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2010年レギュレーション解説 PART2

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  5.ピット戦略 レース途中の燃料補給ができないが、持ち込まれる二種類のタイヤを最低一度は使用しなければならないルールは残るので、各マシン最低1度のピットインは必要になる。 一時期、2回のピットストップを義務づけようという動きがあったが、これは見送られた。 タイヤ交換だけですむので静止時間は3秒ほどとなる。 これによりタイヤ交換作業にかかるプレッシャーは大きくなる。 2009年以前であれば、燃料補給時間が長かったので、タイヤ交換は普通にやればよかった。 だが、今年からはタイヤ交換時間自体でミスが出れば、抜かれる可能性も出てくる。 今年はプレッシャーに負けて、タイヤ交換でミスをするチームが出てくるだろう。 ピットインのタイミングであるが、タイヤの状態や燃料搭載状態にもよって変わってくるので、早くはいるほうが有利なのか、不利なのかは一概には言えない。

その為、競い合うマシンのピットを偵察しながら、ピットインのタイミングを考えてくるシーンが増えるだろう。 前を走るマシンは追いかけてくるマシンのピットインのタイミングをみて同時にはいることも考えられる。 逆に追う方からすれば、ぎりぎりまでピットインしないと見せかけて、ピット入るということもやってくるだろう。 また2009年までは燃料消費をできるだけ抑えてピットインのタイミングを遅らせるのがセオリーだったが、今年は燃料を余らせていても仕方がないし、燃料が残れば残るほどタイムが落ちる。 しかし、ここぞという時には、パワーベストで走りたいので、多少の余裕は欲しい。 ゴール直前のガス欠を心配する声もあるが、今のF1エンジンは正確に燃料消費量を把握することが出来るので、よほど無理をしない限り、そのような場面は見られないだろう。 6.予選システム 参戦枠が26台に増えたことにより、予選システムが少し変更される。 (実際はUSF1が参加できないので24台体制となる) Q1、Q2、Q3の三つのセッションのノックアウト方式は変わらないが、 Q1(20分)で下位8台が落とされ、Q2(15分)で残った18台のうち8台が落ちる。 残りの10台でQ3 を戦い予選順位を決定する。 USF1が参戦できないので24台体制となり、その場合はQ1で7台が落ち、Q2で7台が落ち、Q3は変わらずに10台で競いあう。 予選はQ1からQ3まで空タンクでタイムを争う。 久しぶりに予選で最速のドライバーが決まる。 ただQ3へ進出したマシンはQ3でアタックしベストタイムを記録したタイヤでスタートすることを義務づけられる。 決勝レースの前、グリッドに着くために、ピットアウトした後は、燃料補給が禁止される。 予選を空タンクで走れるとはいえ、セットアップは予選と決勝で変更できない。 空タンク専用のセットアップで予選を走ることは考えにくいので、決勝での重い車重を見込んだ、妥協したセットアップになる。 その為、満タンと空タンでのマシン挙動の変化が少ないマシンが有利になる。 7.マシン最低重量 マシンの最低重量が605kgから620kgへと変更される。 もともとはKERS搭載車の重量増のデメリットを緩和することが目的だった。 KERS自体は禁止されていないのだが、チーム間の取り決めで、使用されない。 その為、この重量増はそのままバラストに使用される見込みだ。 8.エンジン規定ペナルティ エンジンの年間8基使用制限は変わらない。 ギアボックスの4戦連続使用も同じ。 9基目のエンジンを搭載した時は、そのグランプリで、グリッド10番手降格になる。 同じレースで9基目と10基目を投入した場合、昨年までだと20番手グリッド降格と なったが、今年からはそのGPで10番手降格、次のGPでさらに10番手降格となる。 これはひとつレースで9基目、10基目を投入してピットスタートし、それ以降のGPでアドバンテージを得ようとするのを防ぐためだ。 9.タイヤ・ウォーマーの制限 当初、タイヤ・ウォーマーは禁止される予定だったが、タイヤが冷えたままの状態で走り出すのはグリップが得られず危険だというドライバーの声に押されて存続が決まった。 ただし今年は温めることができるのは、タイヤ表面だけ。 昨年まではホイールも温め、タイヤ内部の空気も暖めていたが、それはできない。 10.ポイント制度変更 昨年までの1位から8位まで入賞とされ、1位から順番に10、8、6、5、4、3、2、1ポイントが与えられた。 今年から1位から10位までが入賞になり、1位から順に25、20、15、10、8、6、5、3、2、1がポイントとなる。 これは昨年までの方式だと優勝と2位の間のポイント差がたったの2ポイントしかなかったので、その差を広げて優勝のメリットを拡大し、積極的にトップ争いをさせようという目論見だ。 確かに昨年までだと優勝できなくても2ポイント差しかないので、無理をしてトップのマシンを抜くというインセンティブは働きにくかった。 だがこの方式だと優勝のポイントは2.5倍に拡大されているが、二位のポイントも2.5倍に広がっている。 その為、見かけほど1位と2位のポイント差がないとも考えられる。 また下位チームが入賞する機会を増やすことにより、スポンサーへのアピールの機会を増やすことも目的の一つである。 もともとF1のポイントは1位から6位まで入賞とされる時代が長く続いた。 その時のポイントは上位から9、6、4、3、2、1だった。 それが優勝の価値を上げようとして途中から優勝者だけ10ポイントになった。 昨年までのポイント制度に変わったのは、一時期ミハエル・シューマッハーが強すぎて8月や9月にチャンピオンが決まるケースが出てきて、残りのレースが消化試合のようになることを防ぐためだった。 この目論見はある程度達成されており、2006年から2008年まで毎年最終戦でチャンピオンが決まり、シーズンは盛り上がった。 だがそもそも、追い抜きの機会が減っているのは、最近のサーキットレイアウトが中低速コーナー中心であることと、二台が縦に並んで走った場合、後方を走るマシンの挙動が空力的に不安定になるというマシン的な理由が大きい。 なので、ポイント制を変えても追い抜きは増えないだろう。 11.テスト制限 シーズン中のテスト禁止はこれまで通り。 それに加えて風洞実験の制限も継続される。 ただし昨年と変わった点が一つある。 それはシーズン途中でドライバー交代が起こった場合、変わるドライバーが新人ドライバーであれば、テストが許される。 もし、そのテストした新人ドライバーが交代しなかった場合、翌年のテスト日数が削除される。 12.ホイール・カバーの禁止 ホイールから出る乱れた空気をコントロールする目的で装着されていたホイールカバーが禁止される。 ただフェラーリなどは、ホイール内部をフィンの形状にして、レギュレーションから逃れようとしている。

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