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2007 Rd.7 USGP観戦記 ハミルトン完勝、アロンソの心境やいかに

1回目の練習走行から予選第二ピリオドまでトップをキープしていたアロンソが、勝てなかった。 予選の第三ピリオドでハミルトンに逆転を許したのが最大の理由だ。 トップタイムを独占していたアロンソは今回、かなり自信があったと思う。 ハミルトンもポールを取れるとは思ってなかったと言っている。 それだけにアロンソの心境は複雑だ。 予選はほぼ同じ燃料搭載量で、ハミルトンに負けた。 受け入れがたい敗戦だろう。 最大の見せ場は 38周目。 ハミルトンが周回遅れマシンに引っかかり直線の立ち上がり速度が不足、アロンソがハミルトンのスリップに入る。 並んで1コーナーに飛び込むが、二人ともぎりぎりのブレーキングで、イン側のハミルトンがリードを守った。 アロンソの意地を見せたチャレンジだったが、ハミルトンの絶妙なブレーキングが退けた。 ブレーキを早めに踏んでしまったり、ブレーキが遅れてコースアウトするドライバーも多いなか、ハミルトンのブレーキングは素晴らしかった。 その後も、アロンソは、ハミルトンとほぼ同じペースで走ったが、同じマシン、同じタイヤ、そしてほぼ同じ燃料搭載量では抜くのは難しい。 去年までは、消費燃料を抑えた走りをしてピットインで抜く作戦が使えたが、今年は同じマシン、同じ戦略で戦うためにそのメリットも少ない。 アロンソはオーバーテイクを仕掛けた直後の周回の直線で、奇妙な行動を見せている。 ピットウォールにマシンを寄せたのだ。 普通、ピットウォール側の路面は汚れていて、走らないのが普通である。 それをあえて走ったところにアロンソの心中が察して取れる。 実際、第二スティントでハミルトンはリヤタイヤにタレが出て、タイムが上がらなかった。 アロンソの方が速かったので、俺を先に行かせろというアピールだったのだろうが、3位のマッサとは差があるので、マクレーレンとしてチームオーダーは出せないだろう。 レギュレーション違反に問われる可能性も考えられる。 もし、アロンソがあの場面でピットに向かって何か言っていたら、内容を是非聞いてみたい。 カナダはアロンソの自滅で楽勝だったが、今回は違う。 ワールドチャンピオンを正々堂々と打ち破っての勝利だ。 今回の勝利はハミルトンにさらなる自信を植え付けるだろう。 ただ、アロンソは精神面での強さは類を見ない。 第三スティントでは、ペースを落とし次のレースに向かってエンジンをいたわっていた。 頭の悪いドライバーだと、抜けもしないのにマシンを酷使し、プレッシャーをかけるのだが、さすがはアロンソ。 彼は必ずチャンスは来ると信じて着実にポイントを積み重ねていく。 これでハミルトンとのポイント差は10ポイントとなった。 ハミルトンのミスの少なさを考えると、かなり難しいポイント差だ。 それでもチャンスは必ずやってくるだろう。 本当のプレッシャーがかかるのは、まだまだ先だ。 7戦終了時点で、アロンソ2勝、ハミルトン2勝。 ハミルトンがアロンソより上位でフィニッシュした数は四回。 次のフランスGPはアロンソにとって正念場となりそうだ。 ▽沈むフェラーリ 過去USGPでは好成績を残してきたフェラーリだったが、今回はマクレーレンに完敗だった。 それでも三位、四位を確保できたのは良かったのだが、マクレーレンに挑戦することは一度もなかった。 予選のタイムだけを見ていると、差は少ないのだが、レースになると差が出てしまう。 第三スティントで両ドライバーが争うという場面も見られ、少しちぐはぐな感じは否めない。 ここに来て、マクレーレンとの開発スピードの差が顕著になってきた。 スペインGPまでは明らかにフェラーリが優勢だったのだが、序盤の四戦のうち二戦で取りこぼしたのが痛い。 