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別人のようなボッタス アゼルバイジャンGP観戦記

2019 Azerbaijan Grand Prix, Saturday – LAT Images

▽一味違う今年のボッタス
今回のボッタスの勝利には正直驚かされましたね。今までも勝つこともありましたが、今回の勝利は一番価値がある勝利です。
 
スタートでハミルトンに並びかけられて、しかもターン1でインに入られますが、ギリギリの走りでそれを凌ぎます。この時アウト側には壁があるので、ほんの少しでもミスをすれば全ては終わりの状況です。
 
これまでの彼ならば、アクセルを緩めて安全な走りを選択していたでしょう。しかしこの日は違いました。ハミルトンに対して一歩も引かず、その後のストレートでもハミルトンに隙を与えません。
 
レース終盤にVSCが入りハミルトンとの差が縮まっても全く焦ることなく、すぐに1秒以上に差を広げDRS圏外に引き離し、逃げ切った走りは素晴らしいとしか言いようがありません。
 
逆転でポールポジションを取った走りも見事でした。最初のアタックではハミルトンに0.5秒近い差をつけられてからの逆転です。しかも最後のアタックはハミルトンの前で走りました。これはつまりハミルトンはボッタスのスリップが使えるのに、ボッタスは使えないということです。そういう条件にもかかわらずポールを取ったのは素晴らしいとしかいえません。ボッタスとハミルトンとの差は僅かに0.059秒。ほとんど同タイムと言っていい差です。それでも速い奴が偉いのがF1世界の掟ですからね。
 
今年のボッタスは昨年とは明らかに違います。このままフェラーリが沈んでもタイトル争いは盛り上がるかもしれません。
 

GP ARZERBAIJAN F1/2019 – VENERDÌ 26/04/2019
credit: @Scuderia Ferrari Press Office

 
▽またも失速したフェラーリ
今回のフェラーリはドライバーのミスから崩れました。ルクレールがQ2で壁に激突してQ3進出したもののアタックできず10位スタート。これでは勝つのは難しいですね。
 
ルクレールはミディアムでアタックしていたのですが、ソフトと同じタイミングでブレーキングをしてしまい、タイヤをロックしオーバースピードでコーナーに飛び込みクラッシュしました。
 
これでフェラーリのベッテルはQ3でスリップを使えずにメルセデスに抵抗することもできず、予選3位となりました。
 
レースでもベッテルは終盤、フェルスタッペンの猛追を受けましたが、VSCに助けられてなんとか3位をキープするにとどまりました。
 
フェラーリはストレートでは速いのですが、コーナーでその貯金を吐き出してしまいメルセデスに負けています。そうなるとコーナーでどんだけ遅いんやという話なんですが。
 
ただ不思議なのはメルセデスが開幕のフライアウェー4戦で矢継ぎ早にアップデートしているにもかかわらず、フェラーリは限られたパーツを持ち込むのみです。
 
まさかとは思いますが、シーズン前のテストで好調だったので、アップデートはヨーロッパラウンドになってからとか考えてないですよね。
 
次のスペインでは大きなアップデートを持ち込むようなので、これに期待するしかないですね。もしこれを外したらなんてことは考えないようにしましょう。
 
 
▽あと一歩で表彰台を逃したレッドブル
今回ホンダはアップデートしたパワーユニットを持ち込みました。内容としては信頼性をアップするためのもので、パワーアップは少しだけです。
 
それでもこの長い直線があるサーキットで、フェラーリを抑え込んでいた場面もあったので、ホンダのパワーがかなりのレベルなのは明らかです。
 
予選ではガスリーがペナルティ(車検無視と燃料流量違反)の影響もありQ2でアタックしなかったので、Q3はフェルスタッペン1人となり、長い直線でスリップが使えずに予選4位にとどまりました。フェルスタッペンが言うように、スリップが使えていればポール争いにも絡めたとは思いませんが、差が確実に縮まったことは間違いありません。
 
レースでも、ソフトのペースは良くなかったですが、ミディアムは好調でタイヤ交換後に約10秒あった3位ベッテルとの差は、レース終盤1秒強の差になり、逆転は可能だったのですのが、ここでガスリーがトラブルでストップ。VSCが出てペースダウン。この際タイヤの温度を下げてしまったフェルスタッペンはレース再開後はペースが上がらず、そのまま4位となりました。
 
それでも新しいパワーユニットを投入してトラブルなしで完走できたことはいいですよね。これまで大きなトラブルがない状態で、このタイミングで新しいパワーユニットを投入したということは、今年はペナルティ受けてもいいから、新しいアップデートをバンバン入れて行くぞとの意気込みの表れです。
 
次のパワーサーキットであるカナダが楽しみですね。