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理解不能なペナルティ 2007 Rd.11 ハンガリーGP観戦記

なんとも、理由がよく分からないアロンソへのペナルティだった。 これはチームオーダーしたという意味へのペナルティなのか? 両者を公平に争わせなかったというのであれば、過去にも同じ様なことはあった。 予選で、チームメイトよりアタックする回数が少ないことは、他のチームでもあったはずだ。 その際は、車検に呼ばれたとか、給油に時間がかかったとか、単純に時間切れなどの理由で、アタックできなかった。 ただ、これらのケースで、チームは故意に妨げたわけではないので、問題にはならなかった。 では、マクレーレンは今回、故意にハミルトンのアタックを妨害したのだろうか。 それは、あり得ない話しだ。 なぜなら、ハミルトンは二回目のアタックができないことで、予選順位を下げる可能性があったからだ。 今回、幸いハミルトンを上回ったのは、アロンソ一人だけだった。 これは、幸運だった。 路面に一番ラバーがのっているQ3最後のアタックが、一番条件がよく、他にも(特にライコネンが)ハミルトンを上回るタイムを出していても不思議ではなかった。 よって、マクレーレンがハミルトンを意図的に止める理由は全くない。 そう考えると、今回のペナルティはその根拠が不明確であり、アロンソへのペナルティは不当であると言わざるを得ない。 百歩譲って、このペナルティの根拠が明確であっても、アロンソへのピットアウトの命令は、マクレーレンが出すのであり、アロンソ個人へのペナルティは全くもって間違っている。 それならば、マクレーレンに対する、ハンガリーGPでのコンストラクターズポイント剥奪だけでいいのではないか。 この奇妙なペナルティの個人的は推測は以下の通りだ。 1.ハミルトンがアロンソの駐車時間が長くて、最後のアタックができなかった。 2.ロン・デニスが激怒して、スペイン人スタッフをつるし上げようとしていた。 3.それを見たFIAは、アロンソが個人的に判断して、ピットアウトしなかったと判断し、ペナルティを課した。 4.その後、マクレーレンはアロンソがスタートしなかったのは、チーム側の指示だったことを表明。 5.でもFIAはすでに課してしまったペナルティを返上することができずに、ペナルティだけが生きてしまった。 昨年のイタリアGPでもあったが、意味不明のペナルティは、レースへの興味をそぐだけなので、止めるべきだ。 今回の、アロンソへのペナルティは抗議もできないので、あまりにも理不尽である。 これからは、この種類の個人へのペナルティは、よく検討する時間を設けるために、次のGPで適用するようにしてはどうだろうか。 ▽ハミルトン 相変わらずミスが少ない アロンソがペナルティをもらい喜んだのは、ハミルトンだけでない。 ライコネンも大喜びだったはずだ。 これで彼は本来予選4位で、ラバーがのっていないラインからスタートしなくてはいけないかったにもかかわらず、予選3位に繰り上がり、有利なラインからスタートできた。 ついてないのはハイドフェルド。 予選3位だったのに、予選2位へ繰り上がってしまった。 本来はフロントローで喜ぶべきところだったが、路面状況の良くない偶数列の二位スタートとなりスタートでライコネンにかわされてしまった。 その後はハミルトンとライコネンのマッチレース。 一進一退を繰り返すが、ハミルトンは大きなミスをすることもなく、チェッカーを受けシーズン三勝目をマークした。 ハミルトンは第二スティントで、ハンドリングが悪化して苦労していたが、それでも大きなミスをすることがない。 本当に安定したドライバーであり、年齢を偽っているのではないかと思うほど、落ち着いている。 それで、速いのだからランキングトップも当然と言えば当然である。 特に前回、ハミルトンがノーポイントで終わり、アロンソとマッサとのポイント差が急接近しただけに、この勝利は大きい。 特にフェラーリ陣営に対するダメージは、計り知れない。 残すのは6レース。 ライコネンはハミルトンと20ポイント差。 マッサは21ポイント差。 かなり厳しいポイント差である。 次のトルコGPは、フェラーリは絶対に勝たなければいけないレースとなった。 幸いにもイスタンブールはフェラーリが有利だと思うので、チャンスはまだある。 ▽アロンソ激走とマッサ沈没 ペナルティをもらったアロンソだが、それでも全精力を傾けて、一つでも順位を上げようとアタックしていた。 何度もコースアウトしそうになりながらも、突き進むアロンソ。 それでも、抜きにくいコースレイアウトと空力的に敏感な今年のマシンの影響もあり、なかなか順位が上がらない。 なので、4位フィニッシュは素晴らしい結果と言うしかないだろう。 今まで、なれないブレーキとブリヂストンタイヤで苦労して、予選でもミスが目立っていたアロンソ。 そこを克服し、予選最後のアタックで決めてきたと思っただけに、残念なペナルティとなった。 2ポイント差まで縮めたハミルトンとのポイントだったが、これで7ポイントまで広がった。 ただ、最近のアロンソは、ブリヂストンタイヤにもなれてきており、調子が上向きなだけに次のレースは楽しみだ。 もう一方の、マッサは遅かった理由がよく分からない。 予選ではタイヤが冷えてしまったので、タイムが上がらずQ2で沈んだそうだが、今ひとつ納得できない。 タイヤの温度を上げるのも、ドライバーの力量に含まれるのではないだろうか。 決勝レースでも燃料搭載量が多かったとはいえ、佐藤琢磨の後ろで我慢のレース。 確かに抜きにくいコースや空力的な影響が大きすぎて、抜けなかったのだろうが、あまりにもタイムが遅かったように感じた。 ここらあたりの、安定感のなさがマッサの大きな弱点だ。 マシンがよくて、ポールからスタートすれば良いレースができるのだが。 ハイドフェルドはアロンソの追い上げを終盤に受けながらも、何とか逃げ切りカナダGP以来の表彰台に乗った。 彼は3ストップ作戦だったが、これはソフト側のタイヤが2ストップだと持たなかったためだが、結果的には大成功となった。 クビサも5位に入り、BMWは好調を維持している。 絶対的な速さではマクレーレンとフェラーリに劣るが、この二チームに何かトラブルがあると必ず上位に来るのはさすがです。 ▽絶望的なホンダ ホンダ勢4台は、ディビッドソンを除きQ1で脱落。 17位、18位、19位と並ぶ低調さ。 決勝レースでもバトンはトラブルでリタイヤし、バリチェロは完走するも17位。 しかも、ここにきてまた、ピッチング時の不安定さが出てきた。 今年、おなじみの光景だがホンダは今年を諦めて、来年用のマシン開発に全力を傾けるべきだろう。 このマシンは、もう進化するのは難しい。 問題がどこにあるのかは、不明だが根本的に間違ったマシンであることは、間違いがない。 佐藤琢磨は金曜日から好調だったのだが、最後のアタックで強風の影響を受けてコースアウト、大きくタイムロスして、Q1での脱落が決定した。 レースでは、マッサをパスした琢磨が順位をキープし、健闘する。 ソフト側のタイヤを履いた第三スティントでは、突如速くなり1分21秒台を連発。 これはBMWのハイドフェルドやクビサとほぼ同等のタイムであり、全体でも10位となるベストラップを記録。 予選が大事なハンガロリンクだけに、予選での失敗は高くついてしまった。

