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チャンピオンが決まったかもしれない夜

このレースは今年のチャンピオンシップを大きく左右することになりそうだ。昨年のチャンピオン争いは実質マレーシアGPでハミルトンのパワーユニットが火を噴いた瞬間に決まったと言っても過言ではない。そして今年ハミルトンがチャンピオンになるのなら、このシンガポールGPがそのレースになるのは間違いない。
 
シンガポールGPを終えて、ハミルトンとベッテルのポイント差は28ポイント差である。まだ6レースを残していることを考えると、ベッテルは自力で逆転チャンピオンになる可能性は残されている。実際、過去にベッテルは2010年残り6レースで31ポイント差をひっくり返してるし、2012年も残り9レースで42ポイント差を逆転してチャンピオンになっている。
 
だからベッテルファンの方は、決して悲観的にならないで欲しい。ただ過去の状況とは違うのも事実である。過去二回の逆転チャンピオンの時、ベッテルには最速のマシンがあった。だからベッテルは自分の運命を自分で決めることができた。つまりレースに勝つか負けるかは彼次第であった。
 
だが今年は違う。もちろんフェラーリが速いマシンであることは間違いないが、彼らのスピードはサーキットのレイアウト次第である。今回のようなシンガポールやモナコ、ハンガリーのようにコーナーが多く平均速度低いサーキットでは最速であるが、それ以外ではメルセデスに対して分が悪い。
 
そして今後、フェラーリがメルセデスに対して優位だと思えるのはアブダビくらいで、ブラジルはイーブン。その他のサーキットはメルセデスに分がある。
 
この残りレースを全てベッテルが勝つのはかなり無理がある。例えベッテルが五勝してハミルトンが一勝だと同点になるが、これでもかなり無理のある話である。
 
そう考えるとこのシンガポールGPはベッテルにとって必ず勝たなければならないレースだった。そのレースを失った上にノーポイント。しかも6位からスタートしたハミルトンが優勝という最悪のリザルトでシンガポールを離れなければならないのはベッテルとフェラーリにとって最悪の週末である。
 
まだ自力で逆転の可能性があるベッテルだが、実際問題としてハミルトンのノーポイントレースがなければかなりは難しいだろう。そう考えると今年のチャンピオン争いはまだ終わったわけではないが、チャンピオン決定へのカウントダウンが始まったのかもしれない。
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