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2014 Rd.11 ハンガリーGP観戦記 大逆転のハミルトンとロズベルグ

693293817-1837172772014 過去にピットレーンスタートから優勝したドライバーがいたか?と記憶を遡らなければならないほど、ハミルトンの走りもまた見事であった。彼は予選で不運にもエンジン部分から出火し、シャシーを交換。ピットレーンスタートとなった。そこからの3位は普通に考えればいい結果である。だがアロンソさえいなければ、優勝はハミルトンだった。 今年これまでも彼はグリッド後方からスタートすることがあったが、最速のメルセデスの力も借りて、余裕を持って上位に戻ってきていた。だが今回は追い抜きが難しいハンガロリンクであり、ハミルトンといえども表彰台は難しいと思われた。 レース前に降った雨によりスタートがウェットコンディションになり、追い抜きがしやすくなり、セーフティーカーが2回も入ったことも後方スタートのハミルトンには有利には働いた。 タイヤ交換回数が多いロズベルグがハミルトンに追いついてきた時も、このレースのハイライトの一つであった。タイヤ交換の数がロズベルグの方が多いし、新しいタイヤを履いているのであるから、ハミルトンは抜かせるべきであると考える人も多いかもしれない。だが私はハミルトンが絶対に抜かせないと確信していた。なぜならばそれがF1ドライバーであるからである。 彼らは自分自身こそが世界最高のドライバーであると考えている人である。だからよほどのことがない限り、チームメイトとはいえ抜かせることはない。もちろんロズベルグがインにノーズを入れてきた際には、ドアを閉めないだろう。だがこの日のニコはハミルトンにチャレンジすることはなかった。彼はチームからハミルトンが道を空けてくれると言われていたのかもしれない。だが数周にわたり道を空けない時点で、積極的にアタックすべきだった。 その状況でハミルトンがドアを閉めたり、スペースを残さなければ、責められるのはハミルトンであるが、チャレンジしなければ、それはロズベルグが遅いと言われても仕方ない。彼の方がいい状態のタイヤを履いているのである。抜くのは難しいかもしれないが、チャレンジすることはできたはずだ。実際、リカルドはハミルトンを抜いている。 このアグレッシブさが欠けていることが、彼がハミルトンと戦う際の弱点になっている。世界チャンピオンになれるのはただの一人で、しかも今年はロズベルグとハミルトンしか候補者はいないのである。例え強引と言われようとも必要な時には勝負を仕掛けるべきである。もちろんその際にはマシンをコントロールしなければいけないが、彼にはその能力があるのだから。 今回、得意のハンガロリンクで優勝を目指したルイスは3位に終わったが、ピットレーンスタートだったことを考えると、悪くない結果である。わずか3ポイントしかロズベルグとの差を縮められなくても。雨もセーフティーカーも出なければ、ロズベルグの優勝は動かずハミルトンが2位になっても7ポイントも広げられていたかもしれない事を考えれば、良かったと言える。 一方ロズベルグにとっては優勝間違いないレースを失ったのだから、ダメージは大きい。特にハミルトンが得意とするハンガロリンクでリードを広げられれば、ハミルトンのダメージは計り知れないほど大きかった。 夏休みが明けるとベルギーGP、イタリアGPが続く。そしていよいよ最終戦までのカウントダウンが始まる。今後もこの二人のチャンピオン争いからは目を離せない。

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