した2004年シーズン終了後、ディビッド・リチャードの解任して、ニック・フライを据えた。 成績を残せない彼と引き続き契約するホンダの姿勢からは、何が何でもF1で勝ってやろうという情熱は感じられなかった。 ただ、ホンダとしても事情はあった。 大企業と思われているホンダではあるが、トヨタなどと比べると持っているリソースは少ない。 その為、大量のエンジニアをF1に投入すると、市販車の開発に支障が出てしまう。 また、ホンダ社内でもF1活動に反対する人はいる。 昔の中小企業だったホンダの時代と違い、大企業になったホンダにはモーター・スポーツに全く興味のない人もいる。 金食い虫で、成績の残せないF1にいい顔をしない人がいたのも確かだ。 さらに、株式を公開している会社として、利益を上げ続けなければならないという事情もある。 全てのリソースをF1に注げるほどの余裕もない。 このようにして、半分腰の引けたホンダのF1活動は続いてきた。 だが、今のように中途半端な関わり方では、F1で勝つことは難しい。 勝つ気持ちがあるのならば、それなりに人を投入してやらなければいけない。 特に組織のトップはロス・ブラウンに任せるのではなく、ホンダの人間が取り、要所要所にホンダの人間が入り、コントロールしない限り、活躍するのは厳しい。 そうしない限り、ホンダが勝つことはないし、例え勝ったとしてもそれをホンダの勝利としてとらえるのは難しい。 来年はKERSという新技術が投入されるのでホンダも、もう少しいい成績が残せるとは思うが、勝つのは難しいだろう。 このままの形でホンダがF1に関わっても、意味があるとは思えない。 勝つのであれば本気でやるべきだし、そうでないのであれば、きっぱりと止めた方が、いいのではないだろうか。 ただ参戦するだけのホンダを見たいと思わない。 勝っても負けてもいい。 彼らの情熱が感じられるレースを見せて欲しい。

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