スーパーアグリF1の新車発表、カスタマーシャシー問題の行方は?
スーパーアグリF1のニューマシンが、メルボルンで遂にベールを脱いだ。
まだ現物を見られていない方はこちらからどうぞ。
見た目は昨年型のホンダと似ているとも、似ていないも言える。
これにより、事態はFIAでの法廷闘争へ持ち込まれそうだ。
では、裁判の争点はどこになるのだろうか?
それは当然、何をもってカスタマーカーとするかだ。
エンジンやギアボックスを他社から調達することは、認められている。
だから、シャシーが問題となる。
これに関するFIAの見解はこうだ。
現存する他チームと同じモノであってはならないと、コンコルド協定には明記されている。
トロロッソとレッドブルはこれを見ると違反しているように見える。
昨年、スーパーアグリF1が旧アロウズのマシンを走らせることができた、根拠もここにある。
アロウズは現存していないからだ。
では、次に知的所有権についてはどうだろう。
知的所有権とは著作権に似たもので、マシンの設計にも独占的に使用できる権利を作成者に認めるものだ。
驚くべきことに、FIAは知的所有権については、何の関心もないことを表明している。
ただし、図面は自前でおこす必要がある。
つまり、極端なことを言うと、盗んできた図面を元にコピーして図面を書き起こしても、FIA的には問題ないらしい。
民事裁判所で争えと言うのが、彼らの言い分だ。
もちろん、盗んできた設計図で作ったマシンを走らせれば、裁判で差し止め命令が出されるだろうから実際に走らせることはできない。
だが、友好的に設計図を共有した場合は問題ないことになる。
ただし、最初に述べたように全く同じマシンを走らせることは、明確に禁止されている。
では、全く同じ図面を元に、一部変更を加えた場合は、どうだろう。
FIAはここでも、驚くべき見解を出している。
一部変更したマシンは合法らしい。
昔、ベネトンとリジェ、フェラーリとザウバーがそっくりさんマシンを走らせていたから大丈夫でないのかと思われる方もいるが、これは少し違う。
カスタマーカー問題は、誰かから抗議が出ない限り、関知しないのがFIAのスタンス。
要するに、文句が出なければOKよということ。
過去のベネトンやフェラーリの時は誰も抗議しなかったから問題なしとなったわけだ。
しかも、抗議する側が具体的にどこが同一なのか事例をあげて、二台のマシンは同じだと抗議しなければいけない。
この場合は、FIAが提出された図面を見て、判断することになる。
つまり、いつものごとくFIAが独断と偏見で合法か非合法かを決めると言うことだ。
更に驚くべきことに、設計をアウトソーシングすることも問題ないし、マシンの製作も他社に依頼してもいいのだ。
ここまでくると何でも有りだ。
設計と製作を他社に依頼し、エンジンとギアボックスも他社から供給してもらう。
それで、知的所有権は何ら問題がないとなると、これは事実上、カスタマーカーで走りなさいと言っているようなものだ。
ここまでくると、スーパーアグリF1も、レッドブルもトロロッソも問題ないように思える。
スーパーアグリF1は外部のコンサルタントと本田技術研究所の栃木研究所との協力によりデザインされている。
これが、例え昨年型ホンダを元にしていても、モディファイが加えられていれば問題はない。
トロロッソとレッドブルもデザインを別会社にアウトソーシングし、別会社でニューウェイがデザインしていて、細部は異なっているのだから問題なさそうだ。
ただし、FIAはころころ見解を変えることで有名なので、何がOKで、何がNGなのかはFIAの胸先三寸ということだ。
まぁ、今までもホンダのガソリンタンク問題やマスダンパー禁止などで、同じ様なことを見せつけられているので突然、この方針が変更されても驚きもしない。
では、実際この週末はどうなるかということだが、私はずばり何も起きないと断言しよう。
もちろんウィリアムズとスパイカーは提訴するだろうが、厳密に言えば土曜日の予選終了後でないと正式な手続きはとれない。
金曜日にそっくりさんマシンを走らせても、誰も何も対抗措置がとれない。
レギュレーションにさえ合致していれば、出走するのを誰も止められない。
土曜日に提訴して、すぐに判断が出るとは思えないし、例え出たとしてもそれが出走中止になるとは思えない。
なぜなら、そんなことをすればメディアやファンの注目は開幕戦ではなく、そっくりさんマシン問題だけが注目される。
そんなことを、バーニー・エクレストンが許すわけはない。
と言うわけで、週末は何もなくレースがおこなわれて、その後FIAの判断が下されるだろう。
その結果、黒となればオーストラリアGPでの結果が抹消されることもあろう。
この問題は、純粋に技術的な問題、ルールに合致しているかどうかの問題だと思うと事の本質を見誤ることになる。
要するにこの問題は、お金をを巡る争いなのだ。
だから、スパイカーは執拗に抗議するのだ。
F1チームには前年の実績に応じたTV放映権料の分配金や運送料の割引が受けられます。
それは上位10チームにしか割り当てられないので、9位10位のチームは必至なのです。
最後はお金の話題になり、身も蓋もない話しになってしまいました。
今シーズンはお金の話しではなく、レースの内容で盛り上がって欲しいですね。
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