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SONYがマクラーレンのスポンサーにならない理由

日本のソニーがマクラーレンの2014年のスポンサーになると噂されている。だが本当にソニーはマクラーレンのスポンサーになるのだろうか? 結論から言うとソニーがマクラーレンのスポンサーになる可能性はかなり低いと考えざるを得ない。現在、ソニーはFIFA(国際サッカー連盟、ワールドカップを開催する組織)と8年間の契約を締結していて2014年はその最後の年に当たる。彼らがFIFAと締結した契約の金額は8年間で約330億円で年間にすると約40億円である。この金額ではマクラーレンのメインスポンサーになるには額が少ない。 またF1はモータースポーツという性格上、どうしても危険と隣り合わせである。みなさんもご存じのようにF1は他のスポーツと比べても危険ではない。けが人の数も少ないし、死亡事故はしばらく発生していない。これはこれほどのスピードを持つスポーツにしては驚異的である。だが一般的に危険であるとのイメージはぬぐいきれない。逆に言うとそこが魅力でもある。マルボロやレッドブルはその危険なスポーツに挑戦するイメージをうまく利用して大成功を収めた。 だがソニーがそのイメージを利用しようとするだろうか。日本でのF1のステータスは高くはない。しかも危険である。実際には起こらないとしても人の生死がかかるスポーツに関与するほどのリスクを取れるとは思えない。かつてのソニーはベンチャースピリットあふれる企業であったが、今のソニーは大企業であり創業者もいない状況なので、ここまでの大きな決断を下すことは難しい。 F1がサッカーのワールドカップに勝るのは毎年20戦ほど開催されることである。一方のワールドカップは4年に1回の開催であるFIFAは20歳以下の世界大会やクラブ世界一を決めるクラブワールドカップも開催しているが注目度はワールドカップほどではない。 平井社長が今年の日本GPに来場していたことを理由にソニーがF1のスポンサーに興味があるという人もいるのだが、彼は来日して日本GPに来場していた世界的なテノール歌手 プラシド・ドミンゴ氏の付き添いで来ていたのであって、決してソニーが会社としてF1に興味があるとは考えない方がいい。日本企業で社長が現場に来るのであれば、それは契約を締結する時であって、それ以前は他の取締役がその任務に当たるのが普通である。 またソニーがワールドカップのスポンサーになっている理由の一つは、放送機材を提供し世界中の放送局にアピールするためでもある。放送機材は単価も高く利益率も高いドル箱商品であり、ソニーとしてはそこは譲れない部分だ。もう一つの世界的スポーツの祭典オリンピックにはライバル パナソニックがついているだけにソニーはワールドカップを手放すわけにはいかないだろう。一方、ソニーがマクラーレンのスポンサーなったとしても、FOMが彼らの機材をソニー製にすることはない。 トヨタのスポンサーにパナソニックがついていたことがあるが、これはあくまでもビジネス上のつきあいであり、通常のスポンサーとは意味合いが違う。 以上の状況を考えるとソニーがマクラーレンのスポンサーになる可能性は極めて低いというのが私の結論である。だがF1ジャーナリストとのジョー・セイワード氏は、マクラーレンの新しいスポンサーは日本企業であると明言している。ではソニーではなくマクラーレンのスポンサーになる日本企業はどこなのであろうか?数十億円レベルの広告費を投入できて、世界的な消費者向けビジネスを展開している日本企業は数が限られる。 そう考えると今、世界へ全社的なマーケティングを仕掛けたい日本企業はユニクロしかない。彼らの売上規模は約1兆円。この規模なら100億円規模の広告費を投入できる。しかもユニクロは創業者である柳井氏が指揮を執っており、大きな決断も可能である。トップダウンで物事を決められるので話も早いし、少人数で話を進められます。そうすれば噂が出てこないのも納得できます。現在、ユニクロは世界展開を大規模に推進中であり、世界的なマーケティング活動の必要性を誰よりも感じているはずです。ちなみにユニクロは、日本ではマイナーであるテニスに広告費を投入しており、その部分もF1との共通点を感じる。 ただマクラーレンがここまで来ても、スポンサーの発表時期を明確にしていないことと、ウィットマーシュが事実上の更迭をされたことを考えると、彼らが日本企業との契約締結に失敗した可能もある。 果たして開幕戦にマクラーレンは何色の衣をまとって表れるのであろうか。

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