マッサ初勝利とBMWの躍進 2008 Rd.3 バーレーンGP観戦記
▽マクラーレンの自滅とフェラーリの独走
追い詰められたマッサの鮮やかな今季初勝利だった。
ただ、彼には幸運もあった。
偶数グリッドであったにもかかわらず、上位の奇数グリッドのドライバーの大半がスタートで順位を落とした。
そして、ライコネンは今回マシンのバランスに苦しみ、予選で4位に沈んだ。
砂が乗った厳しい路面コンディションの中で、ライコネンが最後まで追い詰めてきたが、前回のようなミスを犯さずに、最後まで逃げ切ったことは、素晴らしい。
だが、ライコネンは本調子でなく限界まで攻めていなかったことも事実である。
今回、マッサが最も得意とするスタートで前に出て、アドバンテージを得て、差を広げて逃げ切る彼の勝ちパターンで勝った。
問題は、これ以外のパターンでも勝てるかということだ。
それができないとライコネンを逆転してチャンピオンになるのは難しい。
ただ、ここでマッサが勝ったことによりチャンピオン争いの面ではおもしろくなってきた。
ライコネンが独走してしまうとチャンピオン争いの興味がなくなってしまうからだ。
そして、フェラーリのこうした状況は、ハミルトンなどにとっても有利に働く。
一方のライコネンも、4位と言う難しいグリッドからのスタートで、2位に入れたのだから、満足すべきレースだったはずだ。
これで、ポイント圏外のハミルトンを逆転し、ランキングトップに立った。
ハミルトンは、スタート用の制御ソフトに切り替えるのが遅れた結果、うまくスタートができずに、ストールしそうになり、スタートで失速。
その後も、アロンソのマシンを避けきれずに追突し、早々と優勝争いから脱落してしまった。
彼レベルのドライバーが後ろから突っ込むというは、非常に珍しい。
これも、路面状況が悪かった為であろうか。
スタートで出遅れただけに、少し焦っていたのかもしれない。
それにしても、簡単なミスでレースを失ってしまった。
コバライネンは奇数グリッドからのスタートで、最初ライコネンを抜くことに成功したが、1週目にブレーキングをミスして抜き返され、さらにひどいフラット・スポットを作ってしまいペースを上げられなくなってしまった。
最初のタイヤ交換後は、良いペースで走りファーステストラップも記録しただけに残念な5位だった。
昨年のマクラーレンは、速さではフェラーリに及ばずとも信頼性の高さでポイントを拾い、チャンピオン争いで優位に立っていた。
マレーシアGPでのペナルティと今回のようなミスが続くと、フェラーリに追いつくことは難しいだろう。
▽BMWの躍進とルノーの苦境
クビサがBMW初のポールポジションを、もたらした。
燃料は若干軽めではあったが、極端に予選重視というわけでもなかった。
それだけに、BMWの速さは本物であると言えそうだ。
スタートでは、マッサを牽制しようとしたが、失速し2位に落ちる、すぐにライコネンに抜かれて3位になり最終的に表彰台でフィニッシュ。
BMWは三戦連続の表彰台である。
予選では、うまくいかなかったハイドフェルドも4位に入り、BMWは第二集団のトップというよりは、第一集団に入って来つつある。
昨年までの表彰台とは結果は同じでも、レベルが違うかもしれない。
ただ、第一戦ではフェラーリが、第二戦ではマクラーレンが自滅している。
彼らと正面切って戦えるかどうかは、今後数レースを見てみたい。
このレースのラップタイムを見る限り、34秒台をコンスタントに出せるフェラーリと、35秒台も混じるBMWの差はまだ少しありそうだ。
このBMWの躍進はマクラーレンとルノーを厳しい状況に追いやっている。
マクラーレンはBMWのおかげで取れたはずの数ポイントを取り逃がしているし、ルノーに至ってはBMWがリタイヤしない限り最高位は7位になってしまう。
そのルノーは、相当難しい状況のようだ。
シーズン開幕前は、アロンソがいればもう少しいい結果が出るかと予想していたが、これでは厳しい。
アロンソの開発能力をもってしても、悪いマシンを良いマシンに変えることは不可能である。
来シーズン、彼がBMWへ移籍するかどうか今後の注目になりそうである。
▽日本勢の結果は?
BMWがトップグループへ移籍(?)したに伴い、第2グループのトップはトヨタになった模様である。
特にツゥルーリは悪コンディションでも、きっちり走りきり3ポイントを獲得。
相変わらず良い仕事しています。
ホンダはバトンが、クルサードと接触し、フロント・ウィングを失い大きく後退。
このアクシデントだが、クルサードがもう少しイン側をあけていれば、避けられたと思う。
あれでは、バトンは行き場がない。
中嶋一貴は、予選でのアタックがうまくいかない。
ニコとは0.5秒以上の差がある。
予選タイムの接近を考えるとこの差は、厳しい。
レースでは路面のオイルにのりスピンしてしまい14位になるのが精一杯。
予選でのパフォーマンスを上げない限り、難しい状況は続きそうである。
スーパーアグリは、佐藤琢磨がスタートでジャンプアップ。
悪コンディションの中、2週目に14位まで順位を上げるが、二回目のストップ時に手間取り順位を落としてしまった。
二台とも完走したことは、彼らにとってはいいニュースだ。
悪いニュースはまだ、今後の体制が完全に決まらないこと。
これでは、開発もままならないつらい状況が続く。
状況が悪くても、人間は希望を持ってがんばれるが、状況が改善しない状況が続くと精神的に厳しい。
- 鈴木亜久里の志 その三
- 開幕三戦を終えて
今年はホントに接戦ですね。
Livetimingで見てるとセクタータイム毎に緊張します。
ハミルトンはプログラムの切り替えミスですか。
いつのタイミングで切り替えるのが一般的なのでしょうかね?