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2014 Rd.16 ロシアGP観戦記 可夢偉への意味不明な指令 

15320180087_5f26ba8472_k 前回、ケータハムをF1チームとしての体裁をなしていないと書いたが、今回はそれ以上の事が起こった。順調に走っていた可夢偉に対してチームからピットインするように伝えられる。可夢偉は通常のタイヤ交換だと思いピットへ向かう。だが可夢偉に対して告げられたのは、リタイヤだった。しかもエンジニアからではなく、マネージメントからこれを告げられたと言われている。これは極めて異例である。 公式的にはブレーキ温度が上がりすぎたのでリタイヤしたと発表されている。だが可夢偉はブレーキングに異常を感じていない。普通、ブレーキ温度が危険なほど上がれば、効きがあまくなったり、フィーリングが悪くなったりするのであるが、本人からそのような報告はない。 資金不足のケータハムは、新しいパーツを作る余裕もない。既に耐用距離ギリギリのパーツもあり、スペアさえないパーツもある。その為、可夢偉をこれ以上走らせるのは危険と考えたか、これ以上走らせてもパーツの消耗が進むと判断したのかもしれない。 実際、可夢偉はフリー走行2回目で、走行距離を制限された。マシンのパーツを温存するためである。本来、初開催のサーキットであれば多くの距離を走り、ドライバーはコースになれ、マシンのデータを収集するのが通常である。それすらできないところにケータハムの苦しさが表れている。 毎レース、毎レース直前にならないとレースに参加できるかどうかわからない可夢偉。次回、USGPでリザーブドライバーのメルヒがFP1を走行すれば、スーパーライセンスの発行条件を満たすかもしれない。そうなると可夢偉は次のレースが最後になる可能性もある。 だがケータハムがこの状態であれば、もうレースに参加する意味はないかもしれない。レースでもまともに走らせてもらえないのであれば、マシンをドライブする意味がない。