モナコGP観戦ガイド
モナコGP観戦ガイド
【サーキット】
モンテカルロ市街地コース
3.340km×78周=260.520km
コースは曲がりくねっており、メインストレートすら直線ではない。
しかも、バンピーで路面もうねっている部分が多いので、セットアップは難しい。
空力的には、ダウンフォース最優先。
追い越しは、前のマシンがミスをしない限り不可能であり、予選順位が決定的な意味を持つ。
エスケープゾーンがほぼ皆無であり、ドライバーのミスは即リタイヤを招く。
攻めなければタイムは出ないし、攻めすぎればクラッシュ。
ドライバーにとっては、実力を見せられるサーキットでもある一方で、正確なドライビングが求められるコースである。
【エンジン】
エンジンの全開率は42%でエンジンの負荷は少ないサーキットである。
しかしながら、ギア比が低くエンジンの回転数は、思ったより高い。
また路面の凸凹も多く、乗り越える際に瞬間的にオーバーレブのリスクもある。
トップパワーよりも、中間域のドライバビリティが重要でこの点、メルセデスのエンジンは有利。
特に超低速のコーナーが二つあるので、低回転でのトルクが欲しい。
長い直線がないので、冷却が苦しい。
特に今年はボディに穴を開けることが禁止されているので、気温によっては冷却に問題を抱えるマシンが出てくるかもしれない。
【エアロダイナミクス】
とにかく、ダウンフォースが欲しいサーキット。
その為、昨年まではなりふり構わず効率無視でボディー表面に、小さなウィング類を付けてきた。
今年は、ボディへの空力的付加物の装着が制限されているので、許されている前後ウィング周りに付けてくることが予想される。
【KERS】
マクラーレンとフェラーリは搭載する。
ルノーとBMWは使用しない。
全開加速区間が短いモナコは、KERSの使い道が限られたコースであり、パワーブーストのメリットよりも、重量のデメリットの方が多いと思われる。
ルノーのパット・シモンズなどは「モナコではKERS搭載マシンの方が速いことを示すシミュレーションを見てみたいものだ」とまで言っている。
しかし、マクラーレンとフェラーリは当然、KERS搭載の方がタイムが向上すると思い搭載する。
この二つの見解の違いは、どこから来るのだろうか。
恐らく、KERSシステムの重量の違いから来ていると思われる。
つまり、ルノーのKERSはマクラーレンやフェラーリに比べて相当重いのだろう。
【タイヤ】
ブリヂストンはスーパーソフトとソフトを持ち込む。
市街地コースなので、コース状況は刻一刻と良くなってくる。
その為、スーパーソフトでの予選最後のアタックで全てが決まる。
【ピット戦略】
追い抜きが事実上不可能であるので、3ストップはない。
1ストップの可能性はゼロではないが、、燃料が重くなり予選では不利なので上位陣に1ストップはないだろう。
Q1、Q2で脱落した中には1ストップしてくるマシンもある。
上位陣は、予選で前に行きたいので第一スティントは短いことが予想される。
ストップ時間は、13秒+静止時間。
【マシンのアップデート】
レッドブルがモナコに二層式ディフューザーを持ち込み、木曜日に二台で比較テストする予定。
だが、この低速で有名なサーキットでは有効なデータを、取るのは難しい。
これもシーズン中のテスト走行が禁止されているからであり、彼らとしても問題があることはわかってはいるが、他に選択肢はない。
これが本格的に機能するのは、トルコからだろう。
それにしても、ニューウェイが解釈する2階建てディフューザーがどのようになるのか、興味深い。
【レース展望】
追い越しが不可能なサーキットなので、予選が決定的に重要な意味を持つ。
ここを実力で勝てる現役ドライバーは、アロンソ・ハミルトン・ライコネン・ベッテル、そしてバトンだろう。
マシンのパフォーマンスを見ると、ベッテルとバトンの一騎打ちの様相が強い。
空力の影響力は少ないコースながら、メカニカルな部分も競争力のあるブラウンGPのバトンが本命。
乗りに乗るベッテルに注目したいが、ニューウェイのマシンとモナコは相性が良くない。
ニューウェイの設計するマシンは、エアロマシンであり、低速コースのモナコでは、実力全開とはいかない。
勝てそうなレースでも、不可解なトラブルで失った過去もあり、相性も良くない。
空力の影響力が少ないことから、ハミルトン、アロンソやライコネンも予選順位次第では、上位に来る可能性もある。
しかし、ここは何年かに一回とんでもない事が起きる。
1981年にじゃじゃ馬マシンを乗りこなして不可能を可能にしたジル・ビルニューブ、1982年には、最終ラップにピットインしながら優勝したR・パトレーゼ、1992年マンセル独走状態からセナの大逆転、等々何が起こるかもわからないサーキットでもある。
セナのデビューイヤーの2位や1996年に予選14位から初優勝を遂げたO・パニスなど雨がらみのドラマも多い。
今年ドラマを起こすドライバーは誰だろう。
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