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2009 Rd.17 アブダビGP観戦記 可夢偉 アゲイン

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▽勝てなかったハミルトン 二位のベッテルを0.6秒以上引き離してポール・ポジションを獲得したハミルトン。 燃料搭載量は約2周分6kg軽かったが、それを差し引いても圧倒的な速さだった。 今シーズンは各チームの戦闘力が僅差で、1秒内に10台がひしめき合う状態も、特別ではなかった。 そんな状況の中での、このタイム差でのポール・ポジションは、圧巻。 KERSを持つハミルトンは、長い直線を持つ第二セクターだけで、最大ベッテルに0.5秒もの差をつけていた。 これはKERSの威力だけでなく、強力なメルセデス・ベンツのエンジンの恩恵もあった。 現在、レッドブルへのエンジン供給を巡って関係がこじれている二社であるが、メルセデス・ベンツのエンジンは、やはり大きな競争力となっている。 だが好事魔多し。
スタートでKERSを使いトップでレースを進めたハミルトンだったが、スタートして数周後から、右リアのブレーキにトラブルが発生。
タイムが上がらずに、二位のベッテルを引き離すことができない。
大きなブレーキングポイントが複数あり、ブレーキを頻繁に使う第三セクターをかかえるこのサーキットで、ブレーキトラブルが出てはさすがのハミルトンも為す術がない。

それでもなんとか、1回目のピットストップまではリードを保つが、2周早くピットに向かうハミルトンは、十分なマージンを築くことができず、1回目のピットストップ後にベッテルにかわされてしまう。
ピットアウト後には、ブレーキトラブルが深刻な状況になり、大きなクラッシュにつながりかねないと判断したチーム側が、ハミルトンにリタイヤを宣告した。

勝てたレースを落としたハミルトンであったが、苦しいシーズンが終わった開放感からか意外とさっぱりとした表情だったのが印象的だった。

開幕当初はQ1で脱落することも多かった昨年のチャンピオンであるマクラーレンであったが、さすがは名門チーム。
きっちりとマシンの開発を進めてきて、最終的にはシーズン2勝。
ハミルトンの力とKERSの威力があったのは事実だが、それでもやはりマクラーレンというチームの底力には驚かされる。


▽レッドブル 終盤三連勝

ハミルトンがいなくなった後は、ベッテルの独壇場だった。
悠々とレースをリードして、今シーズンの4勝目。
レッドブルにとっては6勝目となる勝利をプレゼントした。

本来であれば、ブラジルGPでも予選のミスさえなければベッテルが終盤三連勝を飾ってもおかしくない速さがあっただけに、アップダウンが激しい、今シーズンを象徴した終盤のフライアウェイの3レースとなった。

勝てるレース、取れるポイントをたくさん落としたベッテル。
レッドブルのマシンが空力的に敏感で、ダウンフォースの変動量が大きいという特徴はあったのだが、オーストラリアやシンガポールにおいて、ミスで落としたポイントは致命傷となった。

今のポイント制度に移行してからは、とにかくポイントを取り続けないとチャンピオンにはなれない。
1位と2位のポイント差はわずかに2点。
勝ち星が多くても、リタイヤが多いとチャンピオンは無理である。

ただ、ベッテルは頭の良いドライバーであり、学習能力が高いので来シーズンは同じ間違いをしないだろう。

来シーズンのベッテルが本当に楽しみである。


▽吹っ切れたバトン

ブラジルGPでチャンピオンを決めたバトンが久しぶりに吹っ切れたいい走りを見せてくれた。
最後に表彰台に昇ったイタリアGP以来、チャンピオンを意識しすぎて、手堅くポイント獲得をしてきた彼だったが、ここではシーズン序盤を彷彿とさせる、素晴らしい走りだった。

それでも勝てなかったのは、相対的にブラウンGPの戦闘能力が落ちてきているからである。
序盤は圧倒的なアドバンテージを持っていたブラウンGPだが、後半戦は潤沢な予算を持つチームに追いつかれ、抜かれてしまった。

このコースは長い直線が二本あることも、彼らには幸いした。
強力なメルセデス・ベンツのエンジンを持つ彼らは長い直線を含む第二セクターでレッドブルに約0.2秒のアドバンテージがあった。

暑いアブダビは、日が落ちても気温、路面温度共に下がらずに、ブラウンGPが持つタイヤの発熱性が悪いという問題も発生しなかった。

レース終盤は、ソフトタイヤでペースの落ちたウェバーとのバトルを楽しませてくれたバトン。
2009年のチャンピオンにふさわしいドライビングだった。


▽可夢偉 アゲイン

ブラジルGPで印象に残る走りを披露してくれた小林可夢偉だったが、ここアブダビでも素晴らしい走りを見せてくれた。
ワールドチャンピオンのライコネンとバトンをコース上で抜き去り、チームメイトのツゥルーリより上位の6位入賞。

