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2012 Rd15 日本GP観戦記 可夢偉表彰台の裏側

 ▽可夢偉の表彰台の裏側

今回、自信満々で望んだ可夢偉だったが金曜日が終わった時点では調子がでなかった。もっとも期待が大きかっただけで、普通の成績は残せる程度のペースはあった。だが可夢偉は鈴鹿で最初から表彰台を狙ってきていた。セッティングを変えたのぞんだ土曜日に状況は好転。予選ではイエローフラッグ区間中にも関わらずタイムアタックを敢行して予選4位、バトンのペナルティにより3番グリッドからのスタートを得た。


可夢偉の表彰台に幸運が味方したことは否定しようがない。グロージャンミサイルがウェバーを撃沈し、ライコネンとアロンソが接触。バトンはギアボックストラブルで8番手スタート。ハミルトンはセットアップの完全に誤った。

しかしこれは仕方のないことである。ザウバー程度の中規模チームの場合、実力だけで表彰台を狙うのは不可能に近い。とくに最近はマシンの信頼性が高くなり上位陣のマシンがメカニカルトラブルでリタイヤすることが少なくなったことが更に状況を難しくしている。


最大の鬼門だだったスタートを上手く決めた可夢偉。彼はソフトタイヤでは非常にペースがよかった。そしてバトンが13周目にタイヤ交換に入る。可夢偉も素早く反応し次の周にタイヤ交換。バトンはタイヤ交換していないリカルドに抑えられていたので彼の前でコースに戻った可夢偉だったが、彼もまたリカルドの後ろに戻って2周半の間抑え込まれてしまう。

これでマッサに先に行かれて3位に後退。もしこの時、冷静に状況を判断しもう一周遅くタイヤ交換していればリカルドの前でコースに復帰しマッサに抜かれずに2位をキープできていただろう。だがあそこでタイヤ交換しないとバトンに抜かれる可能性もあったわけで、バトンに反応したこと自体は責められるべきでない。

 タイヤをハードに変更したらバトンの方がペースがよくなった。この後は迫り来るバトンとの表彰台をかけた一騎打ちである。徐々に可夢偉に迫るバトンだったが、終盤にこの二人はお互いに全セクター自己ベストを出しつつ限界ギリギリの走りを見せてくれた。

タイヤの状況も良くない中で限界アタックでもほとんどミスをしない二人。まさにF1ドライバーのすごさを見せつけてくれた見事なドライビングだった。この素晴らしい走りは可夢偉がF1ドライバーとしての資質を有していることを証明してくれた。


▽マッサ2年ぶりの表彰台

マッサがやっと表彰台に復活した。マッサはQ2で脱落したので新品のソフトタイヤでスタート。これが勝負の分かれ目だった。バトンは13周目、可夢偉は14周目にタイヤ交換。

ところがこの二人はタイヤ交換していないリカルドの後ろでコースに戻ってしまう。これで1周辺り1秒以上遅いリカルドのペースに抑えられた二台を尻目にマッサは好調なペースを刻む。そして新品のソフトを活かして3周遅れ(これはQ3でのアタック周回数)でタイヤ交換したマッサは見事に二台を抜き2位でコースに復帰した。その後もハードタイヤで順調なペースを刻むマッサは危なげなくフィニッシュ。2010年の韓国GP以来の表彰台となった。

これは彼にとって大きな結果で、来年のシートを確保できるかもしれない。


▽レッドブルは完全に逆転した

ここに来てレッドブルはマクラーレンを逆転した。シンガポールで改良型リアサスペンションを持ち込みトラクションとタイヤの持ちを改善。リアのRDSも導入し予選での速さに改善が見られた。さらに鈴鹿でも金曜日の夜に新しいフロントウィングを手持ちで持ち込み、ポールポジションと決勝での優勝をを得た。日本GPでレッドブル以外に勝ち目はなかった

と言える。これまでもレッドブルのレースペースは良かったのだが、予選でのスピード不足が足を引っ張っていた。ここにきて予選での速さも復活したレッドブル。こうなると手が付けられなくなる。

アロンソがリタイヤしベッテルが優勝した結果、両者のポイント差は4ポイント差になった。

最近の勢いの差を考えるとこれはもはやないも同然である。これでベッテルは3年連続のチャンピオン獲得も視野に入ってきた。


▽トラブルに沈んだハミルトン
優勝候補の一角と見られていたハミルトンだったが、いいところがなかった。その理由はサスペンション・システムのパーツのトラブル。これにより金曜日はオーバーステアだったハミルトンはセットアップを変えた土曜日日曜日はひどいアンダーステアに見舞われて全く勝負にならなかった。ところが20周を過ぎた辺りでマシンに軽い衝撃を覚えたハミルトン。
そこから全く曲がらなかったマシンが曲がるようになった。どうやらその理由は大きなタイヤカスが空力パーツに挟まり空力バランスを変えたようなのだ。ただ時は既に遅し。その後順調に順位を戻したハミルトンは5位でフィニッシュするのが精一杯。シンガポールGPでのギアボックストラブルといい最近のマクラーレンはらしくないトラブルが続いている。

ちなみにバトンがレース中にギアボックスに違和感を訴えていた問題は、センサー関係のトラブルだった。最初のピットイン時、右リアのダクト内部から発火。火は走り出すとすぐに消えたがその影響でセンサーやそれを接続するワイヤーハーネスが切断。必要な情報が得られなくな
ったECUがうまくギアボックスをコントロールできなくなったようだ。マクラーレンはこの問題を一部センサーからの情報を遮断することにより解決。バトンは最後まで可夢偉と3位をかけて勝負することができた。


▽不運なアロンソ

これもまたアロンソにはどうしようにもならない結果だった。スタート直後の1コーナーでライコネンに接触されたアロンソは左リアタイヤをパンクしてリタイヤ。ただこの場合、ライコネンばかりを責められない。1コーナー手前でライコネンはアロンソの左後ろにいて、アロンソが少し左に寄ってきた。その為彼は行き場を失いダートへ少し出た。そこで少しだけコントロールを失ったキミのフロントウィングがアロンソの左リアタイヤに軽く接触し、アロンソはパンクしてスピン。ノーポイントで終わった。

これでアロンソは絶体絶命のピンチに立

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