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2006 Rd12 ドイツGP観戦記

▽ブリヂストンタイヤ三連勝 ドイツGPは開催前から騒がしかった。 フランスGP終了後、マスダンパーはレギュレーション違反している可能性があるとFIAが発表したからだ。 ルノーはマスダンパーをドイツGPへ持ってきて、車検も通っていたがレース後に失格になることを恐れて使用を自粛した。 結果的にドイツGPはミハエル・シューマッハーが三連勝をかざった。 今回もブリヂストンタイヤの優勢は続いていた。 しかし、今回はアメリカ、フランスGPで見せつけたほどの差はなかった。 ミシュランにとって不運だったのは、決勝当日の気温が予想以上に上がってしまったことだろう。 これにより、ミシュランユーザーのほとんどがリアタイヤのブリスターに悩まされた。 アロンソは第一スティントでリアタイヤのブリスターが発生し、タイムが上がらない。 第二スティントと第三スティントで、ペースが戻った時には、フェラーリは遙か彼方を独走。 終盤、ペースが戻ったアロンソは1ポイントでも多く獲得すべく、タイヤトラブルで苦しむバトンに迫るが、コースアウトしかけて万事休す。 アロンソの前を走行していた、ウェバーがリタイヤする幸運もあり、5位4ポイントをしぶとく拾った。 これでミハエル・シューマッハーとアロンソの差は11ポイント。 残り6戦、ミハエル・シューマッハーが自力で逆転できる差に縮まってきた。 それにしてもこのスペイン人チャンピオンは、信じられないくらい粘り強い。 レース終盤であわやコースアウトという場面も見られたが、素晴らしいテクニックでしのぎきった。 今は劣勢を強いられているが、この粘りで獲得したポイントが必ずシーズン終盤で生きてくるだろう。 レース中のファーステストラップを見ると、上位6台中5台がブリヂストンユーザーで占められたが、タイム差は大きくなかった。 上位9台が1秒以内にひしめく接戦。 タイヤによる絶対的な差は大きくなかったが、ブリヂストンは長い距離での安定性でミシュランを圧倒していた。 特にフェラーリの二台は、別クラスの速さだった。 レース序盤こそ、ポールポジションのライコネンにレースをリードされたが、10周目にライコネンがピットインするとその後は独走。 特筆すべきはマッサの走りだ。 ファーステストラップもミハエル・シューマッハーとほぼ同じ。 最後までミハエル・シューマッハーの背後に張り付き、2位をキープ。 そのためか、ミハエル・シューマッハーは独走のレースだったにもかかわらず、何度もブレーキをロックしていた。 夏場の三戦で、ブリヂストンが三連勝。 次のハンガロリンクではミシュランも、対策したタイヤを持ち込むだろう。 ドライバーとマシンには決定的な差がない今、ミハエル・シューマッハー対アロンソの戦いはタイヤ次第という様相になってきた。 ▽マクレーレンとトヨタ 予選の第三ピリオド前の給油が失敗し、十分な燃料搭載量が積めなかったライコネンは軽さを活かしてポールポジションを獲得。 レースでも10周まではトップをキープしたが、ピットインした際に右リアタイヤのネジの装着が上手くいかず、大きくタイムロス。 最近のマクレーレンのピットストップではこの手のミスがよく見かけられる。 さらに第二スティントでブリスターが発生し、苦しい戦いを強いられる。 それでも第三、第四スティントで、ペースを取り戻しバトンを猛追する。 最後には、ホンダのバトンをかわして三位フィニッシュ。 ライコネンにとっては予選で燃料給油のミスがあったにもかかわらず、三位に入賞できたのだから、よしとしなければいけないだろう。 燃料給油のミスがなかったとしてもフェラーリにはかなわなかったはずだ。 トヨタのツゥルーリもエンジン交換で20番手スタートになったが、順調に追い上げ、最後はルノーの二台に迫る7位でフィニッシュ。 前回同様、スタート順位がもう少しよければ表彰台も狙える走りだった。 ラルフ・シューマッハーは8番手からスタートしたが、接触やピットスルーペナルティを受けて大きく後退。 最後は9位になるのがやっとだった。 この二台のレース中のファーステストラップは4位と5位だったので何の問題もなければもっと上位でフィニッシュいできていた可能性が高かった。 ブリヂストンタイヤに助けられ、調子を上げてきているが、細かいミスをなくさなければ、表彰台は見えてこない。 ウィリアムズはニコ・ロズベルグが早々にリタイヤしたが、ウェバーが大健闘。 残り8周まで5位を走っていたが水漏れからくるエンジントラブルでリタイヤ。 今年のウィリアムズは信頼性不足で何ポイントを失ったのだろう。 来年のトヨタとの契約も完了し、心は既に来シーズンなのだろうか。 ▽左近&SA06デビュー 今回、スーパーアグリでは二つのデビューがあった。 もちろん、山本左近とSA06だ。 この待望のニューマシンは特にリア周辺の改良が著しい。 ギアボックスの搭載位置を下げ、コンパクトなリアを実現し、リアの絞り込みをきつくしダウンフォースを増やすことに成功した。 これらの改良により、懸念事項だったブレーキング時の安定性も増し、コーナーリングスピードも向上した。 実際、琢磨の予選タイムはモンテイロを上回り、アルバースに迫るモノだった。 決勝レースも一時13位を走行し、大きな進歩が確認できたレースとなった。 山本左近は練習走行のタイムアタック中にコースアウトしてクラッシュ。 予選をSA05で走ることになる。 決勝ではSA06に交換しての走行だったが、それにより予選タイム抹消でピットスタートを強いられる。 それでもなんとかスタートできるかと思われたが、電気系のトラブルでスタート直後は走行できず、走行し始めたら今度はドライブシャフトが破損してリタイヤ。 彼のデビューレースはたったの1周で終わってしまった。 結局、琢磨も38周目にリタイヤし結果だけ見れば二台リタイヤという、これまでと変わらないモノだったが収穫は多いレースだった。 元々、まともなテストもせずに望んだニューマシンでの初レースだから、完走する方がおかしい。 少なくともマシンのパフォーマンスはミッドランドに迫ることが確認できたから今後、シーズン終盤に向けて楽しみだ。 ▽やっと結果の出たホンダ これまで何をやっても結果のでなかったホンダがやっとレースらしいレースができた。 予選4位のバトンは、軽めの燃料だったが、今までは軽くしても速く走れなかったのだから大きな進歩だ。 ミシュランがホンダのマシンにあうタイヤを開発してくれたことが大きいようだ。 今回使用したタイヤは、コンパウンドはルノーが使用したモノと同じだが構造が違う。 これによりバトン、バリチェロ共に良い走りができた。 バリチェロは18周目にエンジントラブルでリタイヤしたが、バトンは終始4番手を走行。 ルノーの二台をコース上でかわすなど、久しぶりにレースをした。 最後のピットインを終え3位を走行し、ホンダのF1参戦300戦を表彰台で飾れるかと思われたが、左フロントのグレイニングがひどく、ブレーキング時にリアタイヤがロックする傾向がでてペースが上がらず、残り10周でライコネンにかわされてしまった。 それでもバトンは第六戦スペインGP以来の入賞をはたし、復活の兆しを感じさせてくれた。 タイヤの暖まりにくいホンダは、レース前半には順調だったが、雲が出てきて路面温度が下がった後半に、左フロントタイヤにグレイニングが発生。 苦しいレースとなった。 結果だけ見るとまあまあなのだが、これを見るとタイヤが暖まりにくいというマシンの性格は修正できておらず、夏場のレースはいいかもしれないが、それ以降には不安を残すレースとなった。 ▽マスダンパー禁止 では最後にマスダンパーがあればアロンソは勝てていただろうか。 残念ながらマスダンパーがあってもアロンソは勝てなかっただろう。 今回のフェラーリ&ブリヂストンのパッケージは素晴らしく、さすがのアロンソでもつけいるすきはなかっただろう。。 今回はミシュランが攻めたタイヤを持ち込んだことと、日曜日の気温が上がったことで、ブリスターに悩まされ、それが結果的にブリヂストンの独走を生み出した。 特に気温が高かった、レース前半にブリスターは多発したので、今回の高い気温とブリスターの関係は明らかだろう。 だから、今回はマスダンパーがあろうとなかろうと、ミハエル・シューマッハーの勝利は動かなかったと見るのが正しいだろう。 もちろん、アロンソにマスダンパーがあればミシュラン勢のトップである3位になれたかもしれない。 しかし、他の有力ブリヂストンユーザーであるトヨタとウィリアムズがトラブルで、上位争いから脱落する幸運もあった。 それを考えれば、アロンソの5位は妥当な順位だろう。 それにしてもこの唐突なマスダンパー禁止令。 昨年のBARの失格騒動でも思ったが、FIAはレギュレーションを勝手に解釈して、禁止してくる。 今回はいきなり失格とはならなかったが、これではルノーは困惑するだけだろう。 今までは合法だったデバイスが、いきなり禁止とはまったく理解できない。 次のハンガリーGPが終われば長い夏休み。 そして残りは5戦。 ミハエル・シューマッハーとの差が縮まり、アロンソにもプレッシャーがかかってきている。 そこにマス・ダンパー問題が追い打ちをかける。 果たしてアロンソはこの危機を切り抜けられることができるだろうか?

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