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ハミルトンはなぜタイヤ交換を遅らせたのか

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アブダビGPでも、今シーズン12回目の1-2フィニッシュと圧倒的な強さを見せつけたメルセデスだったが、レース終盤に興味深い動きがあった。

トップを走るニコ・ロズベルグが31周目に2回目のタイヤ交換をすませた。メルセデスは前を走るドライバーにタイヤ交換の優先権があるので、これは普通の動きである。

だが次の周にハミルトンはタイヤ交換しなかった。彼は最後のタイヤ交換をロズベルグより10周も遅くして、第2スティントをソフトタイヤで30周走った。

通常、前のドライバーがタイヤ交換すると、次の周には2位のドライバーがタイヤ交換するのが、メルセデスのやり方である。事実この日も1回目のタイヤ交換はロズベルグ10周目、ハミルトン11周目におこなった。

タイヤ交換の時期や違う種類のタイヤを使うと2人のドライバー間で有利不利が生まれるので、それを防ぐためである。また万が一、セーフティカーが登場した際に最後のタイヤ交換をすませておけば、混乱に巻き込まれて順位を失う心配がない。

だがこの日のハミルトンは違った。彼は31周目にタイヤ交換したロズベルグを2位に従えて10周走り続けた。私は彼が最後にスーパーソフトを履いてロズベルグにアタックするのではないかと思っていた。

ところがハミルトンは私の予想を超える作戦を考えていた。彼はレース中にこのタイヤで最後までいけないかとピットに尋ねている。平均的にハミルトンの方がタイヤのもたせ方が上手いからでありこの日の彼には、それしかロズベルグをかわして優勝する方法がなかったからである。

その場合ハミルトンはソフトタイヤで44周走る計算になり、さすがにそれは物理的に不可能だったし、最終的にロズベルグがハミルトンをかわして優勝したとしても、ハミルトンに違う作戦を許したチームにロズベルグが説明を求めるのは間違いなかった。

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だからハミルトンはしぶしぶ2度目のタイヤ交換をした。だがその後もハミルトンは優勝するべく、攻撃を続けた。彼はレース終盤になっても、パワーベストのモードで走り続けてロズベルグとの差を縮めようとした。

彼にはこれが今年最後のレースだし、PUを労る必要もないと思ったのかもしれない。チームとしてはレース終盤で1位と2位だからそのままフィニッシュして欲しい。もちろん二台のマシンがコース上でバトルをすることは、接触しない限りOKである。だがこの時点でPUに負荷をかけてまでバトルすることは許されない。もし万が一PUが壊れたら1-2もなくなるし、テレビに映る機会が少ないメルセデスが、PUが壊れた時だけアップになるのも、イメージ的には最悪である。

だがハミルトンにも計算があっただろう。ロズベルグは比較的新しいPUにトラブルが見つかり、今回走行距離の長いくたびれたPUを使っていた。当然、耐久性には不安がある。ハミルトンが攻めることにより、ロズベルグもPUに負荷をかければ、壊れる可能性はロズベルグの方が高い。

だがチームはハミルトンに対して、そのモードで走り続けるのであれば、ロズベルグにも同じモードで走らせると警告した。ロズベルグはレースをフィニッシュするためにパワーと不可の少ないモードで走らせていたからである。

そこまで言われてはじめてハミルトンはペースを落とした。彼としては納得はいかなかったと思う。彼のやり方は我々日本人から見るとチームワークを乱しているように見えるかもしれないが、彼は単純に誰にも負けなくないし、レースに勝ちたい思いが強いだけである。

このような一面はチャンピオンには多かれ少なかれ備わっている。ベッテルやアロンソも同じである。ただ彼らはそれを表面に出すことは少ないし、出してももう少し洗練されたやり方をするだけである。