帰ってきたアロンソ スペインGP観戦記
▽帰ってきたアロンソ
本当に素晴らしい走りだった。
ライコネンが?
もちろん、ライコネンの走りは素晴らしかった。
しかし、今回の主役はやはりアロンソであろう。
予選で暴れるマシンをねじ伏せて、2位のグリッドをゲット。
あまりに素晴らしい走りだった。
確かに、他より軽めであったが、極端に燃料が少ないということもなく、ワール
ド・チャンピオンのアロンソを思い出させてくれた。
確かに、ルノーのマシンの開発が進んだと言う事実はある。
実際、ネルシーニョもQ3に進出を果たしている。
だが、その開発もアロンソがいたからこそだろう。
彼が走りタイムを出し、速ければ効果的なパーツだし、遅ければだめなパーツだ
と誰でもすぐにわかる。
今回、ルノーは10種類以上の新しいパーツを持ち込んだ。
アロンソからの的確な、フィードバックがあればこそ、開発がここまで進んだと
思う。
対照的に、第三戦終了後、同じく長い開発期間があったマクラーレンは、BMWに
凌駕されようとしている。
これは、二人の若いドライバーとアロンソとの大きな違いだろう。
昨シーズン、アロンソがマクラーレンに対して訴えていた開発面での功績は、間
違いなくあったことを証明した。
最終的に、アロンソはエンジントラブルでリタイヤしたが、今後のレースに期待
を持たせてくれた走りだった。
さすがは、ミハエル・シューマッハーを破ったワールド・チャンピオンだけのこ
とはある。
ただ、それでもルノーと上位三チームとの差はまだある。
上位陣に何も起こらなければ、アロンソが表彰台に乗るのは難しいだろう。
▽沈むマクラーレン
一方、マクラーレンがさえない。
予選では、BMWに追い抜かれ決勝ではハミルトンが3位にはなったが、レースペー
スではBMWと差がなかった。
今シーズンは、ハミルトンにミスが目立つ。
昨シーズンの、あの安定したレース展開が嘘のようだ。
これは、アロンソというNo.1がいなくなり、すべてのプレッシャーを彼一人で受
けている事と無縁ではないだろう。
昨年であれば、3位でもすごいルーキーだと評価されていたのが、今シーズンは
勝って当たり前になった。
すべての批判は、ハミルトンに向けられる。
さらに、経験不足によるセットアップ不足。
単純に戦力面だけ考えれば、アロンソの移籍はマクラーレンに大きな傷跡を残し
ているといえる。
もっとも、ハミルトンはまだF1に参加して20戦程しか走っていない。
それを考えると、やはりハミルトンはすごい。
ただハミルトンのチームメイトは、若いコバライネンではなく、ベテランドライ
バーの方がよかったような気はする。
コバライネンのリタイヤの原因ははっきりしない。
ホイールが割れているのだが、なぜ割れたのか?
強度不足とは考えられないので、どこかのギャップに乗り上げた時か、縁石に乗
り上げた時に急激なストレスがかかったのか。
それとも、マクラーレンのホイール独特の原因があるのだろうか。
何はともあれ、コバライネンに大きな怪我がなかったことは幸いだった。
▽フェラーリ完勝
このサーキットは、空力が大きなファクターを占めるので、フェラーリが速かっ
たことは驚きではなかった。
セットアップが決まったライコネンにマッサが勝つのも難しいこともわかってい
た。
だから、よほどのことがなけらば、ライコネンの勝利は動かなかった。
今回、ライコネンは前の三戦とは違うセットアップを試して、大成功。
彼は予選でポールをとり、スタートを決め、リードを広げて勝利した。
言うと簡単なことのようだが、これらをきっちりと揃えてくるところに、ライコ
ネンのすごさはある。
ただ、思っていたほどフェラーリと他のマシンの差がなかったことも事実だった。
レース終盤に、ライコネンは多少ペースを落としていたかもしれないが、マッサ
と2秒、ハミルトンと4秒という差は決して、安全とは言えない。
一つのミスで、ひっくり返る差である。
それを考えるとフェラーリの今回の走りは、彼らの正確な実力を示していると思
われる。
▽BMWの躍進
ルノーと同じく、三週間のインターバルの間に、戦闘力を上げてきたのが、BMW
だ。
