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マクラーレンの控訴は認められない可能性も

先日のブログで、ベルギーGPでのハミルトンへのペナルティに対してマクラーレンがFIAの国際裁判所へ控訴し、受理されたと報じたが、どうも事情はもう少し複雑である。 正確には日曜日にマクラーレンはペナルティを受けて、控訴の意向を示した。 ペナルティに不服のあるチームは8日以内に控訴する権利が与えられている。 だから、まだ正式にマクラーレンの控訴が受理されたわけではない。 問題が複雑なのはこのハミルトンへのペナルティは、本来であればドライブ・スルー・ペナルティとなるべきだったことだ。 だが、正式な裁定が出たのがレース終了後だったので、ドライブ・スルー・ペナルティの代わりに、ほぼ同等と見られる25秒加算のペナルティとした。 そして、ドライブ・スルー・ペナルティに関しては一切の控訴が認められていない。 と言うのもドライブ・スルー・ペナルティはレース中に出されて実施されるので、これを裁判でひっくり返されても、レースのやり直しをすることができないからだ。 タイム加算のペナルティであれば、後ほどレース結果を修正することができる。 その為、FIA国際裁判所は、マクラーレンが控訴した場合、このケースが受理可能なのかどうか判断することになるだろう。 フェラーリとマクラーレンで三回のワールド・チャンピオンに輝いたニキ・ラウダは、次のように述べている。 「これはF1史上、最悪の裁定だ」 「これほど邪悪な裁定は見たことがないね」 「今回のように3人の職員(スチュワード)がチャンピオンシップに影響を及ぼすことなど、到底、容認できない」 まったく同感である。 だがFIAはマクラーレンの控訴を受理しても、しなくても、判断を変えることはないだろう。 ここまで重大な判断を下した以上、彼らが自分自身を否定することは難しい。 FIA国際裁判所は身内のようなものであり、FIA側の権威を大きく損ないかねないような判決は期待できない。 ここで、ハミルトンへのペナルティを変更すれば、過去のペナルティに対しても疑惑が生じるし、将来のペナルティに関しても判断の正当性が問われることになる。 昨年のハンガリーと2006年のイタリアでのアロンソに対するペナルティ。 昨年のマクラーレンに対する巨額の罰金。 そして、今回のルイスに対するペナルティ。 どれも納得がいかない。 果たしてFIAはF1にとって必要なのであろうか。 そう思わずにはいられない事件である。

4 thoughts on “マクラーレンの控訴は認められない可能性も

  1. 仙太郎

    す、するどい。
    そんなところに気がつくなんて。
    うかつなことはできませんね(^^)。
    記事の順番がおかしくなって、元に戻らなくなったので、日付を変更して、順番を無理やり直しました。
    今は9日に変更済みです。

  2. aa

    今回のハミルトンの抜き方が認められると、今後同じ抜をすればいいことになる、スリップストリームにすぐ入れるのだからフェアではない、アタック前ではなくアタック中の状態に戻るなんておかしいでしょう?
    前を譲るってのは「仕切りなおし」ってことでしょう?
    当然、事故も増える。

  3. おお!
    ちょっと(だいぶ)偏見に感じた記事に、いいコメントが
    入り、ちょっと安心!
    仙太郎さんの意見を見るのは楽しみですが、
    今回は一言多いと感じます。

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