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角田選手の優勝よりも素晴らしいもの

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普段ならF2の観戦記は書かないのですが、あまりにも角田選手の走りが素晴らしかったので、書いちゃいました。

レース自体はポールポジションからスタートした角田がトップを走りますが、11周目のタイヤ交換時に、タイムロスしてマゼピンにトップを譲ります。角田は何度もマゼピンを抜こうとしますが、押し出されて抜けません。レース自体はそのままマゼピンがトップでゴールしますが、彼にはペナルティが与えられて角田が優勝しました。


確かに角田はポールポジションからスタートして、タイヤ交換でタイムロスをしながら、最後にマゼピンをペナルティで逆転したのも素晴らしかった。でも結果よりも彼の走りは何倍も見事でした。

それが顕著に表れていたのが、トップを走るマゼピンをオーバーテイクするシーンです。角田は20周目と24周目、バックストレートエンドのレコンブでマゼピンにアタックしました。この時、角田はマゼピンを追い抜くことはできませんでした。マゼピンが角田にスペースを残さなかったからです。これが最終的にマゼピンに5秒加算のペナルティを与えることになります。

角田の走りで一番感銘を受けたのは、そのマゼピンから寄せられたときの彼のマシンコントロールです。トップを争い、しかもアウトから抜こうとしているのですから、当然限界ギリギリで走っているわけです。にも関わらず角田はマゼピンから幅寄せされたとき、冷静に接触を避けるために自らコースアウトしています。

これなかなか簡単にできることではないですよね。特に二回目のオーバーテイクの時は、角田の方が前に出ていたわけですから、そのまま接触されてコースアウトしていてもおかしくはない状態でした。ところがここで冷静な判断も素晴らしかったのですが、この限界で走っているときでも、コントロールを失わないところが素晴らしいです。

F2やF3は同じマシン、同じエンジンを使っているとは言え、チーム間の実力差はあるわけなので、結果だけでドライバーの能力を測るのが難しい部分もあります。でもあの角田のマシンコントロール能力を見た今では、彼がF1マシンに乗っても十分やっていけるだけの実力があるのがわかります。

今シーズン末のテストで角田はアルファタウリのテストをすることがほぼ確実な状況です。なので角田が今年F2ランキング4位以内になりスパーライセンスを取れれば、来年アルファタウリのシートを得る可能性が大きくなってきました。彼はホンダのドライバーとしてではなく、自分の力でF1にいける能力があります。

ランキング4位は十分に狙える位置にいますし、狙える実力もあります。あとはほんの少しの幸運があれば、彼は来年F1にシートに乗って、このベルギーGPに戻ってくるでしょう。