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資金調達したウィリアムズがそれでも危険な理由

以前、ウィリアムズが資金調達したとのニュースがありましたが、この内容を読む限りウィリアムズは安泰とはならないようです。

ウイリアムズF1、チーム施設や歴代F1マシンを担保に約37億円の融資を確保

まずこの融資の条件としてグループの土地や建物、工場、機械などが担保になっている点が気になります。つまりこの融資を返済できなければ、銀行は差し押さえたり、競売にかけたりすることができるわけです。普通はその前の段階で工場等が使えなくなります。

自社の土地や建物を担保に融資を受けることは普通のことで、特に問題はありません。ただ業績が伸びていればの話です。業績が下がる中で土地や工場を担保にするというのは、かなり危険なことです。返済できなければ、即活動停止の可能性もあります。

またもうひとつ気になるのが、この融資に、HSBC(香港上海銀行)とウイリアムズのドライバーであるニコラス・ラティフィの父親であるマイケル・ラティフィが所有するラトルス・レーシングが関わっている点です。担保を設定してお金を借りているにも関わらず、わざわざマイケル・ラティフィが絡んでいる点が気になります。普通に考えれば彼がこの融資の保証人になっていると考えるのが普通でしょう。

さらにウィリアムズはこの融資の一部で、これまで借りていたお金を返済します。これは担保なしの融資だったものを返済して、担保ありの融資に借り換えたと見るのが一般的でしょう。これはお金を借りる条件としては悪くなっています。

これらのことを総合的に考えるとウィリアムズはかなり悪い条件でお金を借りていると言うことです。逆に言うと銀行からするとかなりいい条件でお金を貸している。つまりウィリアムズが倒産しても、貸したお金は担保されていると言うことになります。

ではなぜウィリアムズが条件の悪い借入をするかというと、それでしか資金が調達できないから。つまりウィリアムズの経営状態は相当に悪化していると考えられます。

HSBCに返済して残った資金約2800万ポンド(約37億3000万円)ですが、この金額では半年は持たないでしょう。実際、ウィリアムズがどの程度の現金を保有しているかはわかりませんが、これだけ悪い条件でお金を借りているわけですから潤沢出ないのは明らかです。

さらに気になるのは、この記事の中に2019年にROKiTが支払うべき100万ドル(約1億700万円)の売掛金があるという記載です。売掛金というのは、商品を先に渡してまだお金が支払われていない状態のお金です。つまりウィリアムズは2019年、スポンサースペースをROKiTに提供していたが、一部のお金は振り込まれていなかったと言うことになります。

ここまで悪い条件が揃っていれば、例え融資がなされたとしても先日投稿した(ウィリアムズの台所事情が相当悪い理由)ように、開幕戦のグリッドにウィリアムズが並んでいても、最終戦のグリッドにいない可能性もあります。もしくは保証人になったマイケル・ラティフィの所有に変わって、グリッドに並んでいるのかもしれません。

どうなるにせよF1の歴史に名を残す名門チームであるウィリアムズの名前が残ること願ってやみません。