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それでもベッテルがチャンピオンになれる理由

ロシアGPではボッタスにやぶれたベッテルであるが、このボッタスの勝利はベッテルをよりチャンピオンに近づけるかもしれない。

昨年まではメルセデスになにもなければ、ロズベルグかハミルトンが勝っていた。だからチームとしてのメルセデスはどちらのドライバーが勝とうが問題ではかった。どちらが勝ってもメルセデスの勝利であるから。

だが今年は状況がかなり異なる。今年のメルセデスの敵はフェラーリである。フェラーリに勝たなければチャンピオンにはなれない。コンストラクターズタイトルを取るには、ボッタスが勝とうが、ハミルトンが勝とうがチームとしては問題がない。

だがドライバーズ・タイトルに関していうと状況が異なる。現時点でフェラーリの勝利はベッテルが全て勝っており2勝している。メルセデスはハミルトンが1勝、ボッタスが1勝で合計2勝である。

勝利数は同じである。だからコンストラクターズの順位はロシアGP終了時点で、1位がメルセデスで2位がフェラーリであるが、その差は僅かに1ポイント。ほぼ同じである。

だがドライバーのランキングはベッテルが186ポイントで、2位は73ポイントのハミルトンである。3位のボッタスは63点、4位のライコネンは49ポイントである。

これは当然ベッテルが2勝して、ハミルトンが1勝の影響が大きい。そしてこれからもライコネンがベッテルに勝つことはあまりないと考えられるので、ベッテルが順調に勝ち星を伸ばすことが考えられる。だがメルセデスの方は二人のドライバーで勝ち星が分散する恐れがある。そうすると当然、メルセデスの二人のドライバーのポイントは延びなくなる。

しかもフェラーリは伝統的にナンバーワンドライバーを優先することでも有名である。だから彼らはライコネンにベッテルへ順位を譲るように指令することに躊躇はしない。だが昨年まではメルセデスは二人のドライバーを公平に扱ってきた。そしてこれからもそう扱うだろう。

そうなると少なくともドライバーズ・タイトル争いでは、ベッテルは有利な立場である。ボッタスがその実力を発揮してきたことで、メルセデスの首脳陣は安堵していることだろう。だが今後のフェラーリとのタイトル争いを考えると、まだまだ安心するわけにはいかない。