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可夢偉 アメリカGP不参加の可能性あり

14969895487_e3300f5543_k 小林可夢偉が次戦であるアメリカGPに参加しないかもしれない。理由は今のケータハムではまともに走れないからである。 可夢偉はエリクソンと同じ仕様のマシンとスペアパーツが用意されなければ、アメリカGPには参加しないと話している。そしてそのパーツは用意される見込みがない。 ロシアGPでもチームはFP1にリザーブドライバーのメリに走らせ、可夢偉はFP2からの登場となった。だがそのFP2も僅かに27周しかできず、土曜日のFP3も12周しか走れていない。メルセデスのロズベルグは三回のフリー走行で84周も周回している。 初めてのサーキットでこれでは、ドライバーにできることは限られてしまう。また可夢偉は決勝レースで順調に走行を重ねていたが、21周目にピットインを指示されてピットに戻ったが、タイヤは用意されておらず、そのままリタイヤを指示された。チーム側はブレーキの過熱がリタイヤ原因と発表したが、可夢偉はその兆候も感じていなかった。 走行制限の理由はパーツ不足である。ケータハムにはスペアがないパーツもあり、それを壊したらもうレースに参加できない。またF1マシンのパーツは極限まで軽量化されているので、使える走行距離が決められている。それを超えると壊れる危険性が高い。 チーム側はパーツ不足を否定しているが、ロシアのGPにも日本GPでエリクソンが使用した、新しいフロントウィングも、リアカウルも持ち込まれなかった。これで可夢偉はエリクソンに対して0.8秒失っている。しかも今回の予選ではクイックシフトも失っており、これで更に0.3秒落としている。つまり可夢偉はエリクソンに対して1秒以上遅いマシンで戦っている。それでも2人のタイム差は0.5秒しかない。いかに可夢偉が頑張っているかがよくわかる数字である。 それだけ頑張っていても、マシンに不調がなくてもリタイヤさせるケータハム。可夢偉を途中でリタイヤさせたのは、次のアメリカGPのFP1でメリをのせるために、パーツの走行距離を節約したかったためであろう。 スペアパーツがなければ可夢偉を止めなければ、次のレースに参加できない恐れもある。今のケータハムはメリが持ち込む資金に頼っており、今のケータハムでは可夢偉のレースよりメリのFP1の方が優先される状況である。それでも可夢偉をスタートさせたのは、契約で2台のマシンを参加させなければならないからである。 チーム代表は可夢偉の発言を事実無根と批判しているが、彼は証拠としてテレメトリーのデータを見せたわけではない。もし本当にブレーキがオーバーヒートしていたというなら、テレメトリーのデータを見せれば、誰の発言が正しいのかがはっきりする。ある関係者の話では、可夢偉はこの週末にブレーキに不調を訴えて交換しているのであるがこの時、資金不足のため、新品ではなく中古のブレーキセットに交換したと言われている。それが可夢偉を止めた原因である事も考えられる。 しかし、これではF1チームとはいえず、もうレンタカー会社である。お金があれば実績がなくても乗れる。今までも資金不足でひどいチームを見てきたが、ここまで酷いのは見たことも聞いたこともない。過去の資金不足チームは、お金はなくても、レーシングスピリットは残っていた。 だが今のケータハムには何も残っていない。このチームではもう走る意義はない。可夢偉がアメリカGPに参加しなくても、もう寂しくも悲しくもない。