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ミシュランタイヤの危機

ミシュランタイヤを履いたトヨタのラルフ・シューマッハーがインディアナポリスでクラッシュして、問題がわき起こった。 今回持ち込んだミシュランタイヤがインディアナポリスのバンク部分で負荷に耐えきれないのではというのだ。 ミシュランタイヤ側は安全を保証できないといっているようなので、ミシュランタイヤを採用しているチームは自己責任で走らざるをえない。 実は昨年もここインディアナポリスで、同じくラルフ・シューマッハーがタイヤトラブルから大クラッシュし、後半戦のほとんどを棒に振った。

バンク付きのサーキット自体がアメリカ大陸独特のもので、一部の例外を除けば他の国ではあまり見られない。ブリヂストンはインディシリーズなどでファイアストーンタイヤ銘柄でタイヤ供給をしてきたので経験が豊富だ。
一方のミシュランはほとんどバンクの経験がない。ミシュランは昨年、同じくタイヤに強烈な負荷のかかる、スパのオールージュでバーストを経験している。

テレビ画面などで見る限り、ミシュランタイヤの構造の方がブリヂストンよりもサイドウォールなどが柔らかい構造になっているようだ。
これがミシュランの今回のトラブルと関わりがあるかどうかは不明だが、少なくとも決勝レースの朝に持ち込まれるという新しいタイヤは構造も新しいタイヤだろう。
これはタイヤの持ちがどうとかと言う問題ではなく、タイヤに協力な負荷がかかった場合に、タイヤの温度が想定以上に上がりタイヤが持たないのだろう。

実際、バンク部分では強力な縦Gと横Gがタイヤにかかる。
特に普通のサーキットでは掛からないレベルの縦Gがかかり、タイヤへの負荷は強力だ。

日本のGTカーがバンク付きサーキットで走ったときは、バンク部分にシケインを設置して、タイヤへの負荷を軽減する方式をとったほどだ。
通常のタイヤをそのままバンクで走らせるのがいかに危険なのかを物語る話だ。

今回、ミシュランタイヤが持ち込んだタイヤがインディアナポリス専用のタイヤなのか、他のサーキットで使ったものをアレンジしたタイヤなのかはわからないが、大きな判断ミスをしたことは間違いがない。

今のところ、ミシュラン勢でタイヤに明らかな問題を抱えていそうなのはルノーみたいだが、もし新しいタイヤの導入が認められなかったら、どうするのだろう。
危険を承知で走らせるのか?
ミシュランはどう対応するのか?
決勝レース前にタイヤ4本を交換することは、レギュレーション上認められないだろうし、ブリヂストンがたとえ交換OKと言ったとしても、他のミシュラン勢(例えばマクラーレンやBAR)が認めない可能性もある。

ライコネンはタイヤに不安はないとインタビューで発言していたので、そのまま走るだろう。
するとチャンピオンシップを争っているアロンソが走らないわけにはいかなくなる。

かといって危険なタイヤで走って大きなクラッシュがあった場合、どうするのか。
インディアナポリスはバンク部分は観客席に隣接しており、大きな事故があった場合は観客を巻き込む可能性もある。

すると問題を抱えているチームが取るべき作戦は限られてくる。
何らかのペナルティを覚悟してタイヤを4本交換するか、スタートして2~3周してリタイヤさせるか、バンク部分を遅く走らせるか、ピットスタートして極端にウィングを立ててトップスピードを抑えつつ、ダウンフォースを増やしタイヤへの負荷を軽減するかくらいが考えられる。

まさか、ミシュラン勢が全員イベントをキャンセルするとは考えにくいが、それすらも全くの絵空事ではない前代未聞の自体だ。

どちらにしても、大きな事故のないレースが行われることを祈る。

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