緊急コラム ホンダの不振の真相
ホンダが苦しんでいる。
オーストラリアGPの予選ではなんと、バリチェロは第一ピリオドで、バトンも第二ピリオドで脱落した。
バトンはソフトタイヤを使って全力でアタックしても、第二ピリオドを突破できなかった。
おまけに、同じエンジンを使用しているスーパーアグリF1より遅かった。
これはかなりの重体だ。
決定的なのは、ブレーキング時のリアのスタビリティがないこと。
開幕戦が開催されたアルバートパークサーキットは長い直線をコーナーでつないだ形状が特徴で、ハードブレーキングを強いられる。
ハードブレーキング時には、当然リアのスタビリティがなくなる。
アルバートパークサーキットで、この特徴は致命的な欠点となる。
事実、開幕戦のホンダは全然ダメだった。
決勝でこそ、バリチェロは琢磨の前でフィニッシュしたが、これはスーパーアグリF1がピット作業に手間取ったからに過ぎない。
ホンダは次のマレーシアGPまでに、対策を施すと発表している。
空力パーツを持ち込んでくるらしいのだが、本当にそれで解決する問題なのか、少々疑問だ。
なぜなら、ブレーキング時にはリアが上がりダウンフォースが少なくなるのはどこも同じだ。
だから、空力パーツを投入しても根本的な問題解決にはならないと思う。
マレーシアGPは、オーストラリアほどハードブレーキングを強いられるコーナーが多くないので、多少はいいと思う。
ただ、ブレーキング時にマシンが安定しないと、パッシングができないので、レースは苦しい。
予選で、よほどいい順位につけないと我慢のレースになりそうだ。
以下は推測だが、今年ホンダはホイールベースを短くしてきているのではないだろうか。
ホイールベースが短ければ、ブレーキング時にリアのスタビリティが失われるのは納得がいく。
昨年型のホンダをベースにしていると言われるスーパーアグリF1が好調なのをみると、ますますその意を強くする。
昨年、ホンダはシーズン途中からホイールベースを延ばした新しいシャシーを投入している。
そこから、ホンダの好調は始まった。
つまり、スーパーアグリF1が好調なのは、そのロングホイールベースのマシンを基礎にしているからではないだろうか。
これはホイールベースを85mmも延長してきたフェラーリが好調なのを見てもわかるだろう。
ルノーの不調も、ホイールベースが関係している可能性がある。
彼らはホイールベースを延長した、Bスペックマシンの開発が噂されている。
元々、昨年までのエースドライバーだったアロンソは特異なドライビングスタイルで知られている。
彼はバトンなどと違いコーナーの奥まで突っ込んだ後で、いきなりハンドルを切ってマシンの姿勢を短時間で変えるドライビングスタイルを好む。
これだと、リアのスタビリティが多少落ちた方が、マシンの向きを変えるには適している。
だが、それはアロンソの超絶テクニックがあるからこそできること。
普通のドライバーには、運転にしにくいだけだ。
もし、そうであればホンダの苦戦はこれからも続きそうだ。
特にスムーズなドライビングが特徴のバトンにはつらい。
これを裏付ける証言もある。
ブリヂストンの浜島氏が述べた次の言葉だ。
「昨年のブラジルGP後、全チームに翌年のタイヤデータを平等に公開しています。それを見ればリアのスタビリティを上げなければいけないのは、わかるはずです」
奥の深い言葉だ。
つまり、ホンダは外してしまったのだ。
一方、フェラーリはずばり決めてきた。
公開したタイヤデータがどういうものなのかは、見たことがないのでわからない。
だが、それを見て理解した人間と、理解しなかった人間がいたのは開幕戦を見れば明らかだ。
これは、昨年ブリヂストンを使用していたから有利とか不利とかの問題でない。
マクレーレンやトヨタを見ればそれはよく、わかるだろう。
だが、そんな苦しいホンダに、もう一つ懸念材料がある。
それは、昨年ホンダが鳴り物入りで設置した新しい風洞のことだ。
ホンダのこの風洞、キャリブレーションに失敗したのではないかとの噂が出てきている。
キャリブレーションとは何か?
通常、風洞では実車を使わない。
大きな風洞でも1/2や1/3のスケールモデルを使用する。
これでも、有効なデータが収集できるからだ。
ただ、どうしても小さいモデルを使用して実験するので、実車のデータとズレが出てくる。
これを修正するのがキャリブレーションと言われるもので、これを正確にしないと実物大のパーツで試したときに、風洞実験とは違う結果が出てきてしまう。
であれば、今のホンダが鳴かず飛ばずであることの理由もわかるし、マレーシアGPに対策の空力パーツを持ち込む話も合点がいく。
キャリブレーションに失敗したのは、なんと新しい風洞を早く稼働させようとしたのが原因とされている。
要するに時間が足りなくて、きちんとできなかったと言うこと。
しかしこの話、にわかには信じがたい。
プロのレーシングチームが、こんな初歩的なミスをするのだろうか。
この風洞の失敗が原因だとしたら、本当に対策した空力パーツを持ち込んで解決するのか。
私は完全には解決しないと思う。
何故なら、空力的にダウンフォースをかけて、リアのスタビリティを高めようとすると、アンダーステアになってしまう。
そうすると、コーナーリングスピードが遅くなりダウンフォースが減って、立ち上がりでリアが滑ってしまう。
というわけで、空力的対策は応急処置とならざるとえない。
根本的解決には、ホイールベースを延長するしかない。
サスペンションである程度は、修正できるかもしれないが限界があるし、副作用もあるだろう。
ホイールベース延長と、言葉で言うのはカンタンだが、実際やるとなると空力も一からやり直すので膨大な作業が待っている。
そうなると、今から開発を始めても改良型マシンを投入するのはシーズン半ばを過ぎるだろう。
それまでは、我慢のレースが続きそうだ。
だが、私はホンダそれをやってくると思う。
勝つためには、やれることは何でもやるのがホンダだ。
今年ダメだから、来年というわけにはいかないのだ。
ホンダが復活する日を待とうではないか。
【編集後記】
ホンダが、スーパーアグリF1のマシンを使うというウルトラCは、ないのでしょうね。
そしたら、ホンダがカスタマーカー問題で訴えられちゃうなんていうことになるのでしょうか。
笑えない話しですね、すみません。
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