2006 Rd.8 イギリスGP観戦記
今年、何回この言葉を使ったことだろう。
アロンソ完勝。
しかし、この言葉しか見つからない。
金曜日はあまり自信がないような発言が見られたアロンソだが、土曜日はポール・ポジションを獲得し、日曜日には独走で今季5勝目をマーク。
チャンピオンシップポイントの差をまた広げる結果となった。
高速、中速、低速全てのサーキットで抜群の強さを見せるアロンソ。
こうなると、もう誰にも止められない。
アロンソとミハエル・シューマッハーとの差は23ポイント。
残り10戦、全てミハエル・シューマッハーが勝ったとしても、アロンソが二位に入り続ければ、逆転できない。
これはミハエル・シューマッハーは自力でのチャンピオン獲得が不可能になったことを意味する。
あとはアロンソとルノーの自滅を待つしかないのだが、これがまた抜群の信頼性を見せている。
こう考えると、プレッシャーがかかるのはミハエルの方だ。
ミハエルは今後、絶対にリタイヤできないレースが続く。
ミハエルがリタイヤし、アロンソが優勝してしまうと決定的な差がついてしまうからだ。
▽ミハエル愕然
予選終了後のインタービューでは、燃料搭載量が多いことをにおわせ、自信を見せていたミハエル・シューマッハーだが、レースが始まると上位3人の中では、一番最初にピットイン。
アロンソより軽い状態でアタックしていたミハエル・シューマッハーだったが、その状態でもアロンソに届かなかった。
決勝レースでも重いアロンソのペースについていけない。
ライコネンに頭を抑えられる不運はあったが、予選でライコネンに負けたのだからいい訳はできない。
今回、ミハエルはアロンソに勝つチャンスがなかった。
1周の速さもレース中の速さも太刀打ちできなかった、ミハエル。
予選終了後には余裕の表情を見せていたミハエル・シューマッハーも、レース後は厳しい表情だったのが印象的だった。
誰よりもルノー&アロンソとの差を痛感しているのが彼だから。
セナが亡き後、ミハエルがここまで完敗することはほとんどなかった。
ハッキネン相手にやられたことはあったが、その時はマシンの性能差が明らかだった。
果たしてこの状態で、ミハエルは2007年も現役を続行するのか、悩む日々が続く。
アロンソには負けたが、ライコネンを第二スティント直後のスーパーラップでかわして、2位に入賞。
なんとかアロンソとの差を2ポイント広げられただけですました。
燃料搭載量が多い状態でのスーパーアタックはミハエル・シューマッハーの得意技。
まだまだ、速さを見せつけたミハエル・シューマッハーだった、それでもアロンソにはかなわなかった。
▽ライコネンも太刀打ちできず
予選では二位とアロンソに迫る速さを見せた、ライコネンだったが決勝ではアロンソのペースについていけず、2回目のピットイン時にミハエル・シューマッハーにかわされ結局3位。
マクレーレンは徐々に速さを取り戻してきてはいるが、昨年ほどの戦闘力はない。
ライコネンはチャンピオンを狙うのはあきらめて、レースに勝つことを目標に切り替えた。
だが、アロンソと同じタイヤを履いているライコネンは、アロンソが大きなミスをしない限り、勝つのは難しそうだ。
モントーヤはレース序盤で、ビルニューブに接触された時にできたダメージが、彼を悩ませ続けた。
バランスが崩れたマシンを操るモントーヤは5位のマッサに30秒の差つけられ6位になるのがやっとだった。
▽ホンダまたも…..
大きく進化を遂げたニューエンジンを持ち込んだホンダだったが、結果には結びつかなかった。
比較的高速コーナーを得意とするホンダだったので、期待されたが、まず予選でつまずいた。
なんとバトンが第一ピリオドで脱落してしまったのだ。
残り5分で飛び出していったバトンだったが、いいタイムが出ず、再アタックしようとピットインした時にマシンチェックに引っかかり時間が切れ。
1回だけのアタックで、あえなく脱落してしまった。
レースでも序盤はいいペースで走れていたが、9周目にオイル漏れで早々とリタイヤ。
散々な母国GPとなってしまった。
しかし、どうしてこういう事態になってしまったのだろう。
予選で、ルノーのようにマシンが抜群に決まっていて一発でタイムが出せる自信があれば別だが、もう少し早い時間帯に出ていればこんな事にはならなかったのに。
相変わらず、チームのオペレーションがお粗末だ。
バリチェロは予選はまずまずだったが、レースではペースが上がらない。
タイヤが新しい時は、タイムがでるのだが、タイヤが減ってくると不安定になり、思い切って攻めきれない。
しかも、シルバーストーンは路面のミューが高く、ホンダはダウンフォースが不足している。
そうするとタイヤが滑って摩耗が進み、タイムが上がらない。
低速セクションでのブレーキでも不安定で、バリチェロは思い切り攻められずに10位でレースを終える。
今後はジェフ・ウィリスがファクトリー側でマシン開発に専念するらしいのだが、もう少し大規模な組織改変と人事異動をおこなわないと、今の苦境は抜け出せない。
スーパーアグリF1はオーストラリア以来の2台完走。
シルバーストーンは空力が重要なサーキットだけに、旧型マシンのスーパーアグリF1は厳しいレースとなった。
さらに二台ともフリー走行で、コースアウトし、セットアップができてない状態で予選に臨んだ。
その為、ラップタイムも他のレース以上に差が開いた。
レース中もペースは上がらなかったが、それでも2台完走はなかなかの結果だ。
そして、山本左近が金曜日のフリー走行で、F1デビューを飾った。
トップのタイム差は7秒ほどあったが、まずまずの走りを見せた。
琢磨やモンタニーとは約2秒差。
事前テストがなかったことを考えると、合格点を与えられるだろう。
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