今シーズンのルールにより、テストが禁止されている状況は、新人ドライバーにはかなり厳しい。
あのベテランのフィジケラですらフェラーリに移籍した後は、まったく活躍ができていない。

可夢偉の素晴らしい走りが、高いトヨタの戦闘力に依存していることは間違いがないが、だからこそチームメイトのツゥルーリを上回る順位でフィニッシュしたことは評価できる。
確かにツゥルーリと可夢偉は、2ストップと1ストップで戦術が違った。
だが、二人のラップタイムを見ると燃料搭載量の差を考えても、ほぼ互角である。

ブラジルGPでは、ラップタイムにかなりのばらつきが見られた可夢偉だったが、今回は燃料が減れば減っただけ、タイムアップできており、ベストラップもツゥルーリを遜色のないタイムだった。

バトンを抜いたシーンも、直前のピットストップでバトンが多くの燃料を搭載していたことが大きな要因であるが、それでもあの場面でまたバトンを抜きにかかる姿勢がいい。

ブラジルGPでいろいろと批判されてきた彼のドライビングだが、それでも抜きにかかるメンタリティは本物のレーサーである。
そして実際に抜いてしまう彼の技術は、見事としかいいようがない。

実際、彼の6位入賞はライコネンとバトンの二人をコース上で抜いたことが大きな要因である。
そういう意味では実力で勝ち取った6位である。
決して上位陣が脱落しての結果ではない。

トヨタのツゥルーリとグロックが来シーズン、チームを離れることが決定的な今、小林可夢偉の将来は大きく開けようとしている。
確かにグロックの代わりにブラジルGPで乗れたことは幸運であった。
だが、そこでの走りは実力である。
そして、ブラジルの走りがあったからこそ、アブダビがある。
ほんの1ヶ月前には、来シーズンの活動すら見えていなかった可夢偉がである。

事前テストがない状態で、いくらマシンが良いからといって2レース目で入賞することは並大抵のことではない。

彼の来シーズンがあることを願い、そして来年に期待したい。

※この観戦記は、トヨタ撤退前に書かれています。
トヨタの撤退に関しては、別のコラムに書かせていただきます。


▽ライコネンの終戦

11位でスタートしたライコネンは、フェラーリでの最後のレースを12位で終えた。
だが、これは致し方がない。
シーズン半ばで早々に今年のマシン開発をあきらめたフェラーリのマシンは、明らかに戦闘力がなかった。
それでも終盤にライコネンがポイントを獲得していたのは、彼の才能が大きな理由である。

正直後半戦で、彼以外のドライバーがフェラーリに乗っていたらポイントを獲得するは、難しかっただろう。
ましてスパで勝つなどと言うことは、彼以外の誰にもできないであろう。

それだけに、来シーズン彼の才能が見られなくなるようなことがあれば、F1にとっては大きな損失である。
現在、マクラーレンと彼のマネージメントチームは条件面での細かい詰めをおこなっている最中である。

勝てるマシンに乗ったライコネンの走りを来年も見てみたい。


▽ルノー最後のレース アロンソ

もう一人のワールドチャンピオン フェルナンド・アロンソもルノーでの最後のレースを14位で終えた。
ルノーもシーズン半ばに今年のマシン開発を凍結。
フォース・インディアの躍進などもあり、恐らくグリッド上で最も遅いマシンの一台だろう。
それだけに、アロンソがシンガポールで表彰台を獲得したのは、驚き以外の何ものでもない。

だからピケJRやグロージャンが苦労しているのは、当たり前なのである。
アロンソは優れているから、何とか結果を残しているが、普通のドライバーでは、乗りこなすことすら難しいのが、今年のルノーのマシンである。

来シーズンは、フェラーリへ移籍することが決まっているアロンソであるが、彼のリーダーシップは、フェラーリが必要としていることであり、来年のアロンソは期待ができそうである。


▽さよならBMW

エンジン供給から含めると約10年活動をしてきたBMWのF1活動が終わった。
シーズン序盤はKERSを搭載して、戦闘力がまったくなかったBMWだったが、KERSを外してから急速に開発が進んだことは皮肉である。

シーズン終盤はクビサが表彰台に登るなど、著しく戦闘力を上げたBMW。

結局、コンストラクターとしての勝利はわずかに1勝だけであった。
それでも彼らがウィリアムズへのエンジン供給で見せてくれた、パワーには驚かされた。

彼らの後継チームが来シーズン継続して参戦できるかどうかは、まだ未定である。
素晴らしいプライベートチームである、ザウバーの系統を引き継ぐこのチームに未来があることを願いたい。




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