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ベッテル チャンピオンはほぼ絶望


スタート前はワクワクするような状況だった。ランキングトップのハミルトンがポールからスタートし、2番手グリッドはランキング2位のベッテル。二強がドライバーズサーキットである鈴鹿で、がっぷり組み合っての激しい戦い。それは2人のファンならずとも楽しみなレースになるはずだった。だがその希望は1周目から裏切られることになる。
 
ハミルトンとの差を縮めるというベッテルの希望を打ち砕いたのはスパークプラグという名の小さな部品である。70年代ならいざ知らず、最近ではほとんど聞くこともない部品である。だがパワーユニットがどれほど複雑になろうと、エンジンから動力を得る以上、シリンダー内でプラグが火をつけない限り1ミリも前には動かない。
 
ダミーグリッドに着く前のレコノサンスラップでは異常は感じられなかったのだが、グリッド上で最終チェックのためエンジンを始動させた時に異常を検知した。グリッド上でカウルを開けて原因はスパークプラグだとまではわかったが、今のパワーユニットは複雑であり、プラグ変えるにも20分ほどの時間がかかるため、交換した場合スタートに間に合わないと判断し、フェラーリはそのままスタートをきることを選択した。
 
スタートでは2位をキープしたベッテルだったが、プラグに異常があり5気筒となった状態では戦えるはずもなく、1周めから順位を落とした。VSC中もエンジンモードを変更したりして、一時的には問題が解決することもあったが、完全にはよくならず、このまま走ってもポイント取れる望みもないことから、VSCが解除された後にピットに向かいリタイヤとなった。
 
予選では問題がなく、レース前にいきなり故障するというのも不可解ではあるが、これでベッテルがチャンピオンになる希望はほぼなくなった。あとの希望はハミルトンがリタイヤすることだが、このレースの後で勝ったハミルトンですら厳しいレースだったことを明かしているので、ベッテルとフェラーリはまだ諦める必要はないかもしれない。