開幕三戦でも、マクラーレンに追いつきそうなパフォーマンスを見せていたが、
スペインではまったく、互角の戦いを見せていた。
ハイドフェルドは、セーフティカー導入時に、燃料補給を余儀なくされ、後退し
たが、クビサがきっちり4位に入賞。
ハミルトンとの差は、スタートで前に出られたかどうかにすぎない。
BMWの好調が続くようだと、フェラーリを追いたいマクラーレンにとっては、厳
しい。
BMWの今後の課題は、二台とも問題なく上位でフィニッシュさせることだろう。
これまでは、どちらかのドライバーが良ければ、どちらかが後退するパターンが
多かった。
そこら辺りに、真のチーム力が表れてくるからだ。
▽中嶋一貴 入賞
中嶋一貴がまた、入賞した。
今回は、予選ではQ3進出はならなかったが、ニコを凌駕した。
安定した走りで、サバイバルレースを勝ち残り入賞したことは評価できるが、ス
タートでの失敗などもあり、今後上位陣のリタイヤが少なくなったときにどうす
るか真価を問われる。
この、サーキットはウィンターテストでも走りこんでいるし、先週のテストでも
走っている。
そういう意味で、ルーキーである中嶋にとっては、条件のいいサーキットだった。
ただ、本当にすぐれたF1ドライバーは未知のサーキットに行っても、2~3周もす
ればベストラインを見つけて、いいタイムを刻んでくる。
そこを、どうクリアしていくかが、彼の課題になる。
F1の世界は慣れるまで待ってはくれない。
来シーズンのシートを確保するためにも、前半戦で一度いい走りを見せておきた
い。
ホンダのバトンは、チームに今シーズンの初入賞をもたらした。
チームメイトのバリチェロは、ピットレーンでフィジケラと接触して、フロント
ウィングを脱落させるという信じられない失態を演じたが、バトンはきっちり荒
れたレースを走りきり入賞。
ホンダも、この三週間のインターバルを有効に活用してきたチームの一つだろう。
ホンダは、昨シーズン多くの人材を獲得したが、それゆえに開発のスタート時期
が遅れ、それを追いつけないまま、シーズンが開幕し、苦戦を強いられていた。
この休みの期間を使って、差を縮めてきた。
彼らにとっては、問題なのは彼らが前進しても、他のチームも更に前進している
ことだ。
開発競争は続いており、ホンダがライバルの開発ペースを上回るのは厳しいのが
現実だ。
トヨタは、ツゥルーリがQ3に進出し予選8位を獲得。
毎回、彼の頑張りには頭が下がります。
ただ、レース中のコミュニケーション不足で、余計なピットインをしてしまい、
8位に後退。
クルサードとグロッグが絡んだのを見て、ピットではツゥルーリが絡んだと勘違
いし、ピットインの指示を出したのだ。l
これにより、ツゥルーリはバトンと中嶋一貴に抜かれてしまった。
ちょっと、F1チームとしてはお粗末なミスだった。
▽スーパーアグリの今後は
参加すら危ぶまれたスーパーアグリは、無事に出走。
デイビッドソンはリタイヤしたものの、佐藤琢磨は完走。
途中、一時は入賞圏内を走るなど、テストなしのぶっつけ本番状態であることを
考えると奇跡的と言っていいだろう。
彼らのマシンは、前半分は昨年のホンダのマシンで、エンジンより後ろは今年の
ホンダのマシン。
ギアボックスの4戦連続使用のレギュレーション変更により、ケーシングの形状
が変わり、そうせざるを得ないのだ。
いうなればハイブリッド仕様であり、まったくテストなしで、レースに臨むのは
厳しい。
特に、昨年のホンダのシャシーはお世辞にもいいとは言えないので、それがスー
パーアグリの苦境に輪をかけている。
シーズン中盤には、今年のホンダのモノコックを使用できるようになると言われ
ているが、そこまで参加ができればいいのだが。
【編集後記】
スーパーアグリ支援プロジェクトに応募して下さった方、ありがとうございます。
100名以上の方から、ご連絡いただきました。
現在、いろいろと方策を練っています。
時間はあまりかけられないのは、よくわかっていますが、もう少しお待ちください。
よろしくお願いします。
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