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2010年 第7戦 トルコGP観戦記 マクラーレンとフェラーリの明暗

JUGEMテーマ:スポーツ

▽マクラーレン復活

相変わらず予選のアタックラップでは、レッドブルにかなわないマクラーレン勢であるが、レースペースでは全く遜色がなかった。 トルコのサーキットは長いストレートが二本あり、そのほかにも短いストレートが二本あり、彼らの最大の武器Fダクトを有効に使うことができた。 ターン8を中心としたセクター2ではレッドブルにはかなわないが、長いバックストレートでは何度かレッドブルを追い回した。 ターン8でのマクラーレンはスロットルの開け方も、レッドブルに比べて少なく、ハミルトンはコーナーリング中にシフトダウンする場面もあった。 その為、レッドブルを抜くことはできなかったが、彼らを脅かすほどのスピードを見せていた。 レースペースに関する限りマクラーレンはレッドブルと遜色なかった。 だがスピードが同じであれば抜くことは難しい。 レッドブルの二台がミスをしない限りは。 ところがご存じのようにレッドブルの二台は接触し、マクラーレンの1-2フォーメーションが実現。 この際、チームからハミルトンとバトンに対しては燃料が厳しいので、燃料消費を抑えるように指示が出ていた。 3位以下との差があった為、ハミルトンはペースを落としたのだが、バトンは燃料消費は抑えたが、ペースは落とさずにバックストレートの終わりでハミルトンを抜いていく。

 抜かれたハミルトンはすかさず反撃。 次のメインストレートでバトンを抜きにかかる。 バトンもウェバー同様ハミルトンにマシンを寄せていくが、1台半ほどのスペースを残しており、1コーナーのアプローチでもアウト側にマシンを振り、ハミルトンにスペースを与えている。 結果的、この二台は1コーナーで軽く接触するもそのまま走行を続けて、今シーズン二度目の1-2フィニッシュを成し遂げた。 この二台のバトルとレッドブルの二台のバトルの比較は非常に興味深い。 ギリギリの勝負を繰り広げたレッドブルと、互いにスペースを残してバトルしたマクラーレン。 チーム代表からすればマクラーレンの二台の振る舞いが理想的であるのは間違いない。 レース終了後もハミルトンとバトンは互いの健闘をたたえ合い、大きな問題にはならない様子である。 これは二人がワールドチャンピオン経験者であるからだろうか。 ▽さえないフェラーリ このレース、フェラーリの競争力は高くなかった。 800レース目 記念のレースで、フェラーリは惨敗。 アロンソはまさかのQ2脱落で、マッサの予選順位も8位。 まったくスピード不足だった。 アロンソのQ2脱落の直接の原因は、Q2最後のアタックのミスであるのだが、それまでのタイムもタイムチャートの上位にはなく、走らないマシンで攻めた走りをした結果、ミスをしたと解釈するのが正しいだろう。 スタート前からアロンソとフェラーリは、このレースはダメージを最小限度にするための戦いをすると、話していた。 結果的にアロンソは8位入賞、マッサも7位入賞で、ダメージは少なくできたが、それでも失ったポイントは大きい。 開幕直後は好調だったフェラーリもこのところ厳しい戦いが続いている。 どのチームもアップデートを施してきているのだが、フェラーリは相対的に進捗度が少ない。 この原因は話題のFダクトにあると見ている。 彼らはFダクトの開発に力を入れすぎて、他の分野での開発が遅れているのだろう。 しかもフェラーリのFダクトシステムでは、完全にリア・ウィングへの風の流れを止めることが難しく、ダウンフォース量に影響を与えて、ドライビングを難しくしているように思える。 実際あるチーム関係者は、このレースのフェラーリはリアのダウンフォースが足りなかったと証言している。 フェラーリはFダクト以外にも、開発のリソースをさかなければ、復活への道は遠い。 ▽可夢偉 初入賞 小林可夢偉がやっと今シーズンの初入賞をした。 彼は、今回もすばらしい走りを見せてQ3へ進出。 と書くと、とても簡単なのだが、今のザウバーの戦闘力でQ3進出は考えられないことである。。 それほど彼の走りは見事だ。 彼の良いところは、攻めた走りをしながらも、1周まとめ上げることができる点。 普通攻めた走りをすると、長いサーキットのどこかでミスをして、タイムを落とすことが多い。 だが彼は攻めた走りをしながらも1ラップまとめて、好タイムを出す。 正直、彼の走りを見ていると日本人であるということを抜きにしても、優れたドライバーだと感じる。 Q3ではソフト側の新品タイヤを使い果たしていたので、9位と大差の10位となったが、アロンソやスーティルを抑えての予選10位はお見事。 スペインGPに続き素晴らしい予選の走りだった。 レースでは、マシンの出来の良いアロンソやスーティルに抜かれたが、それでも粘り強く11位を走行。 終盤にベッテルがリタイヤしたこともあり10位に進出。 だがこの時点で可夢偉のタイヤ、特に右フロントタイヤは終わっていた。 最終的にはタイヤの内部構造まで見える状態になり、入賞も難しい状態だったのだが、最後はデ・ラ・ロサにチームオーダーが出ての入賞だった。 このチームオーダーで、FIAからなんらかの処分が出る可能性もあるが、とりあえずは今期の初入賞を祝いたい。 それにしても、今シーズンは走らないマシンで3回のQ3進出。 ここまでの可夢偉の走りは、十分なインパクトを残している。 次のカナダは決して、ザウバー向けのサーキットではないが、また光る走りを見せて欲しい。

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