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ハミルトンがメルセデスを去る日

f1abudhabi2015_jk1834689-s メルセデスのチーム代表であるトト・ウルフはチームメイト間の関係がうまくいかなければ、ハミルトンかロズベルグのどちらかをクビにせざるを得ないと認めている。 「2人のドライバーの難しい関係が我々の弱点のひとつであるのは間違いない」とウルフは述べた。 三回のチャンピオン(うち二回をメルセデスで)になったハミルトンはチームプレイヤーと見なされていない。 ロズベルグが勝利した最後の3レースでの彼の態度はメルセデスの首脳陣の心象を悪くさせたし、ハミルトン担当のエンジニアでさえも苛つかせた。 まるでハミルトンがメルセデスチームの我慢の限界を試しているようである。メルセデスは2年間にわたりハミルトンとロズベルグの関係をうまくいかせるために努力してきた。 先のウルフの発言はレース後のハミルトンの態度に関する警告と見る事ができる。 ハミルトンは確かに速いが、チームにとっては混乱要因にもなる存在であることをアブダビGPで見せた。彼はチームの作戦に異議を唱えて、エンジンモードをパワーが少ないモードに変更することを拒否した。最終的にはチームが、ロズベルグにも同じモードで走らせると警告したので変更したが、それはまるで子供のようでもあった。 ハミルトンは自分自身のエンジンモードを落とすことを、ロズベルグを守る行為と受け取ったようである。実際は二台のマシンをフィニッシュさせて、メルセデスの1-2を確実にするためだったのだが、彼はそうとは受け取らなかった。 そもそも二台が同じパワーモードで走らせれば、有利不利はないわけで、3位以下に大きなマージンを持っていたレース後半で二台を負荷の高いパワー優先モードで走らせる意味は全くない。 もっともロズベルグはマイレージを走ったPUで走行していたので、負荷の高いモードで走らせれば、ニコのPUが壊れる可能性は高かった。だがこのような行為はチームとして看過することはできない。それが先のような厳しいウルフの発言につながったと見られる。 だが今年の終盤にロズベルグが素晴らしいパフォーマンスを見せたのは確かだが、この2年間ハミルトンの方が速かったのも事実である。今シーズンもシンガポールGP終了時点でドライバーズランキングの3位のベッテルとの差はわずかに8ポイントだった。 圧倒的に有利なマシンに乗っているロズベルグにとっては、あってはいけない結果である。これではメルセデスも怖くてハミルトンを解雇することは難しい。だが巨大な組織であるメルセデスにとって、ハミルトンという存在は諸刃の剣であるのも間違いがない。 ではハミルトンがメルセデスを去らなければ、ロズベルグはどうするのであろうか。来シーズンが終わると契約の切れるロズベルグは他のチームとの交渉をするだろう。 交渉するから即移籍すると決まったわけではないが、それでも来シーズンの移籍市場は活発になりそうな気配である。