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ドメニカリ辞任だけでフェラーリは復活しない

フェラーリのチーム代表だったステファノ・ドメニカリが辞任した。彼の辞任でフェラーリは復活できるのであろうか? フェラーリのステファノ・ドメニカリが辞任し、後任に市販車部門のマルコ・マティアッチが指名された。 ドメニカリの辞任は実質、成績不振の責任を取らされた解任であるとの見方が強い。実際、彼がチーム代表になってからはドライバーズチャンピオンは獲得できていない。 だが全くだめだったかというとそうでもなく、彼の就任後6年間のうち3回はチャンスがあった。だが3回とも獲得はできなかった。 関連記事:ステファノ・ドメニカリ辞任 そもそもドメニカリは全ての権限を握っているわけではない。彼はドライバー選定において決定権はなく、他の権限も著しく制限されていた。そんな彼だけに成績不振の成績をとらせて辞任させても、何が改善するのか理解できない。 もっとも彼が素晴らしいリーダーの資質を持っていて、彼に権限を与えていればうまくいったとも思わない。彼のこれまでの言動を見ていると、彼にリーダーに資質が欠けているのは否めない。 つまりフェラーリはある程度、自分たちの言うことを聞く人間をチーム代表に据えたかったのであり、そういう意味では彼は適任であった。そうであれば彼に成績不振の責任を取らせる意味が理解できない。 普通、上位の人物を交代させる場合、成績を改善させることが目的になる。後任の人物の人となりを私は知らないが、マテアッツィは市販車部門でフェラーリ社内を昇進して来た人である。彼がどの程度の力があるのかは、これからの手腕次第だが、成績を改善するには彼のリーダーシップと、彼に全ての権限を集中させる必要がある。 過去のF1を見ても一時代を築くチームというのは、強いリーダーシップが見られる。それはチームオーナーの場合もあれば、そうでない場合もあるが、強烈なリーダーシップがあることは共通している。思い出せるだけでも、コーリン・チャップマン、ロン・デニス、フランク・ウィリアムズ、ジャン・トッド、フラビオ・ブリアトーレ等々である。一癖も二癖もある人物である。 チーム代表はチームに行き先を指し示す人である。未来は誰にもわからない。だから右に行くか左に行くか迷った場合は、誰が決めなければならない。それがF1の場合、チーム代表になる。どちらが正解かは後にならないとわからない。だが先に進まなければレースには参加できない。だから正解かどうかはわからないが決めなければならいのである。最悪なチーム代表は何も決められない人である。 前述の偉大なチーム代表達も全て期間で成功しているわけではない。全てのレースに勝つことはできないし、毎年チャンピオンになることもできない。ある意味決めうちしてしまうので、失敗した時のダメージも大きい。でもその分成功した時も大きく、チャンピオンになることができる。 だから全てのチームがチャンピオンになることはできないのである。チャンピオンになることができるのは思い切った決断ができる一部のチームに限られる。 チーム代表は現場と経営をつなぐ人である。モンテツェモロは優秀ではあるが現場のことを100%理解する時間はない。だが現場を理解できなければ、チームの運営をすることはできない。問題は工場ではなく、現場で起こるのである。それを解決するには現場で起こっている問題を把握して、素早く解決しなければ勝つことはできない。 だからこそチーム代表に全ての権限を集中しなければ、チームは成功できないし、成功できたとしてもそれは一瞬だけである。 今のフェラーリの2階建ての権力構造が続く限り、ドメニカリを辞任させても何も問題は解決しない。 フェラーリがそれを理解して改善するために、新しい人を任命したのであれば、フェラーリの未来は明るい。 だが権力構造を維持して、人を変えただけであれば、成績は変わらない。原因を解決せずに、結果は変わらないからである。噂では、マテアッツィは暫定人事でメルセデスのボブ・ベルやロス・ブラウンが後任の名前に上がっている。 新しいチーム代表がどういう人物であるかどうかは、これから徐々に明らかになっていくだろう。フェラーリのチーム代表は、F1においてとても注目される職で、多くの報道がなされるだろう。 この人物次第で今後のフェラーリは占える。期待したい。

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