3 thoughts on “理解不能なペナルティ 2007 Rd.11 ハンガリーGP観戦記

  1. えど

    >アロンソへのピットアウトの命令は、マクレーレンが出すのであり、アロンソ個人へのペナルティは全くもって間違っている。
    予選の映像を観ると、ロリーポップが上げられた後もアロンソが発車せずにしばらくピットに留まっていたようにも見えます。これに対しピットクルーの戸惑う姿も?これによってピットアウトが必要以上に遅れたのは、チームの判断ではなく、アロンソの判断だと解釈されたのではないでしょうか?

  2. 仙太郎

    えどさん、コメントありがとうございます。
    確かにアロンソはロリポップが上がってからも、止まっていますね。
    彼とチームはタイヤをチェックしていたと言っていますが、本当のところは微妙です。
    ただ、このペナルティはひどいと思っています。
    疑わしくは罰せずが、基本ルールだと思います。
    FIAの独断にはほとほと困ります。
    これでチャンピオンシップを盛り上げようとしているのでしょうか。

  3. 赤狼

    6.FIAはF1のグローバリズム化を推し進める為にハミルトンをF1界のタイガーウッズに仕立てたいと思っている。なので何が何でもルーキーイヤーにチャンピオンに仕立てたい。そうなってもらわなければ困る。マクラーレンのコンストラクターズタイトルなど問題ではない。なのでマクラーレンのポイントとアロンソのPPを剥奪した。F1サーカスはエクレストンの思うが侭なのか?

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