F1 ニュース&コラム Passion

2014 Rd.12 ベルギーGP観戦記 リカルドが勝てる理由

498755951_CM_7051_C783F1ABD16107C1A67C01BBAEB9950D-s 勝利したリカルドはどうだったのであろうか。もちろん彼には幸運も味方した。もしメルセデスが同士討ちをしなければ、勝利はなかった。今回のメルセデスはいつも以上に圧倒的な競争力があった。終盤リカルドを追いかけるロズベルグは2秒以上も速く、ある周のタイムは3.5秒も速かった。 これでは勝負にならない。だがメルセデスの2台は接触し、ハミルトンは完全に勝負から脱落し、ロズベルグも大きく後退した。今年はメルセデスにトラブルが起きることはあったが、いつも勝つのはリカルドである。もちろんレッドブルのマシンは悪くない。パワーユニットは競争力がないがダウンフォースはあり、トータルではメルセデスの次のグループにはいる。 今回のレッドブルはダウンフォースの少ないパッケージを持ち込んだ。これは大成功であった。もちろんストレートスピードが重要なスパで、ルノーのパワーユニットによるアシストが期待できないという理由もあった。だがそれでもこのスパでウィリアムズよりも速かったのは、驚きであった。それほどメルセデスとルノーのパワーユニットは差がある。 だがマシンが良かっただけで勝てるほど、今年のF1は簡単ではない。しかもリカルドの乗るマシンはメルセデスではなくレッドブルである。マシンが良くて、幸運があっても勝てるのはいつもリカルドである。その理由はどこにあるのであろうか。 優勝したリカルドと2位のロズベルグとの差はわずかに3秒である。3秒と言うことは44周のレースを考えると1周0.1秒の差もない。1周0.1秒のタイムを失うのは、トラブルがなくても簡単である。ライバルと戦う時、速く走れるドライバーはF1では当たり前である。 だが意外とライバルと直接戦っていない時に、安定して速いタイムで走れるドライバーは少ない。それは1レースで見ればほんの少ない差しか生まない。だが今回のようにライバルにトラブルがあった時に勝利することができるし、年間チャンピオンをとるのもそういうドライバーである。 これは能力の問題ではなく、意志の問題である。F1に来るドライバーのほとんどは能力が高い。にも関わらず成績に差が出てくるのは能力ではなく、意志に違いがあるからである。 アロンソがチャンスの時に勝てるのも、チャンピオンになれるのも、遅いマシンでチャンピオンを争うことができるのも、そういう事ができるからである。 そしてリカルドもそれができる能力があると考えていいだろう。そうでなければメルセデス圧勝の今年、3勝もあげることはできない。メルセデス以外のドライバーで勝っているのはリカルドだけである。 リカルドが勝つのは決してマシンがいいからだけではないし、幸運なだけでもない。彼の未来は輝いている。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください