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イギリスGP観戦記 Part1 アンタッチャブル ベッテル

ベッテルによるベッテルの為のイギリスGP。 今年、何度となく見せつけられたバトンの圧勝パターンがベッテルにより再現された。 ベッテルは予選Q3でライバル達より7kg以上重い燃料を積んでポール・ポジションを獲得。 フューエル・エフェクトの大きいこのサーキットで、重いマシンを操ってのポール・ポジション獲得は驚異的である。 最も強力なライバルである、ウェバーがQ3でライコネンにアタックを邪魔されて三番手に沈んだことも大きかった。 もし、ウェバーが予選二位であれば、レースはもう少し面白い展開になっていたはずだ。 スタートでもバリチェロの前に出られなかったウェバーは、第一スティントでベッテルに対して為す術がなく大きく引き離されてしまい、二位になる他に方法がなかった。 ただ、レッドブルの圧勝はシルバーストーン・サーキット独特の特徴に助けられた面が大いにあるため、今後もこの調子で勝ち続けられるかどうかは、疑問が残る。 シルバーストーンは低速区間が少なくレッドブル向きのサーキットである。 さらに、低い気温はタイヤに厳しく、ウォームアップ性に優れるレッドブルに有利に働き、ライバルのブラウンGPはレッドブルに歯が立たなかった。 レッドブルの今シーズン二度目の大規模な空力アップデートも、この勝利に貢献した。 これまでも優れたエアロダイナミクス性能をもっていたレッドブルであるが、それを更に進化。 特徴的な細いノーズを幅広にし、ディフューザーも幅を広げて、ダウンフォースを増加させ、高速コーナーだけを見ると、もはやブラウンGPを凌駕している模様だ。 スタートから1コーナーまでの距離が少なかったことも、ベッテルには有利に働いた。 お世辞にも、いいスタートとは言えなかったベッテルは、好スタートを見せたバリチェロに抜かれそうになった。 だが、ベッテルはバリチェロのマシンに寄せブロックすると、1コーナーまでの距離が短いことを活かして、トップで1コーナーへ突入。 後は皆さんもご存じの通り、独走で勝利を飾った。 ベッテルはバリチェロやウェバーに比べて重い燃料を積んでいたので、1コーナーでバリチェロに前に出られても、彼の勝利は動かなかったと思うが、その場合はもう少し興味深いレースとなっただろう。 今まで予選から決勝の戦略で、ブラウンGPに対して後手に回ることが多かったレッドブルであったが、今回は素晴らしい仕事をした。 特にウェバー最初のピットストップで、燃料を多く給油しながら、バリチェロの直前で復帰させた作戦など、お見事であった。 今回のレッドブルは、タイヤもハード、ソフトの両方を使いこなせており、これまでのレッドブルとブラウンGPの立場が入れ替わったようなレースとなった。 全ての要因がレッドブルに有利に働いて、当然の圧勝となった。

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