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リカルド大逆転のなぞ 中国GP観戦記


 
 
予選で有利とみられていたメルセデスをフェラーリのベッテルが圧倒。スタートでも1位をキープし、追い抜きが難しいレイアウトの上海インターナショナルサーキットでほぼ開幕からの三連勝を手にしたかと思われたが、思わぬところから勝利は手からすり抜けてしまった。
 
勝負の鍵はまたもセーフティカーであった。トロロッソの二台が接触し、パーツが散乱。タイヤがパンクする危険があったのでセーフティカーが出動した。ここですでにタイヤ交換をすませていた上位の四台、フェラーリとメルセデスはそのままステイアウトする。彼らはミディアムで最後まで走りきる作戦である。
 
ところがここでツーストップ作戦だったレッドブルが二台同時にタイヤ交換を実行。二台の差は6秒程度しかなかったから、これはかなり難易度の高いタイヤ交換である。だがこのタイヤ交換を成功させたレッドブルは二台にソフトタイヤを履かせて送りだす。
 
この時上位の四台は全てミディアムでワンストップ。それでも逃げ切れると思われていた。だがラバーがかなり乗った路面、夕方に向けて路面温度が下がり、動作温度領域の低いソフトと高いミディアムタイヤ等の状況が複雑に絡み合いソフトを履いたレッドブルは最強に速かった。時にはメルセデスとフェラーリに対して2秒以上も速い周もあったくらいで、追い抜きの難しい上海インターナショナルサーキットにも関わらず、リカルドは上位の四台をゴボウ抜きにしていく。
 
だがこの勝利は実はフェルスタッペンのものだった可能性が高い。というのもタイヤ交換を終えた時点でフェルスタッペンがリカルドの前を走っていた。だが若いフェルスタッペンは追い抜きが難しいコーナーで、ハミルトンに仕掛けて接触を避ける為にコースオフ。これでリカルドに前に行かれた。さらにフェルスタッペンはベッテルを抜く際に接触し、10秒加算のペナルティを受けて、勝利のチケットをみすみす手放してしまった。
 
フェルスタッペンはレース後、アグレッシブにアタックするスタイルは変えないと言っている。もちろんアグレッシブさは彼のストロングポイントであるのは間違いないが、このままではチャンピオンになれない。チャンピオン争いは一点差や二点差で決まることも多い。一回の接触でタイトルを落とすこともある。
 
だから彼が彼のスタイルを変えるかどうかは彼の問題だからなにも言わないが、時と場所を考えてアタックしない限り、タイトルを取れないのは明らかである。
 
だがリカルドは違った。この日のオーバーテイクは見事なのもので、ブレーキでタイヤをロックすることさえほとんどなかった。特にターン6でボッタスを抜いたのはこの日のハイライトといえる。
 
勝利のきっかけは偶然から生まれたが、それを自分の力で手にしたのはリカルドである。彼がいいマシンに乗れればチャンピオンも可能であることを見せてくれたレースとなった。
 
それにしてもFP3終盤にPUトラブルに見舞われ、予選Q1も最後までアタックできなかったリカルド。予選を走れなければ最後尾スタートの可能性もあったことを考えるとまさに大逆転の勝利となった。