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ミハエル・シューマッハー引退

これまで噂されていたとおりイタリアGP終了後に、ミハエル・シューマッハーの引退が発表された。 最多GP出場記録以外のほぼ全ての記録を塗り替えたこのスーパードライバーの引退には感慨深いモノがある。 これだけの記録を残していれば、誰からも称賛されるはずなのだが彼の場合、批判も少なくない。 だが批判の多さは、その強さの裏返しでもある。 直近では今年のモナコGP予選終了間際に、コース上にマシンを停止した件だ。 これを故意と見なされた、ミハエル・シューマッハーはタイムを取り消された。 そしてこれ以後、他のドライバーからはバッシングされることになり、この事がミハエルの引退への導火線となった可能性は否定できない。 他にも最初のチャンピオンになった年の最終戦、タイトルを争うミハエルはコースアウトしてスピードが落ち、デーモン・ヒルに抜かれそうなるとイン側を締めてヒルと激突。 ミハエルとヒルは両方リタイヤとなりミハエルは初チャンピオンを決めた。 ビルニューブと最終戦までタイトルを争っていた年も、ミハエルはインに飛び込んできたビルニューブのスペースを締めて押し出そうとしたが、この時はビルニューブが走行を続けることができ、チャンピオンを逃した。この時の画像は残されていてミハエル・シューマッハーはジャックがイン側に来ていることをわかった上で、ハンドルを切っていることがわかる。 要するに故意にぶつけにいったわけだ。 この時点で二度のタイトルをタイトルを獲得していたシューマッハー。 もちろんフェラーリでの初タイトルを取るという目標はあったにせよ、この行為はFIAからその年の全ポイント剥奪という厳しい裁定を下された。 この時は当初、故意にぶつけたことを否定していたが、後にそれを認める発言をしている。 抜かれそうになると、きわどくマシンを寄せブロックするミハエル。 遅いドライバーがブロックするのであれば、わかるがミハエルは最速のドライバーであり続けた。 思えばミハエルが君臨していた時代は、オーバーテイクが難しい時代だった。 あまりにも激しくブロックするミハエルの姿勢に嫌悪感を憶えるのは私だけではないはずだ。 少なくともイン側に入ってきたマシン一台分のスペースは残すのがモラルだろう。 これほど偉大なドライバーであればこそ、高いモラルを求めたいし、それができるテクニックがあるだけに惜しい気がする。 今年も、既に7回のチャンピオンを取り、80以上の勝ち星をあげていても、絶対に勝つというその執念を何度も見せつけられてきた。 その執念は、我々日本人から見るとそこまでしなくてもいいんじゃないかと思うのだが、そんなことではチャンピオンなど取れはしないのかもしれない。 であれば、人の良い日本人からチャンピオンドライバーが出ることはないのだろう。 二輪でもチャンピオンになったことのある原田選手などのインタビューを聞いていると、少し日本人離れした部分を感じる。 そもそも日本メーカーから、イタリアメーカーへ移籍するなどと言うのは、いかにチャンピオンを狙うにしろ普通の日本人は躊躇するだろう。 それにしても37歳になってもその衰えない精神力とスピードには脱帽するしかない。 これまでの傾向で言うと、若いときは速さで勝ち、30歳を過ぎると経験から来る戦略で勝つドライバーが多い。 通常は30歳を過ぎると速さは衰えるが、レースでは逆転で勝つベテランドライバーが多いのだが、彼は違う。 最後のシーズンである今年でさえも、アロンソと並んで最も速いドライバーの一人だ。 これも圧倒的な体力がなせる技なのだろうが、驚異的だ。 史上最強のドライバーと言われる所以だろう。 正直、引退する理由がわからない。 年齢的な衰えが全く感じられないからだ。 それだけ強力な速さとキャラクターでセナ亡き後のF1界の中心として君臨してきたこの皇帝が引退した後を今時点で考えることは難しい。 フェラーリはイタリアGP終了後、ミハエル・シューマッハーの引退とキミ・ライコネンの加入を発表した。 これにより、来年のドライーバーズラインアップが見えてきた。 まず、フェラーリはライコネンとマッサで決まり。 マクラーレンはアロンソともう一人だが、噂通りハミルトンになると思われる。 ルノーはフィジケラとコバライネンの体制を発表。。 ホンダの二台はバトン、バリチェロで変わりない。 BMWも変わりないだろう。 現在、実力的に抜けている三人のドライバー、ミハエル、アロンソ、ライコネンの内一人が引退し、二人が移籍する。 これは最近のシーズンではなかった大きな移動だ。 それだけに、来シーズンの展望は見えにくい。 なんにせよ、残り三戦のチャンピオン争いがつまらないペナルティやトラブルで決まることがないように願いたい。 ミハエル・シューマッハーは今年のタイトルをもし、逃したとしても偉大なチャンピオンであることには代わりがないのだから。

