2007 Rd.5 モナコGP観戦記 アロンソ 紙一重の勝利
アロンソの完勝。
結果だけを見ればそうなる、今回のモナコGP。
だが、実態を見るとそれほど、楽な展開ではなかった。
まず、ハミルトンが予選最後のアタック中、ウェバーを抜く際にタイムロスした。
これで、アロンソのポールポジションが確定したが、このトラフィックがなければポールポジションがどうなったかはわからない。
モナコは予選順位が全てで、予選はトラフィックの有無が重要だ。
予選3位以下だと勝つチャンスはほぼない。
そう言う意味で、トラフィックを避ける技術も重要になる。
ハミルトンにとっては最初のモナコGPと言うこともあり、このあたりはまだまだ学ぶべきものがあるということだろう。
アロンソが二回目のピット作業を終えた二周後に、ハミルトンがピットへ向かう。
この時、ハミルトンには5~6周できる燃料が残っていたのだが、なぜかピットイン。
ここで、マクレーレンのチームオーダー疑惑が発生する。
しかし、ハミルトンが第二スティントをもう少し長く走っていたとしても、逆転するのは難しかっただろう。
もちろん、そうなれば最後のピットストップはもっと緊迫していた可能性が高いが。
ハミルトンはアロンソのピットイン直前に、トラフィックに捕まり、10秒近く離されていたからだ。
ハミルトンはそれ以外では、アロンソとほぼ同じペースで走っていただけに残念だったに違いない。
結局、マクレーレンは、二人に無理をさせたくないのでハミルトンを早くピットインさせたというわけである。
もっとも、その後のラップタイムを見れば、ハミルトンがアロンソにプレッシャーをかけるべく最後まで1分16秒前半のタイムを出し続けており、ロン・デニスの思いは届かなかったようである。
次のカナダは、エンジンへの負荷が大きいので、モナコでは少しでもいたわりたかったはずだが、それはかなわなかった。
今回、マクレーレンはアロンソが軽めで、ハミルトンは重めでスタートした。
ロン・デニス曰く、「セーフティ・カーが入ったときの安全策として二人の作戦を変えた」と言っているが、モナコで予選順位は絶対的な意味を持つ。
それを考えれば、最初からアロンソを勝たせようとしたとも考えられる。
ハミルトンは早くピットインさせなければならないほど、アロンソにプレッシャーをかけていた。
初参戦のモナコで優勝できなかったが、それでもチャンピオンシップをリードしているのだから、すごい新人である。
ここまで、ハミルトンの話ばかりしてきたが、それでもアロンソはすごい。
ほとんど、ミスなしでレースをまとめるこの人の能力は抜群である。
速いのに安定しているので、見る人はわかりにくいがやはりチャンピオン候補の最右翼であることは間違いない。
これで二人は同点で、チャンピオンシップ争いをリードすることになった。
この二人の争いは目が離せない。
▽マッサ 価値ある3位
モナコGPでは、フェラーリはマクレーレンに完敗した。
だが、それだけにマッサの三位は価値がある。
理想を言えば、スタートでハミルトンをかわし二位を狙いたかったところだが、ハミルトンはまたまた素晴らしいスタートを決め、マッサの前に滑り込みこのライバルを押さえ込んだ。
マッサは予選でも最後のアタックで3位に浮上するベストアタックを披露した。
二位はミルトンとの差はわずかに0.062秒。
ここで逆転していれば、またレースも違った結果になったかもしれないが、それでも3位は立派である。
後ろのハイドフェルドに後続が押さえ込まれてさしたるプレッシャーもなかったが、こういうところで6ポイント獲得できるのは貴重だ。
一方のライコネンは予選第二ピリオドで右のフロントをクラッシュして、脱落。
決勝レースでも8位になるのがやっとだった。
前回、リタイヤで無得点だっただけにこのミスは痛かった。
マッサが好調なだけに焦りがあったのだろうか。
正直、シーズン前はライコネンがフェラーリをリードすると思ったが、マッサの頑張りもあり予想外の展開となっている。
ライコネンは実質、ナンバーワン扱いだったマクレーレンとの、ギャップにとまどっているのだろうか。
最近のF1ドライバーは速いだけでは勝てない。
自分にあったマシンを作らせることも重要な役割だ。
これが、最高に上手かったのがミハエル・シューマッハー。
故に彼のチームメイトはいつも苦労していた。
ライコネンがその実力を見せてくれるのはいつだろうか。
アロンソとハミルトンとのポイント差は15ポイント。
まだ、前半戦とはいえ現在のポイント制度とマクレーレンの信頼性を考えると、厳しいポイント差となった。
ライコネンにとって次は落とせないレースとなるだろう。
▽薄日が差してきたホンダ
ホンダは今年初めて二台揃って第三ピリオドに進出した。
クルサードのペナルティがあったおかげとはいえ、徐々にではあるが改良されてきている。
もっともこのモナコGPは、空力の効率性は問われないサーキットだけに、ここでも入賞できないのはやはりチームの問題は空力だけにとどまらないことを示している。
次のカナダGPはウィングを軽くする必要があり、なおかつホンダの弱点であるハードブレーキングも多い。
当初、カナダGPで投入予定だった、ビッグマイナーチェンジモデルはフランスGPまでお預けの模様である。
となると、かなり厳しい戦いになると思う。
前回、初入賞にわいたスーパーアグリF1は予選での失敗に泣いた。
第一ピリオドで、三回アタックする予定だったが、二回目のアタックはトラフィックでダメにして、なんと三回目のアタックは時間切れで出来なかった。
このあたりは、まだまだ経験が足りないが、まだまだ若いチームなので致し方ないだろう。
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