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ホンダが苦しむパワーユニットのドライバビリティとは?

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_L4R1742 昨年から「パワーユニットのドライバビリティ」という言葉が頻繁に出てくる。これはどういう意味なのだろうか? F1の場合、パワーユニットは加速する為だけに使うわけではなく、マシンのコーナーリングの際にも大きな役割を担う。F1の場合、マシンの向きを変える際、そのきっかけを作るのはステアリングであるが、その後の角度を決めるのはアクセルワークから生み出されるパワーである。わかりやすく言うと、F1マシンは後輪を滑らしながら、マシンの向きを変える。だからこのパワーの出方が、ドライビングのしやすさに直結してくるのである。 つまり唐突にパワーが出てくるとマシンは簡単にスピンしてしまう。もちろんF1ドライバー達は超絶の反射神経を持っているので、毎回スピンするわけではない。だがこうなると思い切ってアクセルを踏むことができなくなるので、速く走ることは難しい。 昨年、ベッテルやライコネンが冴えなかったのも、これがその一因である。 ターボを使ったエンジンとブレーキングで回生するMGU-K、ターボから電気を作るMGU-H。そしてMGU-KとMGU-Hが発電した電気を使ってモーターで、加速をアシストするのだが、電気の発電量は毎回違うし、エンジンが稼ぐパワーとモーターが作成するパワーを微妙にミックスしないとマシンはドライバーの意図通りに動いてくれない。これはとても複雑で、困難なミッションである。 実はこれは今の複雑なパワーユニットが出てくる前にも、存在した問題である。 昔主流だったフォード・コスワースのV8はドライバビリティに優れ、フェラーリの12気筒はそうではないと言われていた。これはV8エンジンの方が一気筒当たりの排気量が多く、低速回転でのトルクが多いので、低速からの加速では有利であり、マシンのコーナーリング中のドライビングもしやすかった。だからパワーで劣るV8エンジンでも12気筒エンジンと対等に戦えたのである。 F1のエンジンがパワーだけで決まるのであれば、12気筒エンジンが必ず勝つはずである。しかし実際は8気筒エンジンもそのドライバビリティの良さとコンパクトさを活かして、一時は12気筒エンジンを寄せ付けない時代すらあった。 ただ昔はエンジン単体だけを考えれば良く、エンジンの気筒数により大まかな特性は決まるので、それほど複雑ではなかった(今ほどコンピュータが計算することができなかったので、別の意味では難しく、長年の経験と勘が非常に重要であった)。だが今のパワーユニットは信じられないほど複雑である。コンピュータが常に計算しながら、出すパワーを調整している。これは全てソフトウェアの仕事である。 つまりドライバビリティを改善すると言うことは、ソフトウェアを改善すると言うこととほぼ同じ意味を持つ。ホンダがこれまでトークンを使わないでいたのも、まだまだこのソフトウェアで改善できる部分があったからで、それがある一定レベルに行かなければ、ハードを変更してもあまり意味がなく、またハードにトラブルが出たときに問題点がソフトなのかハードなのかが判明しにくく、混乱するからである。