9 thoughts on “ミハエル・シューマッハー引退

  1. Escape Zone

    ミハエル・シューマッハ、F1を去る。

    レース後の公式会見で今季限りでの引退を表明した。

    オレがF1を見始めたのが2002年の鈴鹿。このとき、既にミハエルはF1界をつまらなくしているだったのと、F1を教えてくれた友達がアンチミハエルだったので、自然とアンチになった。

    確かにF1を知って

  2. F1&SUPERGT応援日記

    F1:シューマッハ引退へ

    イタリアGPで優勝したフェラーリ・チームのミハエル・シューマッハは、レース後の記者会見で今季限りで引退することを明らかにした。 非常に残念な結果となってしまった。 今年のアロンソとの壮絶なバトルを見る限り、まだまだ現役でいけると思うが、シューマッハの心

  3. THE バームクーヘン

    引退

    「勝利こそ美学」

    しかし
    たとえ昔のようには勝てなくても
    勝利を追い求めて
    走り続ける姿を
    まだまだ見せて欲しかった。

    あのマイケル・ジョーダンが
    全盛期に引退し
    その後再びコートに戻ってきた。

    以前のようには飛べなくても
    その存在が、プ

  4. Altair

    僕はベルガーがフェラーリで鈴鹿で優勝した頃から見てますが、断然シューマッハのファンです。ちなみにシューマッハの前はマンセルのファンでした。
    嫌いなのはセナ、プロストでした。シューマッハの最近の行動に批判が飛んでますが、古くはセナプロも鈴鹿のシケイン、翌年は1コーナーでそれぞれ故意にぶつけ合ってタイトルを決めてます。なのでシューマッハだけに非難が飛ぶのにはちょっと抵抗があります。逆に故意にやったとしても、そこで初めて人間的な一面が出たと、かえって親近感が沸いてくるくらいです。
    またせナプロに無いシューの凄さは、かつてボロボロで勝利に遠のいてたフェラーリにあえて移籍して、チーム作りを一から自分で始めてチャンピオンチームに育て上げたことです。当時あの二連覇したベネトンから移籍するとは誰もが無謀と思ったと思います。それだけフェラーリはボロボロでしたから。
    セナにしてもプロストにしても、いいマシンじゃないと乗らない主義で、プロストは一年浪人してウイリアムズルノーに移籍チャンピオンになり、セナはその年、マクラーレンに愛想尽かし、フォードV8になることもあって、一年契約せずにお試し程度に1戦1億円で走った経緯があります。二人にはシューほどチームを作り上げる気持ちも気力も無かったと思います。その点でも僕はセナプロよりも数倍シューが偉大なチャンピオンだと思ってます。
    僕も引退は早すぎると思います。理由が見つかりません。以前からレースを楽しめなくなった時に辞めると言ってましたが、やはり近年のマスコミの引退を急かすインタビュー、ドライバーからのバッシングで嫌気が差してきたのではと思います。マッサの進路を早く決めてあげたかったと言ってましたが、ここはそれほど引退に影響してないと思います。仮にそれも大きなウエイトを占めてたとすれば、アロンソがマクラーレンに移籍したことで→キミの移籍→マッサの去就の不安と繋がり、アロンソが間接的にシューを引退に追いやったともとれ、まあ大げさな解釈ですが、アロンソ恐るべしです(笑)
    僕としては、引退せずに来年はキミとフェラーリどうしで真っ向勝負して欲しかった。それでもし負けるのなら、引退してもらいたかった。勝つのなら、再来年も走って欲しかった。ぞくぞくすると思いませんか?同じフェラーリでシューとキミのバトル!あわよくば、キミにシュー凄さを感じて、足りないところは学んで欲しかった。もっとも、キミにはキミの未来帝王学があるのでしょうが。
    シューのいないF1は考えられません。オールージューを走る姿ももう見れない・・・思えば最後のスパにとどめを刺したのは琢磨でしたね(苦)
    来年は鈴鹿も無くなるし、ほんと、一つの時代、僕のF1青春時代が終わってしまいます。残念です。

  5. DJ:SiRの毎日スクブー

    F1 イタリアGP

    神はいると思った いや どっちかていうと悪魔かも F.アロンソは予選から怪しい雲行きが漂ってた なんか女神が遠ざかっている感じ ホンちゃんでは、ピットインからアロンソが3位にまで踊り出たけど ちょっと強引すぎ あそこは譲ってコースで抜くべき まぁ勝負の世界は

  6. モータースポーツのニュースナビ

    1989年鈴鹿 セナの予選車載画像

    在りし日のセナの車載画像です。1989年の鈴鹿の予選画像です。1989年といえば、F1もまだセミオートマが普及していない頃ですので、セナの右手が、シフトチェンジのたびにシフトノブにいっているのがよく分かりますね。しかし、この頃のF1は、良くはねているというかなん

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