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富士SWがF1の開催権を返上

富士SWがF1の開催権を返上する見込みであることを、各紙が報じている。 理由はF1を開催した場合の赤字が大きいためだ。 現在、F1を開催するには、巨額の資金が必要である。 一説によるとF1GP開催のために、30億円以上支払っているサーキットも複数あると伝えられている。 その為、F1のチケットは高額になり、トルコGPの日曜日の入場者数は一万六千人まで落ち込んだ。 開催初年度、道路の陥没などで、大失態を演じた富士SWは二年目の対策として、道路整備などを施した。 その為、工事代金20億円をトヨタ等から借り入れた。 また、観客の移動を円滑にするため、入場者数も減らして万全の体制で2年目に臨んだ。 この観客数を制限したことによる収入減とチケットの売れ残りにより、二年目の開催は大幅な赤字になった模様だ。 今年から鈴鹿との隔年開催となった富士SWであるが、今後もF1レースによる黒字化は難しく、その赤字を補填できるほど、親会社のトヨタも余裕がないことから、撤退を決定するのだろう。 F1を開催するサーキット側の収入は、入場者が払う入場料代金だけである。 サーキット内におけるスポンサーの看板やテレビ放映権料は全てFOMの懐に入る。 するとチケット代金を高くしなければ、赤字になる。 単純にFOMに30億円支払って開催権を得て、10万人が入場するとなると、平均のチケット代金は3万円となる。 ただこれでは儲けが出ない。 となるとチケットの平均価格を4万円くらいにしないと利益が出ないが、それでは高すぎて入場者数が減る恐れが為、簡単にチケット代金を高くすることも難しい。 もちろんFOMに支払う30億円以外にも、警備の費用など他の運営費も必要となる。 富士SWの場合、往復バスの費用も重くのしかかる。 ただ、この状況は富士SWだけではない。 シルバーストーンは、施設の老朽化を改善する費用を工面することができずに、今年の開催が最後となった。 カナダやアメリカ、フランスでの開催もなくなった。 あまりにも巨額になった開催費用が、サーキット側を大きく圧迫している。 その為に、最近開催を始めたサーキットの大半が、国や自治体からの支援を受けている。 そうでもしない限り、赤字が確実なF1を開催できなくなっているのだ。 ホッケンハイムもギブアップ寸前だし、ニュルブルクリンクも毎年F1を開催するのが難しいことを認めている。 来年までにドニントン・パークの改修が終わらなければ、フランス、イギリス、ドイツという伝統的なGPが全てなくなるという事態もありえる状況だ。 FOMがなぜここまでサーキット側に高額の費用を請求する理由の一つにCVCというファンドの存在がある。 CVCというファンドは、FOMの大株主である。 CVCはファンドであるので、利益の最大化を図りたい。 彼らにとっては、F1が長期的に利益を上げ続けることは念頭にない。 彼らはフランスGPがなくなり、イギリスGPがなくなり、ドイツGPがなくなっても、痛くない。 それよりも、巨額の開催権料を支払うサーキットと契約した方が、彼らにとってはメリットがある。 だが、このような事態は、F1ファンから見れば受け入れがたいものである。 現在、F1チームの予算規模を制限しようと、協議が続けられている。 それは結構なことなのだが、それ以外にも開催権料の高騰にも歯止めをかけないと、伝統的でチャレンジングなサーキットが一つもなくなる事もありえる危機的な状態である。 それを解決するには、CVCからFOMの株式を買い取らなければならないのだが、その巨額の資金をどう調達するのか、問題は山積みである。 富士SWのF1撤退は、無責任とかそういう話ではなく、現代F1が抱える大きな闇の一部分が現れた結果なのである。 このままでは、F1が開催できなくなるサーキットが相次ぐだろう。 新しい開催国やサーキットが悪いというわけではない。 ただ、伝統的な開催国やサーキットがなくなるF1は、想像できない。 F1が稼ぎ出す金の半分近くが、F1と関係もないファンドに流れていくのは、良い状況とは言えない。 問題が山積みのF1を綺麗に再生するには、新しいシリーズを立ち上げるのも、ありではないだろうか。

One thought on “富士SWがF1の開催権を返上

  1. ならおうは穏やかに語る

    F1は組織改革するだろう

    まず、FIA(国際自動車連盟)、
    FOM(Formula One Management)、FOA(Formula One Administration)とFOTA(Formula One Teams Association)がある。

    FIAとFOTAが2010年(2011?)のF1開催に対して対立・分裂危機を引き起こした。
    FIAとFOMはF1を世界的なモノにするとい

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