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ブラウン・レーシング誕生か?

旧ホンダチームの将来が決まる。 今週中には発表があると噂されている旧ホンダチーム。 買収に興味を示した企業や団体は多かったが、ホンダが望む長期にわたってコミットメントして資金的な心配のない団体はついに現れなかった。 ホンダとしては、タダ同然で最新の設備を備えるこのチームを手放す用意はあったのだが、数百億円と言われる、今後の活動費を保障できる投資家はついに現れなかった。 結局は、MBOで落ち着いた。 MBOとは、マネージング・バイ・アウトの略である。 通常の買収は、外部の買収者がお金を払って企業の株を取得し、買収する。 MBOは身内、すなわち経営陣がお金を払って、株を取得し、買収する。 このチームは、ホンダが100%の株式を保有していたので、ホンダからチームの経営陣であるロス・ブラウンらが株式を買い、自分達のチームとして再出発を図る。 ドライバーはバトンとバリチェロ。 バトンはこのチームに残るために、年棒の半減を申し出たとも言われている。 噂されたブルーノ・セナは見送られた。 理由は今年から費用削減の手段として、シーズン中のテストが原則禁止される。 シーズン前のテストができていないこのチーム。 新人のセナがテストが極端に少ない状態で、シーズンに望んだ場合、慣れるのに難しいと言う判断が働いたようだ。 ホンダからチーム経営陣への売却価格は、保有する最新設備からすれば驚くほどのバーゲン価格になるだろう。 極端な話、ホンダから買収後、すぐに売りに出せば、簡単に儲けることができる。 もちろん、それを禁止する条項が契約書に含まれていることは間違いがないが。 問題は、シーズン中の活動費である。 エンジンはメルセデスで決まり、すでにシャシーへのキッティング作業は完了している模様である。 だが、ホンダからは無償で供給されていたエンジンは、もちろん有償となる。 さらにシーズン中のテスト禁止にともなう、テスト部隊人員の削減によりコストのカットは可能になるが、それでも最低200億円~300億円は必要と見られる活動資金をどのように工面するのか。 スポンサー候補にはいくつかの会社の名前が挙がっていた。 ホンダが交渉を進めていたとされる、ペトロブラスやエミレーツ航空などは、スポンサー報道を否定している。 ホンダのワークスでも、スポンサーを取るのに苦労していたのに、プライベート・チームに興味を示す会社がいないであろうことは、想像に難くない。 結局、今年の活動資金の大半はホンダが供給することになるのではないかと見られている。 それでも、チームを解散するよりホンダの負担は少ないらしいのだが、これでは本来の趣旨から大きく離れると言われても仕方がない。 もっとも、ホンダのF1撤退は、お金の節約というよりは、今年の6月に退任する福井社長が自分でなければF1に幕引きするのは難しいと考え、早期の撤退に踏み切ったと考えれば合点はいく。 ショック療法により社内の意識変革を進めたかった構図が見て取れる。 そういう意味で、今年多少に費用がかかったとしても、その目的は達成したと言えるだろう。 チームの名前がどうなるかは不明だ。 チームの所在地にちなんで、ブラックリーF1と言う名前やブラウン・レーシングになるとも噂されている。 来週の合同テストに参加すると見られるこのチーム。 その全貌がわかるまで、あと少しだ。

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