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2006 Rd.14 トルコGP観戦記 フェラーリに立ちはだかるアロンソの壁

▽マッサ初優勝 まずは初優勝と成し遂げたフェリペ・マッサを讃えよう。 今回は予選、決勝を通じて素晴らしい走りを見せてくれた。 ミハエル・シューマッハーが予選でミスしたり、セーフティーカーの入るタイミングがマッサにとっていいタイミングだったこともあるが、レース中もアロンソやミハエル・シューマッハーと遜色のないタイムを出しており、今回は実力でもぎ取った優勝といえるだろう。 ハンガリーGPでのバトンの初優勝もそうだが、いつ見ても初優勝というのは素晴らしい。 見ている方もうれしくなる。 ▽フェラーリにアロンソの壁 見事なバトルだった。 チャンピオンを争うアロンソとミハエル・シューマッハーのしびれる様な直接対決。 この二人のバトルは見応えがあった。 ラスト16周で最後のピットストップを終えたミハエル・シューマッハーは3位でレースに復帰。 2位にはチャンピオン争いのライバル、アロンソがいた。 新品タイヤをはいたミハエルは、そのアドバンテージを活かして瞬く間にアロンソの背後に迫るが、そこからが抜けない。 アロンソは微妙にペースをコントロールして、ミハエルのアタックをかわす。 ミハエルには12コーナーと14コーナーでしか、オーバーテイクのチャンスがないことをアロンソは理解していた。 その為、アロンソはその前のストレートでエンジンを限界まで回し、ギャップを広げ、ミハエルにチャンスを与えない。 それでもミハエルのプレッシャーを受け、アロンソは2回大きなミスをしたが、そこでも何とか踏ん張り2位でフィニッシュ。 アロンソにとっては実質、勝利とでもいえる結果となった。 もしミハエルが2位でフィニッシュしていれば、ポイント差は8点。 今回の結果、二人のポイント差は12点。 2位と3位2ポイント差以上の大きな差となった。 これで残りは4戦。 ミハエル・シューマッハーにとって次は絶対に落とせないレースとなる。 それにしても、アロンソの走りには脱帽だ。 実は今回、決勝スタート前にはフェラーリ圧勝の声が高かった。 ブリヂストンタイヤをはくフェラーリは、フリー走行からロングランのタイムも安定し、一発のタイムもミシュラン勢を圧倒していたからだ。 アロンソにとっては、いかにしてミハエル・シューマッハーの次の2位でフィッシュするかが、課題だったのだが結果はミハエルの前の2位でフィニッシュ。 2ポイント詰められると予想されていた、二人のポイント差は逆に2ポイント開いてしまった。 ミハエルにとっては予選のミスが痛かった。 珍しく予選で二度もミスし、決勝レースへ新品タイヤを残すためにユーズドタイヤでのタイムアタックを余儀なくされた。 このミスは重い燃料を積んでいた為に起こったと見るのが妥当だろう。 だがミハエルはピットストップでかわせると見て、予選は2位でもOKだった。 マッサはミハエルより軽いとわかっていたからだ。 マッサがトップでミハエルが2位の状況だと、ピットストップでかわすのは容易だ。 だから、ミハエルはスタート直後の1コーナーでアロンソを強引に押さえた。 そこまで、彼らのシナリオ通りにレースは進んだ。 だが、予想外の展開がミハエルを襲う。 14周目にセーフティーカー導入。 ここでフェラーリは二台同時にピットイン。 2位でピットに入ったミハエルは、なんとマッサのピット作業を見守りする羽目になり、同時にピットインしたアロンソにかわされてしまう。 それでもミハエルはアロンソより長く走れるので、次のピットインでかわせると読んだのだが、ここでもミハエルは予想外の出来事に見舞われる。 重い燃料を積んだミハエルのペースが上がらない。 重い燃料を積んだ為か、タイヤを痛めてしまい逆にアロンソに差を広げられる結果に。 アロンソより4周遅く、二度目のストップをしたミハエルだったが、かわすことができずに3位に終わる。 ミハエルがポールポジションからスタートしていれば、全く違った展開になっていただろうが、それは言っても仕方ないだろう。 ルノーにとっては、トルコGP前に裁定が出されたマスダンパー禁止の影響を払拭した形だ。 これはミハエル、フェラーリ、ブリヂストンにとっては痛い結果。 残りレースが少なくなってきた今、1ポイント1ポイントが大きい、 実質、アロンソの勝利に終わったこの結果は、チャンピオンシップの大きな転換点となったかもしれない。 ▽ホンダ好調を維持 ホンダは二台とも入賞した。 徐々にマシンの開発がペースアップされてきたが、路面温度の上昇がホンダには有利に働いた。 ファーステストラップを見ても、フェラーリやルノーに迫ってはいるのだが、少し差がある。 次は超高速サーキットのモンツァなので、ホンダにとっては勝負のレースになるが、涼しいコンディションになると厳しい戦いになるだろう。 スーパーアグリはSA06に全く新しいフロントサスペンションを装着したSA06Bを佐藤琢磨用に持ち込んだ。 ドイツGPで持ち込んだSA06はリア周りを中心を改良してきた。 今回はフロントサスペンションを全く新しくしてきた。 これはフロントサスペンションを改良することで、エアロダイナミクスにも影響することが判明し、それに関わるメカニカルな部分の変更が必要になったからだ。 これにより、時代遅れのツインキールからゼロキールにすることができた。 本来であれば、フロントとリアを同時新しくしたかったが、人的資源の限られたスーパーアグリF1では致し方ない。 今回も事前テストなしで持ち込んだので、結果は良くなかったが、感触はいいようなので、今後が楽しみだ。 次はF1カレンダーNo.1の高速サーキットである、モンツァ。 ルノーがここでフェラーリに勝つのは難しいだろう。 ミハエルはアロンソの前でフィニッシュすることが、チャンピオンの絶対条件。 ここでアロンソに差を広げられることになれば、残り三戦でフェラーリが全て1-2フィニッシュしたとしても、アロンソが3位に入賞し続ければ、アロンソはチャンピオンになれる。 地元のプレッシャーもあるフェラーリがどういう戦いを見せるか、注目の一戦は9月10日におこなわれる。

10 thoughts on “2006 Rd.14 トルコGP観戦記 フェラーリに立ちはだかるアロンソの壁

  1. Motohiroの本音トーク

    トルコGPはマッサが初優勝、熾烈を極めた2位争いでした

    トルコGPは、フェラーリを駆るマッサがうれしい初優勝で幕を閉じました。レースはスタートでフィジケラが行き場をなくしてスピンをする波乱(おかげで、SA06ニュースペックの琢磨は大変なGPとなりました)、しかしマッサ、シューマッハのフェラーリコンビは楽々

  2. スポーツ瓦版

    F1トルコGPマッサ初優勝も王者の争いは差が開く

    今季F1第14戦トルコGPアロンソとシューマッハ10P差の
    ポイント争いの動向とホンダ連続優勝が出来るか注目だ

    予選はPPをマッサが獲得し2番手シューマッハとフェラーリが
    独占だが3番手アロンソ4番手フィジケラとルノーも良い位置だ

    ハンガリーGP

  3. おのけん

    いつもメルマガでF1 観戦記を楽しく読ませていただいています。初めてブログに来ました。リンクさせていただきたいと思っています。
    #自分のは単なる独り言ブログですが・・・(=_=;;;

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