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タイヤバーストはフェラーリの責任なのか?

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  残るはあと1周半。それさえ走り切れればベッテルは、またも2台の最速メルセデスの次で表彰台に上れるはずだった。これは彼のスタート順位(8位)を考えれば、上々の結果である。 ベッテルとフェラーリは8位から上位進出するための秘策があった。それがワンストップ作戦である。このレースでは2ストップが主流で、3ストップもある予想だった。だがフェラーリは予想を裏切った。そしてその結果、彼らは表彰目前までたどり着いた。だがタイヤのバーストで彼らの望みは砕け散った。 ピレリは2ストップか3ストップを推奨しており、フェラーリはそれを無視したと非難している。ではフェラーリはタイヤメーカーの勧めを無視し、ギャンブルを失敗させた愚か者なのか。 だが実はピレリはミディアムは40周程度持つと予想していた。ベッテルのタイヤがバーストしたのは28周目。まだまだ余裕があった。これについてピレリは、40周走れるというのはあくまでも目安であり、状況によって変化すると弁解している。 だが通常、路面状況はスタート直後よりレース終盤の方が改善される。だからタイヤ的には序盤より後半の方が楽になるし、後半は燃料も減るから重量も軽くなりタイヤの負担は減る。 各チームには、専属担当のピレリのエンジニアが付いている。フェラーリがこの作戦をレース前に決定した時、そのエンジニアは反対しなかった。 ピレリは、ベッテルとフェラーリがタイヤを酷使したのが、タイヤバーストの原因であると述べてているが、実はベッテルのタイムはバースト直前でも安定していた。つまりベッテルのタイヤはそれほど酷使されていたわけではない。 タイヤトレッド上にあるコンパウンドが完全に摩耗していて、タイヤの構造がむき出しになっていてバーストしたのであれば、ピレリの発言は理解できる。だがフェラーリは40周というピレリの推奨を無視したわけではないし、タイヤ空気圧やキャンバー角もピレリが指定した数値を逸脱していたわけでもない。タイヤが酷使されていたわけでもない。 であるならば、タイヤバーストの原因は他を探すしかない。ピレリはベッテルとフリー走行中に発生したロズベルグのタイヤバーストの原因は別であると断定している。ロズベルグのタイヤバーストの原因をピレリは、縁石でタイヤに傷が付いたからであると述べている。だがそもそも縁石に乗った程度で傷が付くタイヤはどうなのだろうか。ベッテルが怒りを露わにしているのは、そのことである。 F1は縁石に乗って走るのは何も特別なことではなく、普通の光景である。それにそんなに鋭敏な縁石があるのであれば、それを特定し修復しなければならない。だがスパにそんな縁石があると言う話を聞いたことがない。 シルバーストーンで問題がなかったので、ピレリのタイヤの構造自体には問題がないと思っていた。だがシルバーストーンとスパで大きな違いが一つだけあることを失念していた。それは縦Gである。スパにはオウルージュという名物コーナーがある。ここではタイヤへの強大な縦Gがかかる。通常のタイヤは横Gには強いが、縦Gには脆さを見せる。とういうのもタイヤに大きな縦Gがかかるのは、オーバルコースを除けばほとんどなく、このオウルージュくらいだからである。 ただ現時点で他のチームのタイヤに問題があったとは発表されていないので、ベッテルのタイヤも構造的な問題ではなく、タイヤ単品の製品不良なのかもしれない。 だからベッテルとフェラーリは推奨を無視して、表彰台を逃した愚か者ではない。彼らは自らの判断を信じて、表彰台を目指したチャレンジャーなのである。 私はそんな彼らを讃えたいと思う。