ベッテル 3ストップの不可解
レッドブルと優勝を争ったフェラーリのベッテルもタイヤ作戦を誤ってしまった。彼らには彼らの事情があった。
まずベッテルは第1スティントでソフトタイヤをはいてとてもいいペースで走れていた。そして最初のタイヤ交換をレッドブルやライコネンよりも遅い15周目まで引っ張った。
そしてミディアムにタイヤ交換する。この時点ではベッテルもまだ2ストップのはずだった。3ストップ作戦であればライバルよりも最初のタイヤ交換時期が早くないとおかしい。
ここでベッテルはいいタイムを出し、レッドブルとの差を縮めていくのだが、当のベッテルはそう考えていなかった。
彼は最初のソフトタイヤの感触が良かったので、ミディアムは自分達にはあわないと感じていた。しかし2ストップ作戦でいくのであれば、最後のタイヤ交換もミディアムでなければならない。
これではベッテルは勝てないと考えた。そしてメルセデスなきこのレースで、絶対に勝たなければならなかった。
そう考えていたところにリカルドが28周目にベッテルより先にタイヤ交換をして、3ストップ作戦に変更してきた。
レッドブルはレッドブルで第2スティントにおいてベッテルがいいペースだったので、このままでは逆転されるのではと考えていた。そこでレッドブルは2台の作戦を分けることにした。この時5位以下との差が開いており、タイヤ交換をしても遅いマシンに邪魔される心配がなかったこともこの判断を後押しした。
だが先ほども述べた通り、このような場合リスクを冒すのはトップを走るドライバーではなく、その後ろで走るフェルスタッペンの役割である。
ということはレッドブルはこの日はとても暑くタイヤのタレが厳しかったので、2ストップより3ストップの方が速く走れると考えたのに違いない。
金曜日と土曜日に雨が降ったバルセロナサーキットは路面がかなりきれいな状態で、決勝レースをスタートしたのも、タイヤが厳しいのを後押しした。だがレースが進むに従ってラバーがのっていき、この2人の運命は大きく変わる。
このリカルドの作戦変更をうけてベッテルも次の周にタイヤ交換をして、対応してきた。だがラバーがのってきた路面になって、ソフトをはいたベッテルは違和感を感じた。第1スティントの時と違う。
実は路面にラバーがのるにつれソフトよりミディアムの方が感触が良くなっていた。そこでベッテルはたった8周しか走っていないソフトを捨てて、ミディアムにタイヤ交換する。
だがリカルドはそこまで早くソフトタイヤに切り替える判断ができずに、43周目まで引っ張った。だがこれによりリカルドはベッテルに抜かれて4位に落ちた。
終盤に向けてリカルドはベッテルを猛追するが逆転はできずに、リカルドは優勝から4位に滑り落ちた。
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