本来、彼らが序盤戦でのアドバンテージを活かしていれば、ポイントをリードすることが出来たはずだ。 そうであれば、マクレーレンが速くなってもポイントを計算して走ることも出来るのだが、もはやそれ出来ない。 今のポイント制では、ポイントをリードしているドライバーが有利なので、フェラーリの二人が逆転でチャンピオンを取るのは、ほぼ不可能だろう。 ミハエル・シューマッハーという求心力をなくして、フェラーリは迷走しているように見える。 フェラーリにとってはいいニュースは、ロス・ブラウンが来年戻ってくるかもしれないとのこと。 ホンダにとっては最悪のニューであるが。 ▽ホンダ、スーパーアグリF1とも結果はでず 徐々にペースを取り戻しつつあるホンダだが、結果が出ない。 他チームも同様に進歩しているからなのだが、苦しい。 バトンはスーパーアグリのデイビッドソンの後ろ12位でフィニッシュ。 バリチェロにいたってはスタート直後のアクシデントでリタイヤとつきもない。 そもそも予選順位が悪いことが原因なのであるが、スピードは戻らない。 次のフランスGPで改良型が出てくる予定なので、それに期待しよう。 スーパーアグリF1も今回は、苦しいレースとなった。 トップスピードが伸びずに、タイムが出ない。 佐藤琢磨は久しぶりに第一ピリオドで脱落、デイビッドソンも第二ピリオドで終わる。 琢磨は、インフィールド区間でオーバーテイクを見せてくれたが、コースアウトしてレースを終える コース上の路面が汚い部分にのってしまいグリップを失った。 琢磨はリタイヤする前に、黄旗時にオーバーテイクしたと判定されピットスルーペナルティをもらっていた。 琢磨はペナルティを得る前にタイムを刻んで、後続との差を開いておきたかったのだろうが、結果的にこのミスは高く付いた。 ペナルティを受ける前にリタイヤしたので、次戦で予選順位10位降格のペナルティをもらうことになった。 黄旗時のオーバーテイクに関して、琢磨本人は強く否定しているのだが、次のレースは厳しくなった。 今シーズン、ここまで素晴らしい走りを見せていた琢磨だけに、このミスは痛かった。 移籍の話も出てくるこの時期にミスでのリタイヤは、不利に働くからだ。 ただ、このペナルティの持ち越しには、違和感がある。 リタイヤしたのだからペナルティの持ち越しはなくてもいいのではないだろうか。 ペナルティを回避するために、リタイヤするドライバーもいないだろうから。 ▽暗い闇に光り輝く宝石 ツゥルーリというドライバーは本当に良いドライバーだ。 苦戦するトヨタで、毎回第三ピリオドまで進出している。 今回も予選8位からスタートして、6位入賞。 ラルフがあまりにもよくないので、さらに光り輝いてくる。 トヨタが来年ラルフと契約更改すれば驚きだが、ツゥルーリとの契約を打ち切ったなら笑いものになるだろう。

One thought on “2007 Rd.7 USGP観戦記 ハミルトン完勝、アロンソの心境やいかに

  1. 匿名

    > アロンソの方が速かったので、俺を先に行かせろというアピールだったのだろうが
    確かに奇妙な行為だったので、当然、レース後の記者会見で質問(発音から明らかにイギリス人でしたね)がありましたが、アロンソは違うこと言ってましたよ。もっとも本音はそういうことかもしれませんけどね。。アロンソは個人的に嫌いではないので、この苦境を切り抜けて、もう一回り大きくなって欲しいと思います。
    トゥルーリはおっしゃるとおり確かにファンタスティックでした。ストレートの速かったレッドブルをよく抑えたなあ、とベテランの腕を見させていただいた気がします。ラルフは気持ちが切れてるんでしょうか・・・。ラルフも復活して欲しいですね。

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