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ベッテル 2度目の悪夢

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ベッテルはまたも、勝てるチャンスを失ってしまった。

最初のチャンスは開幕戦オーストラリアGPで、この時フェラーリは赤旗中断中にスーパーソフトを装着し、その後タイヤ交換をしてタイムをロス。メルセデスのロズベルグはミディアムに交換し、そのまま走りきり勝利した。

そして今回もフェラーリはタイヤ交換で大きなミスをした。抜群のスタートでメルセデスの二台をかわしたベッテルは望むべく最高のレース展開となった。

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ただ今回は開幕戦と違い二位のハミルトンを引き離すことができない。もともとこのサーキットはメルセデス向きであり、フェラーリには不得意である。

だが今回はアップグレードしたPUの性能もあり、彼らのトップスピードはメルセデスよりも速かった。予選でもベッテルはポールポジションを狙っていたほど手応えを感じていた。

だからハミルトンはベッテルに迫ることはできても抜くことはできなかった。

この状況でベッテルが先に動いた。バーチャルセーフティカーが出ていた11周目にスーパーソフトに交換した。これでベッテルの2ストップは確定であった。

今回、ピレリは今までとは違いソフト1種類だけに使用義務を課した。だからこの時点でベッテルはもう1回タイヤ交換、すなわちソフトタイヤに交換しなければならなくなった。ここはひとつのポイントであった。

もし通常通りにピレリが硬い方の2種類のタイヤ、カナダではソフトとスーパーソフトに使用義務を課していれば、ベッテルは最後のスティントもスーパーソフトを履くことができた。そうすればもっとハミルトンに迫ってプレッシャーかけることができただろう。

当然、フェラーリが2ストップ作戦にしたのは理由がある。ひとつはカナダが抜けるレイアウトであること。ピットレーンのロスタイムが少ない 約15秒であることである。

そしてフェラーリが2ストップ作戦にした最大の理由がタイヤのタレが大きいと考えていたことである。だから彼らはツーストップにしても、ハミルトンを抜けると考えていた。だが彼らの予測は外れた。

ツーストップのベッテルとワンストップのハミルトンのペースの差は大きくなった。5秒差までは追いつけたベッテルだったが、そこでブレーキングをミスして、シケインを不通過して勝負は終わった。

最後までハミルトンのタイヤは残っていたので、ベッテルがミスなく走ったとしても逆転するのは難しかっただろう。

ではフェラーリはどうして、タイヤの計算を間違えたのだろうか。それは日曜日の気温に関係があると推測できる。

この週末は金曜日が暖かく、土曜日、日曜日と気温が下がってきた。ここでは珍しくはないが気温は20度程度であった。

そのためにタイヤのタレが抑えられて、最後までもったと考えられる。

金曜日と日曜日のコンディションが大きく違う場合、あとはエンジニアの経験と勘が頼りである。そういう意味では今回も、メルセデスの作戦担当の方が一枚上手だったと言える。

だがスペインやモナコでもそうだが、トップを走るドライバーが先に動く理由はない。焦って仕掛けるのは後ろを走るドライバーである。

フェラーリはスタート前からツーストップ作戦だったと思うが、トップになった時点でハミルトンの出方を探り、合わせても良かった。

それにタイヤのウォームアップに不安があったフェラーリだが、これまでもタイヤに関してはメルセデスよりも持ちが良かったので、メルセデスに合わせても、苦しいのはメルセデスの方だった。

それでもレース中の限られた時間と情報の中で、正しい判断するのは簡単ではない。

ただメルセデスとライバルたちにはマシンの競争力以外にも差があるのは事実である。

そして今回も苦しみながらも、メルセデスが勝利したのである。

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