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開幕戦を終えて

では、開幕戦恒例のチーム別に今シーズンを占ってみよう。 マクラーレン シーズン開幕前からの不振を抱えたままの開幕となった。 ハミルトンが3位になったとはいえ、不安は大きい。 とはいえ、マクラーレンの開発能力はF1界随一なので、シーズン後半には改良してくるだろうが、それまでに他のドライバーに大差をつけられているようだと、チャンピオンシップを守ることは難しい。 そして、恐らくそうなるだろう。 フェラーリ マクラーレンよりは多少マシではあるが、1992年以来最悪の開幕戦となった。 ちなみに92年と言えば、ダブルフロアの92Aで最悪のシーズンだった年だ。 ライコネンとマッサは開発能力に優れているとは言えないだけに、早々に競争力を取り戻さないと、袋小路に入り込み、抜け出すのが困難になるかもしれない。 BMW<ハイドフェルド:KERS有り・クビサ:KERSなし> クビサは優勝目前だったが、これはSCに助けられた面もあり、マシンの実力を判定するのは難しい。 なによりこのチームは、シーズン前からKERSに最も積極的なチームの一つだったが、あろうことかクビサをKERSなしで走らせると決断した。 結果的にこの判断は成功し、クビサの躍進につながったのだが、これではハイドフェルドも黙っていないだろう。 彼もKERS無しで走りたいと言い出すかもしれない。 そうするとKERSをBMWのマーケティングに使いたいチーム側は面目丸つぶれ。 マレーシア以降どうするのか注目だ。 ルノー ルノーらしくないかっこわるい外観そのままに、タイムも優れなかった。 このマシンをアロンソがどこまで仕上げてくるか。 だがら昨年同様、後半に期待しよう。 トヨタ ハイブリッド車で世界を牽引するトヨタは早々にKERSを搭載しないことを決めた。 灰色のディフューザー問題はあるにせよ、マシンの素性は良さそうである。 ピットスタートがなければ、上位争いに絡んできた可能性は高い。 問題はこのアドバンテージをどこまで維持できるか。 総合力が問われる一年となりそうである。 レッドブル 今年、レッドブルはブレークするだろう。 ベッテルは優勝し、マシンの信頼性さえ良ければ、チャンピオン争いに絡む活躍を見せるかもしれない。 ニューウェイとこの童顔の若者の組み合わせは、恐ろしいほどのポテンシャルを秘めている。 今年はレッドブルから目を離せない。 トロロッソ マシンはレッドブルと同じだが、ベッテルが抜けた穴は埋めきれないだろう。 ブエミは開幕戦で入賞したが、彼の実力を評価するには今後の数戦を見てみたい。 フォース・インディア マシンの戦闘力は多少良くなっているようだが、相対的にはやはり一番後ろ。 まさか、ブラウンGPがこんな事になるとは想像もできなかっただろう。 二人のドライバーの頑張りに期待しよう。 ウィリアムズ 独自の機械式KERSを開発していたが、結局レースでの採用は見送り。 ディフューザーのアドバンテージもあり、序盤はチャンス有り。 そこで結果を残したい。 中嶋は予選で上位に行かない限り、結果を残すのは難しい。、 ブラウンGP 別次元の速さ。 だがディフューザー以外には、特筆すべき点が見あたらない。 非常にオーソドックスに仕上げてきたという印象。 大きくレギュレーションが変わって、いろいろなアプローチが見られたが、一番速いのが、普通のマシンとは何とも皮肉である。 全てのホンダファンが悔しい思いをしている。 だが資金的な問題は解消されていない。 それさえ解決できれば、おもしろいシーズンになりそうだ。 そして、大きく変わったレギュレーションから目立った部分を振り返ろう。 【KERS】 開幕戦ではKERS非搭載マシンの方が明らかにアドバンテージがあった。 だが、オーバーテイクするときには、有効なデバイスであるようだ。 問題は、重量増加による重量配分の変更の余地が少ないこと。 KERS搭載車はリアタイヤの摩耗に苦しんでいるところが、多く見られた。 これがKERSのせいか、マシンのせいか、ドライバーのせいかは判断が難しいが、現時点ではKERS無しの方がはやい。 【ディフューザー】 ブラウン、トヨタ、ウィリアムズが規則違反ではないかと、訴えられたが、FIAの判定は白。 正式には4月14日に判決が出るが、判決がひっくり返る可能性は低い。 すでに大半のチームが、大金をはたいてディフューザーをコピーしようとしている。 それまでに、この三チームはリードしておきたい。 【スリックタイヤ】 二種類のタイヤのコンパウンドの違いが昨年より大きくなり、動作温度領域も変えたことにより、二種類のタイヤの性能差が大きくなった。 35度から40度以上で適温になるのが、ミディアムとハード。 それ以下で適温なのがスーパーソフトとソフト。 BSは基本的に動作温度領域が異なる二種類のタイヤを持ち込む予定である。 だから、今回はスーパーソフトとミディアムが持ち込まれた。 もう一つの組み合わせは、ソフトとハード。 これ以外に、モナコやシンガポール、ハンガリーなど路面のグリップが少ないコースでは、スーパーソフトとソフトが持ち込まれる予定である。 オーストラリアでは、ミディアムがタイムが安定していた。 スーパーソフトの方が一発のタイムに優れていたが、早ければ数周、長くても10周で極端にタイムが落ちた。 その為、多くのチームは第一スティントと第二スティントでミディアムを選択。 長い距離を走って、最後に短い距離をスーパーソフトで走りきる作戦だったが、SC導入で目論見が崩れて、クビサの躍進となったわけである。 このように性格の大きく二種類のタイヤを使用することにより、今後も逆転劇が多く見られそうである。 オーバーテイクも多く見られて、おもしろいレースを演出してくれそうだ。 このタイヤ選択が、レース戦略を考える上では、大きなウェートを占める。 ただ、緑のラインは見にくいので、白のラインに戻して欲しい。 【夕方のレース】 バトンやロズベルグが証言しているように、低い太陽や陰によりドライビングは難しかったようである。 彼らはコースの端が見えない部分もあったと話しているし、西日に向かって走ることもあったとも言っている。 今回は深刻な問題にならなかったが、今後は問題になる可能性が高い。 何より、危険である。 これはヨーロッパでのTV放送時間に合わせたいFOMと、高価なナイター設備を導入したくない主催者の妥協の産物であるが、見直す必要があるだろう。 次のマレーシアでも夕方のレース開催が決まっている。 マレーシアでは夕方にスコールが降ることが多い。 その面でも危険なレースにならないことを祈る。 【オーバーテイク】 オーバーテイクを増やすように改訂されたレギュレーションだが、開幕戦ではその効果を判断しづらかった。 グロック曰く、前のマシンに近づくと昨年より、ダウンフォースがなくなったと証言している。 アロンソなどは、KERSをうまく利用して抜くシーンも見られた。 でも一番影響があったのは、タイヤだろう。 性能差が大きくなったハードとソフトタイヤ。 この二つの使い方とSCの出動が、レース結果を大きく左右するだろう。

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