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マルシア復帰はライバルチームが妨害

F1 Grand Prix of Russia 2015年のF1への参戦を目指して交渉しているマルシアであるが、その試みはライバルチームに妨害されるかもしれない。 2015年に復帰する際にはマノー グランプリと呼ばれることになるだろうマルシアは現在、新しい投資家グループと交渉を継続中である。 マルシアは管財人の管理から抜けて、2月19日から活動の再開が認められる予定である。 その投資家の1人と見られるのが英国最大のスーパーマーケットチェーンの元社長であったジャスティン・キングであると見られている。彼は2013年の英国F3チャンピオンで、今年GP2に参戦するジョーダン・キングの父親である。 もしキングが新しい投資家になった場合、当然来年は息子のジョーダンがスーパーライセンスを取得できるという条件付きだが、マルシアのシートの一つを確保することになる。 だがこの投資交渉が成立しても一つの問題点がある。それはマルシアはこの数ヶ月操業を停止していたので、2015年のルールにあった新車の開発が止まっていて、用意できないのである。 現在のルールでは2014年仕様のマシンでレースを走ることが認められている。だがそれには、他のチームが全て合意すればという条件がある。 そして現時点で少なくとも一つのチームがこれに反対すると見られている。理由はマルシアが持つ分配金である。 マルシアは昨年、チーム創設以来最高の成績を収めた。モナコでビアンキが8位入賞を果たしコンストラクターズランキングで9位になったのである。これで彼らは分配金を得る権利を得た。 だがその分配金を実際に得るには2015年にF1参戦しなければならない。そしてその反対しているチームはその分配金を狙っていると言われている。そういうと、このチームがどこかはだいたい察しがつく。 ただその金額がおよそ70億円と言われれば、そのチームがマルシアの復帰を歓迎しなくても納得である。これだけの収入が見込めれば、年間活動資金のかなりの割合を賄うことができる。 キングが投資交渉を継続しているのも、この分配金の存在が大きい。だからこの投資案件がまとまるかどうかは、全てはこの合意が取れるかどうかにかかってくる。 マルシアはこの案件を木曜日に開催されるF1戦略グループの会議に持ち込もうとしている。もしこの会議で状況が好転しなければ、最後の頼みはF1界のビジネス面を取り仕切るバーニー・エクレストンとなる。 問題はバーニーがあと1チームを追加したいかどうかである。現時点では9チームの参加が予定されている。これでは18台しか出走せず迫力不足は否めない。しかもテレビ放送契約には最低参加台数が定められていると言われており、それを確保するためにもバーニーが動く可能性はある。しかもフォースインディアも参加が微妙な状況では、バーニーがマルシアを救済する可能性は残されている。 昨年最後の3レースを欠場したマルシアは約50億円の負債を抱えて管財人の管理下に入っていた。最大の債権者はパワーユニットを供給しているフェラーリで、その代金約25億円が未払いになっている。この負債も分配金があれば支払うことが可能である。 また投資交渉が成功しても、昨年末にチームは全スタッフを解雇しているので、再び集めなければならなくなる。 マルシア復帰の可能性はまだ残されてはいるが、彼らの将来は依然として不透明である。