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鈴木亜久里の志 その三

スーパーアグリの今後 スーパーアグリの二台が今年も無事に、開幕戦オーストラリアGPのグリッドに並んだ。 開幕直前のテストもキャンセルするなど、最後の最後まで参戦を危ぶむ声があったが、ぎりぎりのところで間に合った。 結果的に、スーパーアグリはスポンサーを見つけることができずに、外部から出資者を迎え入れることになった。 彼らの名前はマグマ・グループ。 マグマ・グループはフォードとマセラティの元取締役だったマーティン・リーチが率いる自動車コンサルティング会社である。 まぁ、訳のわからないロシアの富豪の買われるよりは、良い選択だったように思う。 ただ、まだまだ安心するのは早いかもしれない。 鈴木亜久里も認めているように、スーパーアグリとマグマ・グループは正式に契約したわけではない。 それでも、スーパーアグリが参戦にこぎ着けたのは、恐らくホンダから金を借りたか、ホンダの保証を得て銀行から金を借りたかのどちらかだろう。 契約もしていないのに、資本金を振り込むお人好しはいない。 これは、推測でしかないのだが株式の保有比率などもまだ決まってはいないのだろう。 スーパーアグリ側は不利な状況である。 マグマ・グループ側はいつでも交渉を打ち切ることができるし、それで失うモノは何もない。 一方、スーパーアグリは何が何でもこの交渉をまとめ上げるしかない。 こういう場合、マグマ・グループは交渉を長引かせスーパーアグリが資金的に厳しくなるまで、待つというのが普通の作戦だろう。 そうすれば、スーパーアグリ側は譲歩せざるを得ない。 マグマ・グループは当然、過半数を超える株式の譲渡にこだわるだろう。 これは投資する側から言うと、当然の話だ。 交渉がまとまるにしても、決裂するにしてもスーパーアグリは元の形を残すことはないだろう。 既にチームの要であるダニエル・オーデットはチームを既に離れた。 スーパーアグリは、鈴木亜久里が作り上げたチームと思われているが、実務上はダニエル・オーデットが中心となって作り上げられた。 鈴木亜久里がスーパーアグリのハートの部分で、オーデットは頭に当たる存在だ。 彼なしには2006年あれほどの、短期間にチームを構築し、開幕戦に間に合わせることはできなかっただろう。 そんな戦友であるオーデットとの別れが、つらくないわけはない。 それでも、そうせざるを得なかった鈴木亜久里の立場はつらい。 では、今後はどうなっていくだろうか。 恐らく株式の100%近くがマグマ・グループへ渡るだろう。 もし、彼らが50%以下の株式しか持たない場合、スーパーアグリはその出資金を元に今シーズンを戦わなければならない。 スポンサーがない彼らがその資金を使い果たすまでの時間は短い。 それであれば、100%の株式を譲渡してマグマ・グループに、運営資金も出してもらった方が良いだろう。 そうすれば、関係者の借金を一部なりとも返済することができる。 ここで、焦点となるのはホンダの動向だ。 ホンダがマグマ・グループに出す条件である。 彼らはスーパーアグリに、エンジンとトランスミッションを供給している。 ホンダの第一条件は佐藤琢磨を走らせることだろう。 これは、マグマ側も受け入れられる。 鈴木亜久里代表の扱いが微妙だ。 ホンダとしては、チーム名にはこだわらないと思う。 だから、名前はシーズン終了後に変更になるだろう。 シーズン中のチーム名の変更は全チームの同意が必要だし、バーニー・エクレストンなどもいい顔をしないだろう。 シーズン終了後、チーム名が変更され鈴木亜久里がチームを離れ、佐藤琢磨はそのまま残りホンダエンジンの供給が継続されるというのが、一番予想されるシナリオではないだろうか。 ホンダエンジンが無償かもしくは、安価に供給されるのであれば、マグマ・グループにとって悪くはない取引だ。 もし、ホンダのエンジン代金が高い場合、マグマはBMWに触手を伸ばすかもしれない。 スーパーアグリの新しい社長になるのではと、噂されている人物は元BMWの人間らしい。 BMWが開発費の負担軽減と、データの共有を望んで費用を抑えれば、その可能性も低くはない。 実際、BMWはエンジンの供給先を探している。 そうすれば、マグマはドライバーの選択に関しても自由に動ける。 ただ、それでもひとつの疑念は残る。 果たしてこのコンサルタント会社であるマグマ・グループにこれだけの大金を調達できるのであろうかと言うことだ。 彼らの後ろにはアラブ系の投資会社がいるとも、言われている。 買収した後も、参戦するには多額の費用がかかる。 スポンサーもない状況で、彼らはどのようにして費用を調達するのであろうか。 SS Unitedの時もそうだったが、どうもこの会社を信用するには早いような気がする。

2 thoughts on “鈴木亜久里の志 その三

  1. 仙太郎

    ダニエル・オーディットは、メルボルンに姿を見せていたのですが、マグマ・グループとの話し合いが、発表された後に、いなくなりました。
    それまで、全戦ピットに参加していたので、マグマ・グループとの契約の問題で、チームを離れたのだと思っていました。
    チームからはまったく、なんの発表がなかったので。
    ピットには姿を見せていなかったのですが、工場にはいたのかもしれませんね。
    それで、彼は第三戦までは参加していないと思います。
    今回、マグマ・グループとの交渉が決裂したことを受けて、再度参加してきたのだと思います。

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