2014 Rd.8 オーストリアGP観戦記 優勝を狙わなかったウィリアムズ
ボッタスが3位表彰台を獲得したウィリアムズだが、彼らは勝てる可能性があった。彼らのマシンはドラッグが少なく、トップスピードはコース上の誰よりも高かった。そのため、一度彼らが前に出るとコース上で抜くことは、ミスがない限り難しかった。
メルセデスが前に行くには、タイヤ交換時期で抜くしかなかった。そのためには、リスクを冒して早めにタイヤ交換し、アンダーカットをしかけるしかない。
これを前を走っているウィリアムズからすると後ろから来るメルセデスと同じラップか遅くとも次のラップにはタイヤ交換させたい。だがウィリアムズにとって後ろから来るメルセデスのタイヤ交換の時期は判断が難しい。ピットレーンの速度制限があるので、メルセデスは前を走るウィリアムズがピットレーンの入口を過ぎてから準備しても十分に間に合う。だから同じラップで入るのは無理でも、次の周には入りたい。だが彼らはそうはしなかった。最後までタイヤが持たなかった場合を考えてのことである。
もしウィリアムズが勝ちを狙うのであれば、ウィリアムズは自分たちの計算上、最後までタイヤが持つ周回数を逆算してメルセデスより早く入るしかない。だがそうするともしタイヤが最後まで持たなかった場合、メルセデスに抜かれるだけでなく、表彰台も失うリスクはあった。だがラップタイムが速いメルセデスに勝つにはそれくらいのリスクを冒さないと勝つことはできない。
リスクを回避するためには、2人のタイヤ交換時期を分けるのもいい選択肢だった。そう考えるとラップタイムが良かったボッタスが予選でミスをして、2位になったのも誤算だった。もし速いボッタスがポールからスタートできれば、作戦面で2人を分けるのはとてもいい作戦になっただろう。
勝つためには、勝つためのリスクを冒さなければならない。特に今年のように速くて強いメルセデスを相手にするならば、なおさらである。
ところがウィリアムズはレース開始前から、作戦は保守的にいくと話しており、実際その通りであった。そう考えるとウィリアムズは最初からメルセデス2台の後ろの3位を狙っていたともいえ、この結果は順当であった。
勝ちを狙わないチームが勝つことはない。当たり前の話であるが、残念ながら今のウィリアムズは常勝だった時代とは違う、普通の中堅チームになってしまった。
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