F1 ニュース&コラム Passion

ハミルトン スタートの悪夢再び

Großer Preis von Japan 2016, Sonntag

Großer Preis von Japan 2016, Sonntag

またもハミルトンはスタートに失敗し、自ら勝てる可能性をなくしてしまった。しかも今回はクラッチの問題ではなく、自分自身のミスである。 スタートライトが消滅した瞬間、ハミルトンのマシンも他のマシンと同じように動き出している。だがそこからの加速が鈍かった。彼は動き始めたその後にアクセルを踏みすぎてホイルスピン。加速が鈍く後続のマシンに抜かれて8位にまで落ちた。 これは追い抜きが難しい鈴鹿では致命的なミスである。それでも3位にまで挽回したハミルトンの走りは素晴らしかった。タイヤ交換でアンダーカットしたり、コース上で見事なオーバーテイクを見せた。しかも第3スティントではベストラップを更新してフェルスタッペンに肉薄し抜けなかったものの表彰台の一角を占めた。どれもがハミルトンならではの走りだった。 ハミルトンは全力で走り、トップのロズベルグとの差を数秒までに縮めたが、これはロズベルグがタイヤをいたわった結果であり、ロズベルグがその気になればハミルトンを引き離すことは容易だっただろう。 鈴鹿を終えて残り4レースになった時点ではこの3位も彼を慰めることはできない。シーズン終盤になったこの時点では最終順位だけが重要であり、タイム差や走りの内容はあまり意味がない。 ハミルトンはこのレースでロズベルグとの差を広げられた。これで2人の差は32ポイント差である。これは残り4レースをロズベルグが全て2位、ハミルトンが4連勝しても逆転できない。つまりこの時点でハミルトンの自力優勝はなくなった。 ロズベルグはハミルトンが優勝しても2位になればダメージはほとんどない。だから彼は何も焦る必要がない。 メルセデスのマシンをもってすれば、予選で普通に走れば2位は確実であり、スタートで大失敗しない限り2位の座を失うことは難しい。 ハミルトンにできることは優勝し続けることだけ。結果はロズベルグ次第である。ハミルトンの唯一の望みは、シーズン中盤でロズベルグが見せた自滅だけである。シーズン中盤にポイントをリードしていたロズベルグは自滅して、ハミルトンの逆転を許した。 だがここまでくればロズベルグが慌てることはないだろう。もう少しハミルトンがポイント差を縮めることができればチャンスもあるのだが、あとはロズベルグのトラブル待ちという状態である。 今シーズンのチャンピオン争いはカウントダウンに入った。あとはハミルトンのがんばりに期待するしかない。